試練の洞窟その12
前回あんなことを言っときながら更新ペース遅くて申し訳ないです。
次回こそはもっと早く!!
「行きますわよ!」
ウィンさんの言葉と共に大鎌が振り抜かれる。
俺とアオイはそこから飛んでくるであろう風の刃を警戒して身構える。
「·······?」
しかし、いくら待っても風の刃が飛んでくることは無かった。
どういう事だ? ただ単に大鎌を振り切っただけだなんて考えられないけど······
いや、考えていても仕方がない。取り敢えず出来ることをするだけだ。
俺は取り敢えず魔導書を投擲するが、それほウィンさんに回避されてしまう。
せめて迎撃でもしてくれれば俺がこの戦いでウィンさんに直接攻撃出来るのかどうか確かめることが出来たんだが······
一応試練自体はアオイがヤタガラスの名前を知った時点で終了してはいるはずだから理論上は攻撃も通るとは思うんだが、この試練の洞窟という場所にいる時点で俺は戦闘に参加できないという可能性も否定はしきれない。
だから試してみたんだが流石に回避されてしまっては試すことすらできはしないな。
こうなったらリスクを犯してでも······
「ノエル! 動いちゃダメ!」
突然のアオイからの声にウィンさんへと向かって突撃しようとしていた足が止まる。
「······へぇ」
その様子を見たウィンさんが興味深そうにこちらを見る。
「さっきから見えてないだけでウィンの風の刃は飛んできてる」
·······? あぁ、そう言うことか。
一瞬どういう事かわからなかったがウィンさんに向けて鏡を向けているアオイを見て理解した。
恐らく俺には見えない風の刃をアオイは感知して俺に届く前に消し飛ばしてくれていたのだろう。
······どうやって感知してるのかは俺にはわからないけど。
「なるほど。それが貴女の魔武器の能力って所かしら? 姉さん。魔法の無効化? いえ、それだけでは不可視の刃を感知できる理由にはならなわね······まぁ、解らないことを考えても仕方ないですし第2ラウンドと行きましょうか!」
そう叫ぶと同時にこちらへと突っ込んでくるウィンさん。
俺はウィンさんの鎌の斬撃をタイミングを合わせて魔導書で弾く。
結果火花と共に金属同士がぶつかったような音を立てて弾かれる鎌。すかさず回し蹴りを放つが、ウィンさんは風の魔法で、後方へと回避することで俺の蹴りはすかされる。
「切断力強化の能力でどんなに固いものでも豆腐のように切れるデスサイズを弾くって······なんなのよそれ!?」
「ただの魔導書だ」
「少なくとも鎌とぶつかり合って金属同士が衝突したような音をたてるものを私は本とは認めないわよ!」
······確かに。
とまぁそれはそれで置いておいて、今の攻防のお陰で俺の攻撃もウィンさんに対して有効になることはわかった。
そうじゃなければわざわざ俺の蹴りを回避する必要もないし、鎌の一撃を魔導書で弾くことも出来なかっただろう。
まぁ、強いて言うならば最初にされた不意打ちの時に髪の毛を数本持ってかれていたから何となく出来ることは予想できていたんだけどな。
「ノエル」
アオイの言葉と共に俺は一旦後ろに下がる。
その瞬間にはウィンさんの斜め上から、雨のように大量の水の槍が降り注ぐ。
「チッ!」
ウィンさんは一つ舌打ちをするとそれを回避してこちらへと向かって来る。
俺は再び魔導書を構えてウィンさんに対応する。
「暴風の領域!!」
そんな俺に対してウィンさんはその身に風を纏って突進してきた。
アオイに聞いた話ではあれは氷結の領域を使っていたからこそ防げた物で、それ無しで耐えるのは厳しいとの事だった。
だがそれはアオイがまだヤタガラスを使えなかったときの話で、尚且つ俺自身は痛みを感じていなかったとは言え、しばらくは耐えていたのだ。
問題はない······
「ノエル! ダメ!」
アオイの言葉に反応して俺はその場から飛び退く。
次の瞬間にはその場所にウィンさんが鎌を突き立てる。
鎌を振り切った無防備な状態のウィンさんに氷弾を打ち込むアオイ。
だが、それもウィンさんの回りに渦巻く風によって破壊された。
······ってあれ? 風によって?
アオイの方を確認するがアオイはまだ鏡をウィンさんへと向けたまんまだし、アオイ自身も不可解そうな顔をしている。
つまり、アオイが魔法を妨害するのを止めたわけではないはずだ。
なのにウィンさんは魔法を使えているのか?
どういう事だろうか?