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過去作品

ハーレム勇者は誰の手に?

読んでいただけた方に限りない感謝を。

「ほら。ピシッと立つ! 」

 

 ただの冒険者から神託を得て勇者になったアデルは、幼なじみのフィリアに襟を直されていた。

 

 見るからに上等な騎士服には、金の縁取りがなされ、その白さはまさに輝かんばかり。


 

「これでよし! 馬子にも衣装ってね。」

 

 あれこれと弄ったあと、納得が行く出来映えになったのか、フィリアは頷くと、アデルの全身を眺める。

 

「まあ…こんなもんか…。」

 

「こんなもんかって何だよ!こんなもんかって! 」

 

「仕方ないでしょ? あんたこんなギリギリになるまで礼服の一着すら無かったんだから! 」

 

 全身を眺めてから、顔をじっと見て残念そうに呟いたフィリアに、アデルは抗議の声を上げたが、逆に怒られてしまった。

 本人が悪いだけに、言い返す事も出来ない。

 

 今日は勇者として数々の困難の末に魔王を倒したアデルの叙爵式だった。

 魔王が治める魔導国との国境の村に居たフィリアも、あんたの晴れの叙爵式は見に行かないとと言って付いて来ていた。

 

 しかし、生来ののんびり屋の彼は、式典の前日まで着ていく服を用意しておらず、機転を効かせて騎士服を用意してくれたフィリアのおかげで事なきを得たのだった。



 このフィリアとは幼なじみで、かれこれ十年以上の付き合いになる。

 一つ年上と言う事もあって、アデルは小さな頃から頭が上がらず、その小言を疎ましく思う事もあった。

 姉のような存在だと言ってしまうのが一番近いかもとアデルは思う。


 

「それじゃ行ってくるよ。」

 

「はい。行ってらっしゃい。頑張っていい嫁選んで来いよー! 」

 

 ガッツポーズのフィリアに送られて、アデルは宿屋を後にする。

 

 

*



 宿の前には迎えの馬車が来ており、アデルは近衛兵によって開けられたドアから馬車に入る。

 

 今日は爵位を貰うだけでは無く、今まで曖昧にして来た関係に終止符を打たねばならない。

 

 アデルの討伐の旅には、四人の仲間が付いて来ていた。女騎士のレムル。女魔術師のサクラ、エルフである弓兵のララ、そして王女であるアーデルハイドだ。


 国王は、戦勝の報告をするアデルに、この四人の中から妻にするものを叙爵式で選べと命じたのだった。

 

 この魔王討伐の旅には、最初はフィリアも同行していたが、神託を持たない彼女は能力の上昇が伸び悩み、途中で旅からは離脱していた。


 

 その頃から四人の猛烈な攻撃(アタック)が始まった。


 目の前で平気で着替えるのは当たり前で、風呂に入ろうと思えば薄着になった誰かが背中を流すと言って入って来る。

 夜に寝ようと思えば、下着姿になって布団や寝袋に潜り込んで来ようとする…。

 

 若いアデルには耐えるのに必死だった。


 手を出してしまうのは簡単だったが、この関係が壊れて目的が果たせないのでは困るからだった。



 そう言えばとアデルは思い出す。

 彼女達の攻撃を何とか切り抜けて事なきを得ているアデルに対して、


『アデルの行動はやっぱり童貞っぽいな。』

 

『あー…。確かに。』

 

『うるせーよ! 』

 

 そんな風に騎士のレムルと魔術師のサクラがからかい、アデルが言い返す。

 

 どうていって何の事だか解りませんときょとんとした顔で眺めていたエルフのララと王女のアーデルハイドに、どんな意味かレムルとサクラが教えて二人が真っ赤になる。


 そんな事件が多々あった。


 そして、やっとの思いで魔王を倒す事が出来たのだ。



 そのうち、一人一人から結婚を考えて欲しいと言われ、魔王城の手前では、誰を選ぶの! と全員から詰め寄られた。

 

