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僕の死んだ世界で  作者: 不死鳥の亡霊
剣聖襲来編
2/12

同じ名の男

墓の前、もう一度名前を読み返すと、


そこにシエルの名前はなかった。


代わりの名前が刻まれている。




“リヴァイ”


紛れもなく、自分の名前だ。


「そうか、あいつの世界に来たんだな。」


行くでもなく、飛ばされるでもなく、そこに元々居たかのように、リヴァイは世界を移動した。


この世界で生き残ったシエルは、戦争の最前線で槍の雨を降らせ、誰も近づけない聖域を作り出した。そして世界中の人の心に聞こえるよう1ヶ月後にこの世界を想像し作り変えると宣戦布告をしたのだ。


リヴァイは別世界からその声を聞き、それを止める為に移動してきた。


「同じように移動してきているなら、あいつらがいる可能性があるのは、ここから一番近いのは孤児院だ。


…。


俺を庇って死んだ、あいつらの最後の表情、最後の声が、まだ心に焼き付いている…。」

 



(「リヴァイ…」)




「…怖い。


けど、逃げ出すわけには行かない。


行かなくちゃ孤児院に。


今度こそ守って見せる…。」


覚悟を決めリヴァイは墓を背に向け歩き出した。


そこに前方から一人の男が歩いてくる。


何か違和感がある。


知らない男だ。


知らない男だがどこか懐かしさを感じた。


すれ違いざまに男は口を開ける。


「…変わりがいない人間なんていない。

なのにあんたらは変わりがいないと思い込み生きている。それが気に入らないんだ。」


全てを知っているかのような口ぶり、リヴァイは戸惑いを感じつつ聞き返した。


「…あんた、誰だ?」



男は冷たい視線で答えた。


「存在意義を否定された“俺たちに”名前なんてない、なくなったんだ。


それでもアンタが死んでしばらくの間、

俺はこう呼ばれていた。


…“リヴァイ”と」

 

男は名乗ると同時に姿を消した。


男に感じた懐かしさは、


シエルの想像の力で生み出された人形劇だった。


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