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NOTE  作者: 藤代京
3/8

愛のコリーダ 大島渚の下手くそなナレーションによる悪魔払いの効能について


 愛のコリーダのラストで大島渚の下手くそなナレーション流れるのよな。せっかく情婦のちんぽ切り取って持ち歩く異様な世界に浸っていたのに、その下手なナレーションで現実に帰るんだよな。


 まったくなんてことしてくれるんだ! と。


 なんで現実に戻すんだよ、異様な世界に置き去りでいいじゃん。


 京極夏彦の魍魎の匣もそうだよな。

 あれって要は美少女の手足切り落として生きたまま箱詰めする話じゃん。そのラストで関口くんが列車のなかで箱を持った男に遭遇する訳だ。

 ふと覗くと男は箱の蓋あけてなにかと話している。でも箱の中には黒い干物みたいのが入ってるだけだったで読者は現実に帰されるんだけけど、なんで現実に帰すんだよ。

 箱の中には少女が生きたまま詰められていて、関口くんと目を合わせてほうっと鳴いた、でいいじゃん。それで読者は終わらない悪夢から帰ってこれなくなるじゃん。


 三津田信三もだよ、なんで毎回毎回ホラーで始めてミステリーで締めるんだよ。これ怖いんだけど、どれくらい怖いかって言うとジーパーズクリーパーズの前半部分ぐらい怖いんだけど、と戦慄して読んでいくと怪異じゃなくてトリックでした、妖怪でも幽霊でもただの人間による殺人でしたで毎回終わらせやがって。なまじホラーパートが怖い分腹立つんだよ。


 と今までは思っていた訳だ。


 でもさ、二重螺旋の恋人のエッセイ書いてわかった。

 あんな短い話でもうつし世は夢、夜の夢ことまこと、は終わりだよーうつし世はうつし世だよーとペニバンに話とか入れて現実回帰するのめちゃ楽。


 書いててすげえ楽だわ。


 ラストの現実回帰って観客や読者のためではなく筆者や監督のためにあるんだなとしみじみ実感。

 

 そうだよな一旦ちゃんと終わりにしないと次に行けないもんな。


 舞台でもそうだよな、なんで俺は舞台じゃなくて観客席にいるんだと嫉妬するような舞台でも照明がカットアウトなりフェードアウトして暗転したあとは役者が舞台の上でお辞儀してるもんな。


 物語はそれがどんなものであれ永遠には続かないし、続けてはいけない。


 ちゃんと終わらせないと作ってる人の体に悪い。


 物語って魔物を呼び込んだら、下手くそなナレーションで物語の魔を祓うまでやって終わりなんだ。


 祓わないとどうなるかってのは永井豪って実例がある。


 永井豪がデビルマンのラストで世界を崩壊させ、崩壊させっぱなしで現実回帰を行わなかった。


 その結果、永井豪自身が言っていることだけどデビルマンで崩壊させた世界をバイオレンスジャックで延々時間をかけて再生させなければならなかったと。

 いまさらデビルマン読んで、それからバイオレンスジャック読もうって人もそういないだろうから書くけども、デビルマンとバイオレンスジャックって地続きの話なのよ。

 そしてバイオレンスジャックで世界を再生させねならなかった理由は、デビルマンで世界を崩壊させたからではない。

 現実回帰を行わず、作者自身を崩壊した世界に置き去りにしてしまったからだ。

 世界は崩壊し右も左も道しるべもない、そういうのは作者自身が全部壊してしまった。そんなとこに自分を置き去りにしたら、再生させながらじゃないと戻ってこれないよな。再生させないと戻ってくる道もないんだから。

 永井豪がギャクでよくやるように作者自身をデビルマンのラストに登場させ、このお話はこれで終わりでげすよ、とやってたら作品は台無しになりラスト以外は傑作なのにといつまでもぐちぐちぐち言われることになり永井豪が死んでからもぐちぐち言われることになっただろうけど、その場合作者は再生のためにバイオレンスジャックを書く必要はなくなっていただろうな。


 そう考えるとケッチャムが方向転換してなんか普通になってしまったのも納得だよな。

 隣の家の少女ではタイトル通り隣の家で少女が虐待されているのよ、どうせラストで助かるんだろと油断して読んでいると少女は虐待されたまま死んで終わってしまう。

 そこで現実回帰の悪魔払いは行われず、読者は作者ともども殺伐とした世界に放り出されたままになる。

 オフ・シーズンでは食人の一族に襲撃されるんだけど、主人公がヒロイン助けて今度はハッピーエンドだなと油断してると、主人公が警官に食人の一族と間違われて射殺されて終わり。

 えっ? それはありなん? のまま放り出される。

 そんなこと繰り返していたら、ケッチャムの頭もおかしくなるよな。

 だから方向転換は正しいんだろうけど、なんか普通で読んだんだけどタイトルもストーリーも思い出せない。読んだって記憶だけがあるな。


 クオリティ保って長く書き続けるためにも下手なナレーションによる悪魔祓いって必要なんだな。



 で、そういう点から言うと俺が書いてた怪異探求行って現実回帰を欠片も考えてないシリーズだったよな。

 頭おかしかったからなあ。

 基本コンセプトが読んだ奴全員狂って死ね、くたばれ、だったからなあ。

 深みに嵌まることしか考えてない。

 時間とともに世間さまへの謂われのない悪意も収まり、ネタも尽きなのだけど、今書いてるつれづれデイトレーダー戦記って見事に怪異探求行のカウンターになってるのな。


 つれづれデイトレーダー戦記ってなんだよ、センスねえなあと今も思ってるけど、分析すると探求のカウンターだからつれづれなのな。探求が漢字だからわざわざ徒然をひらがなにしてるのな。


 怪異探求行だと怪異に主体があるから、そのカウンターとして主体を俺にする必要があるからデイトレーダーなのだし、探求行つまり行ったきり戻らないよ、のカウンターだから行ったきりじゃないよ勝ったり負けたりだよだから戦記なんだ。


 なんだ俺の無意識賢いな。


 センスないけど。


 なんで無意識はこんなぴったりカウンター入れられるぐらい賢いのに、表層意識はバカでアホなんだろう?

 

 脳の大部分を無意識で使われていて、表層意識はバグる寸前でしか脳を使えてない疑惑が発生だわ。




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