『まずは魔王を倒す。全てはそれからだ。』

 

 そう言って何とか引き延ばしていたが、ここに来て、いよいよ結論を出さねばならなくなったのだった。



*



「式典が始まる前に一度顔を合わせておきたいんだが、仲間たちは何処に? 」


「勇者さまのパーティの皆様は、それぞれ別室で待機されております。」


 王城に着いたアデルが聞くと、衛兵はそう答えた。


 国王に命令をされなくとも、アデルは元々今日結論を出すつもりだった。

 だが、お前は俺の事をどう思っているんだと聞いてしまえば、答えを出さなくてはならず、全員の気持ちを聞いた事は無かった。

 


「わかった。それでは申し訳ないけど、案内をお願い出来ないかな…。」


 衛兵は頷くと、奥へと一旦下がり近衛兵の一人を連れて来た。



「それではご案内いたします。付いて来てください。」


 王城内では必ず近衛兵の案内がつくため、アデルは大人しくその後に付いていく。


 

「まずは何方に会いに行かれますか?」

 

「最初は…レムルのところかな。」



*


 

 アデルは、まず女騎士のレムルを訪ねる事にした。

 いつものように部屋に入ったら全裸でいるんじゃないかと身構えたが、ノックに対する返事の後に入室すると、彼女はきちんと服を着ていた。

 アデルは心底ホッとする。

 

「やあ、レムル。5日も経ってないのになんだか久しぶりな気がするね。」


「アデルか。いよいよ私の夫になる決心がついたのか? 」


「いやいや。そういう事じゃ無くってさ。ちょっと聞きたい事があったんだ。」

 

「なんだ。痛いのならそこそこ行けるぞ? 」

 

「……いや、レムルは俺のどんな所が良いのかなって思って。」

 

「女の口からそういう事を言わせるのはマナー違反だぞ? …まあ良い。状況が状況だしな。」


「助かる。」

 

「私はお前の優しさとその強さに惹かれた。この人ならば私を護ってくれそうだと、そう思った。」


「それが理由? 」

 

「そうだな。正直に言えば打算が無い訳では無い。お前はこの国にとって欠かせない人間になるだろう?。そうでもなければ他にも気持ちを寄せている男に近寄ろうとする女は居まい。」


「解った。正直に話してくれて助かる。最初にレムルの所に来て良かったよ。」

 

「このままベッドに行っても良いぞ? 」

 

 ニヤリと笑いながらレムルが言う。

 

「いや…。とりあえず遠慮しておくよ。」

 

 残念そうに俯くレムルの姿を見て、少し罪の意識を感じて心がちくりとしたが、なんとか振り切って部屋を出た。



*


 

「次は、魔術師のサクラの所に連れて行ってくれないか? 」


「はい…。」


 近衛兵はちらりとアデルを見る。どうやらアデルは嫌悪感を持たれてしまったようだった。

 高名な女騎士であるレムルの気持ちを弄んでいるように見えても仕方ないとアデルは諦める。



 サクラの部屋に入る時も相当身構えていたが、近衛兵の冷たい視線を浴びただけで、サクラはきちんと服装を整えていた。


 

「惹かれた所…ですか? その膨大な魔力量に決まってるじゃないですか。」

 

 騎士のレムルに聞いたのと同じ質問をすると、何を当たり前の事をと言ったような表情で言う。


「気になる所はそれだけ? 」


「当たり前じゃないですか。魔力量は子供にも伝わるんです。だから魔術師なら魔力量を基準に相手を選ぶに決まってるんですよ。」


「サクラは子供に俺の魔力が受け継がれれば良いんだね。」


「そうです。そして二人でバラ色の爛れた人生を送るんです! 」


 そういうとサクラはその腕を絡ませて来て、豊満な胸をアデルに押し付ける。


 

