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立花さんと両想いになるのはすごく難しい  作者: アンリ
第二章 閑話:小太郎視点
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2.不可侵条約は春に締結されていた

こちらは活動報告やweb拍手に掲載したものです。

こちらを読まないと第三話以降の意味が分からないので未読の方はお読みください。

 僕は高須小太郎、ここは僕の部屋。


 なのになんで野田と広田は部屋の主である僕を無視してギャンギャン吠えているんだろう。


「お前っ! 同じクラスになって、しかも委員も同じにしただと?!」


 ほらほら。

 広田、お前普段は爽やかイケメンの代名詞みたいな態度とってるくせにその顔は駄目だろう。

 目が血走ってるし、唾飛んでるぞ。


「うらやましいだろ。あ?」


 ほらほら。

 野田、お前普段クール系イケメンで通ってるのに、そのさげずむような視線は悪魔にしか見えないぞ。

 普段善良ぶってるくせにそれはだめだろう。


「うらやましいさっ! うらやましいよ!」


 広田、お前ほんと素直な奴だな。


「だが俺らはこの部屋で不可侵条約を結んだはずだ! そうだろう小太郎?!」

「お、おお。確かにな」

「野田にもう一度聞かせてやれ!」

「はいはい。その一、立花さんに自ら接触しない。その二、許可なく告白しない。だろ?」


 たった二条の恋の条約が僕の部屋で結ばれたのは一年前の春、入学式当日のことだった。


 女に興味がなく、男同士の友情こそがもっとも尊ばれるものと信じてやまなかった二人、だが二人はこの春、可憐な一輪の花を見つけてしまった。そして一瞬にして心を奪われてしまった。


 その花の名は――立花さん。


 僕だけは立花さんに恋しなかった。

 なぜかって?

 だって僕にはかわいい彼女がいるから。

 中学の時からつきあっている彼女とは今でもラブラブなのだ。


 野田と広田は友情と恋を天秤にかけ、苦悩し、そして僕の立ち合いのもと不可侵条約を結んだ。

 抜け駆けをしないように、友情を壊さないように。


 だが二年になり、野田一人が立花さんとクラスメイトになり。

 一年保った条約にもいよいよき裂が入ろうとしている。


「小太郎! お前もなんとか言ってくれよお!」


 広田が涙目になるもんだから、少し考えてみたものの、こてっと首をかしげてみせた。


「うーん。ドンマイ?」


 他に何を言えと?


「もういい! テニス部の奴らに相談する!」


 鞄を掴むや、広田が部屋から出ていってしまった。


 残された二人の間に、さすがに重い空気が漂い始め――僕は広田のために野田に向き直った。


「……あんまり広田をいじめるなよ? あと僕らの友情のためにもこれ以上立花さんと仲良くならないでくれよな」


 野田はしばらくむっと口を閉じていたものの、「な? な?」と何度もせかすと、最後にはしぶしぶとうなずいた。


 だが僕も知らなかった。

 この数か月後、学校中を巻き込む恋愛バトルが始まることになろうとは――。

第三話以降は9/24から12時に予約投稿しています。

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