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僕の死んだ世界で  作者: 不死鳥の亡霊
剣聖襲来編
7/12

「なぁ、リヴァイ。」


「なんだよ、メイス。」


「この戦争が終わったらやりたいこととかあるか?」


「戦闘が今から始まるって時に何だよ…」


「…だからこそだよ。


リヴァイはあんまりそういうのなさそうだしよ。」


「…お前はあるってのかよ?」


「あるぜ俺は。


…俺は旅ってのをしてみたい。

もし戦争終わってよ、やりたいことが見つからないなら、俺の旅にリヴァイも連れってやるよ。」




(…


…あぁ、そんな話、メイスによく聞かされたな。)


リヴァイは昔のことを思い出しながら、オビに尋ねる。


「…なぁオビ。」


「あっ?」


「これって旅か?」


「呑気な言い方するんなら、まあ旅なんじゃねぇか?」


「…そうか。」


「…終わり?…なんだよこの会話。」




リヴァイの時間は、仲間を失った日から止まっていた。文字通り歩みを止め、剣を振り続けたのだ。


「(…あいつらのいない世界でやることなんてないと決めつけてた。


探せば、…思い出せばきっと…あいつらとの会話の中に答えはあったんだろうな。)」


唐突な話から下を向くリヴァイの様子を見て、オビは直感的に言葉を返す。


「…旅がしたいんだったらよリヴァイ。」


「ん?」


「こんなんじゃなくて、全部解決した後に俺が連れってやるよ。」


そう言ったオビの表情はまるでメイスのようだった。


リヴァイは寂しげに笑った。


「俺はこれが解決したら元の世界に帰るんだ。


…それに、俺は旅については色々教わってるから、少しうるせーんだぜ。」


「…例えば?」


「…そうだな、旅では夜仲間と焚き火を囲いながら酒と美味い肉を食べるんだ。」


「はっ、酒と肉なんて旅じゃなくて食べるだろ。」


「…えっ?」


「…えっ?」


オビは懐から小瓶を取り出しリヴァイに見せる。


「酒は常備だぜ。」


「…マジかよ。」


「今晩呑んでみるか?陽も落ちてきたし今日はもう少し進んだら休もうぜ。」


「…随分と落ち着いたなオビ。」


「…最初は慌てたけどよ、腹も決まったし慌てたって飛んでいける場所じゃない。それにユダの生存を聞いてもお前らが慌ててなかったのは、信じてるからだろ?シエルから託されたその剣を。」


「…ああ、信じてる。


この世界のシエルに呼ばれたんじゃない。俺がこの剣に願ったからここにいるんだ。」


リヴァイはそう言うと剣に気を込める。剣はそれに応えるかのように力強く輝きだした。


「俺と戦った時は使ってない切り札が、まだあるってわけだな。」


オビはその輝きを見て、不満そうに返したが、リヴァイは笑って続ける。


「オビは切り札の使い方をまだ知らないだけだ。


俺はシエルをよく知っている。アイツは無責任にお前らを放り出すような奴じゃない。アイツの願いが、力が、何かしらの形でお前らにも宿ってるはずだ。」


「…さいですか。」


リヴァイの曇りない言葉に、オビは半信半疑で自分の手に気を込めるが、何も反応はない。


「…とりあえずいいや。難しいこと考えるのは性に合わない。


明日に疲れを残さない為に、飯食って酒呑んで寝ようぜ。」


「…酒は飲むのかよ。」


その晩リヴァイは、初めての酒を呑んだ。

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