 サクラは風呂に入っていると、いつの間にか背後に居て、背中に自分の身体を押し付け、背中を流しますと言うのだ。

 転移魔法の応用だと言っていて、どれだけ厳重に扉を封印しても入って来てしまうので、終いには気にせず背中を流してもらう事にしていた。



「私も貴族の娘です。あなたはもう頑張らなくても良いんです。二人でたくさん赤ちゃんを作りましょ? ね? 」


 潤んだ瞳の美少女に、これだけ迫られると心がぐらつきそうになる。


「解ったよ。ありがとうサクラ。」


 アデルは何とか絡み付いていた腕をはがし、不満げなサクラから逃げるように部屋を出た。



*



「次はララの部屋に案内を頼む。」


「…。」


 近衛兵は何も言わず、ただ頷くのみだった。

 さっきの光景は相当衝撃的だったように見える。


 案内をしてくれている近衛兵の視線が物凄く痛かったが、今は言い訳をしている余裕は無かった。



「君に惹かれた理由かい?そうだね。ボクの弓を避けられるほど早く動けるのは君だけだったからかな。」

 

「その素早さだけが魅力だと。」

 

「それは違うぞ? 私は君の諦めないところ、そして誰も見捨てまいとする姿にこそ惹かれたんだ。君の素早さはそのきっかけにしか過ぎないよ。」


 そういうと目の前の美女は優しく微笑む。元々エルフは美形が多いだけに、アデルの気持ちは一気に揺らぎそうになる。


「だからずっとボクに抱かれていてくれないか? なに、君の一生分くらいの時間なら、寝室から出なくとも構わないさ。ずっとその間は愛してあげられるよ? 」


「そりゃ魅力的だ。」

 

「そうだろう? だから今からでも構わないよ? 」


 なぜ貴賓室には寝室が付いているのだろう。

 アデルはぼうっとそんな事を考えてしまい、ベッドに引き倒される寸前で我に返る。


「…ララ。魔法で人の心に入り込もうとするのはダメだと言ったろ? 」


「だってこうでもしないと君はボクに(なび)いてくれないじゃないか…。」


 ベッドの上に膝を抱えて座り込んでしまったララを置いて部屋を出る。

 そうなったらしばらくは口を聞いてくれないからだった。

 いつものように宥めている時間も無い。



*



「アデル様、次はアーデルハイド様の自室に向かいます。」


 とうとう近衛兵は目も合わせてくれなくなった。

 

 最後に向かうのは、やはり王女(ラスボス)の部屋だろう。

 アデルは王女の部屋へと通された。


 この近衛兵もさっきから過激な場面を目の当たりにして、赤くなったり青くなったりしていた。

 アデルの護衛として側を離れる事が出来ないらしく、申し訳なく思う。


 王城の中に居るのだから、仲間たちにももちろん最低一人は護衛が居た。

 だが、彼らがまるでその場に居ないように過ごせるのは、どう言った心境なのだろうとアデルは思う。



「もう下がって良いわ。」


 アデルの隣にいた近衛兵にアーデルハイドは告げる。

 

「しかし…」

 

「下がりなさいと言っているのが解らないのかしら? 」

 

「…。」

 

 アデルは大丈夫だからと言う視線を近衛兵へと送る。

 堅物そうな眼鏡を掛けた女性の近衛兵は、頼みますよと言う視線を返すと、一礼をして部屋から出て行った。


 大変ご迷惑をお掛けしましたと、アデルは心の中だけで謝っておいた。



 流石は王女(ラスボス)だけあって、アーデルハイドは大きなベッドの上に寝そべっていた。

 身体に纏っているのは薄いシルクのシーツ一枚だけ。そのシーツは彼女の均整の取れた身体にぴったりと張り付き、そのラインをベッドの上にはっきりと現していた。


「少々はしたないと思いますが。アーデルハイド様。」

 

「あら。私はいつも寝るときには何も身に付けないわ。ご存知でしょ? 」


 

 アデルは最初に会った時の可憐な姫様は何処に行ったと虚空を見上げる。


 旅の間、ずっとレムルとサクラに男を落とすにはどうするかの英才教育を受けていた王女様は、毒婦もかくやと言った妖艶な色香を纏うようになった。


 さらに全裸よりも扇情的なシチュエーションを作ることにかけては天才的だとも言えた。


 

 そんな王女に、アデルは何度限界を越えそうになったか解らない。

 いっそ襲ってしまえば楽になる。そう思った事も一度や二度では無かった。



「アーデルハイド様、本日はお伺いしたい事があって参りました。」

 

「あら、アデル。普段と同じように話して下さって良いのよ? 」

 

 シーツを胸元で押さえながら、王女アーデルハイドはゆっくりと身体を起こす。

 肩から胸の辺りが露になり、ほどいていた髪がさらりと肩を滑る。

 

「じゃあ、そうさせてもら…いや。止めておきます。姫様。」

 

 周囲に控えているメイドたちの視線を受けて、アデルは話し方を改めるのを諦めた。

 ただ、口の奥にわいた生唾を飲み込む音が大きく響いた気がして、アデルは生きた心地がしなかった。


 どうしてこんな中で誘いに乗れると言うのか。

 

「ふふ。確か、自分の何処に惹かれているのかを聞いて回っていらっしゃるのでしたっけ? 」

 

「はい…。」

 

 既に王女殿下には話が通っていた。

 さすがに王城の中で起こった事はすぐに筒抜けになるんだなとアデルは他人事のように思う。

 

「私が貴方に惹かれたのは、その清廉さ、優しさ、自ら苦難に立ち向かう心、傷つくのを恐れない勇気。そしてその望みを実現させる実際の強さですわ。」

 

「…。」

 

「そう。私はあなたの全てが美しいと思い、愛しいと思ったのです。」

 

「全てが…。」

 

「私は美しいものが好きですの。あなたがただ野蛮なだけ、お金を持っているだけの方なら、これほどお慕いすることはありませんでしたわ。」

 

「そう…ですか。ありがとうございます。」

 

 アデルは、ここまで苦しみつつ乗り越えて来た道を認められた気がして、じっと自分を見つめている王女に礼をするのだった。

 

「こちらには来てくださらないの? 」

 

 アーデルハイドから、そんな声が掛かる。アデルはその差し出された手に口づけをしようとして…。

 

「姫様。まもなく式典が始まりますので、そろそろご準備を。」

 

「わかりました! 」

 

 式典の開始を告げる声がドアの外から響き、アデルは我に返る。


 眉間に皺を寄せながら、ドアの向こうに返事をするアーデルハイドを見て、美人は怒っても美人なんだなとアデルはまだ熱の残る頭で思った。



*

 

 

「アドル・サーティスに騎士の称号を与えるものとする。」

 

 王が宣誓し、剣を両肩に順に当てられてから拝領する。

 

「サーティス卿には褒美を与えねばならぬ。貴殿はこの王に何を望むか。」

 


 アデルはここに来る直前、宰相から呼び止められていた。


 『望みはありません。ただ、王女様との結婚を承諾していただきたい。』


 そう言えと言われた。


 それを快く王が承諾し、無欲の褒美として伯爵位を与える。そんな流れになっていた。

 結局は全て出来レースだった。

 王女の他にも誘惑をする人間を置き、耐えられれば良し。耐えられなければその娘を娶らせる。

 勇者を貴族として囲い込んでしまえばこの国は安泰だからだ。

 騎士のレムルも魔導士のサクラもこの国の貴族であり、エルフのララは元々はこの国で人質となっていたエルフの王族だった。


 何故伯爵位なのかと言えば、王族が嫁げるのは伯爵以上とされていたから。

 理由はそれだけだった。



「何でも一つだけお願いを聞いて戴けるのですね。」

 

 アデルは王に尋ねる。

 

「もちろんだとも。何でも言うが良い。」

 

 王が頷く。

 

「それでは、私は…」



*

 


 アデルが宿屋に戻ると、幼なじみのフィリアが荷造りをしていた。

 

「何やってんだ? フィリア。」

 

 アデルが後ろから声を掛けると、フィリアは驚いたのか、背中をピクリと震わせる。


 彼女は、いつも着ているあちこちに継ぎの当たった服を払うと、アデルに向き直った。


「やー。間に合わなかったかー。戻ってくる前に片付けようと思ってたんだけどさ。」

 

 目元を拭いながらフィリアは笑顔で言う。

 泣いていたのか、目は赤くなっていた。

 

「何で片付けをする必要があるんだ? 」

 

「だってお前…アデルは結婚相手を選んで来たんだろ? あたしが居たら邪魔になっちゃうじゃないか。」

 

 そう言って笑うフィリア。

 

「俺は誰も選ばなかったぞ。騎士にはなって来たけどね。」

 

「は? 何言ってんの? 」


 急にフィリアの眉間に皺が寄る。

 

「だから、願いを聞いてくれると言われたから、仲間とは結婚しませんと答えた。それだけだよ。」

 

「なんでさ。今までせっかく頑張って来たじゃないか! それを全部無駄にすんの? 一体何が気に入らないのさ! 」

 

 顔を真っ赤にして目尻に涙を浮かべながら、怒ったフィリアはアデルを問い詰める。

 そんな彼女の目を見ながら、アデルはゆっくりと語り出す。



「 

女騎士(レムル)は俺の強さが好きだと言った。

―だけど、元々の俺は全然強く無かった


女魔術師(サクラ)は俺の魔力が魅力的だと言った。

―だけど、元々の俺は魔力なんて全然無かった


エルフ(ララ)は俺の素早さが魅力的だと言った。

―だが、元々の俺はどんくさい奴だった。


―そして王女はその全てが魅力的だと言った。


 だから、俺は願いを一つだけ聞いてくれると言った王に、彼女たちとの結婚は出来ないと断る事を願ったんだ。」



「なんで…なんでそんなバカな事をしたのさ。」


「俺の強さも、魔力も、素早さも、今の外見や優しさだって、フィリアが全てを投げうってくれていたから手に入ったものだから。」


 一字一句を区切るようにアデルは言う。

 孤児院で一緒になり、共に村を出て共に冒険者となり、共に死線をくぐって来た。

 彼女の献身的な支えが無かったら、アデルは生きてここには居なかっただろうと思う。


 

「何も出来なかった俺と、共に汗をかき、共に悩み、共に苦しみ、共に涙して、そして共に笑った。俺にとってこれほど素晴らしい女はフィリア以外には居ないよ。他の男になど絶対に渡せるものか! 」

 

 そう強く言うとアデルは、フィリアのその細い身体を抱き締める。

 

「俺たち二人の願いだった俺を騎士にするって『目的』は叶った。だから、新しい願いも聞いて欲しい。」


 アデルは指輪を取り出すと、フィリアの薬指にそっと嵌めた。


「これからの人生も、ずっと苦労や苦難の連続だと思う。そんな大変な事を一緒にやって行けるのは、家族だと思えるフィリアだけなんだ。だから、これからも俺と一緒に家族として苦労して貰えないか? それが俺からの願い。」


 フィリアは涙を流しながら頷く。


「あんたみたいな適当な奴の面倒をみられるのは、あたしくらいなもんだからね。」


 彼女はいつもの台詞を言って、涙を浮かべたままほほ笑むのだった。



*



 その後、東の国の冒険者に凄腕の夫婦が居ると言う噂が流れた。


 途中から合流した派手な化粧の貴婦人と一緒に行く先々で難題を解決し、人々は彼らの英雄譚を好んで話した。


 

 いつしか噂は消え、そして伝説となって行ったが、これはまた別の話である。

いかがでしたでしょうか。


楽しんでいただけたなら幸いです。

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[一言] この話に漂う決断する前の雰囲気が面白かったです
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