試練の洞窟その1
また0時過ぎ更新······
申し訳ないです。
一応次回更新は土曜日になると思われます。
俺の言葉にしばらく唖然としていたヤマト兄妹だったが、やがて正気に戻ったのか何やら兄妹で話している。
しかし先程の会話の流れでそんなに唖然とするような事はあっただろうか?
少しして話は終わったのかライノさん達がこちらへ歩いてくる。
「まっまぁ何はともあれ今からアオイ達にはこの試練の洞窟に潜ってもらうことになるんだが······ノエルはこの試練の洞窟についてどのくらいの事を知ってる?」
聞かれて少し考えてみたが、よく考えればその存在すらも先程アオイやミズキさんに聞いてようやく知ったような物なのだ。
「ほとんど何も知らないですね。アオイとミズキさんに聞いた、事くらいしか······」
「ふむ、それなら何を知っているのかを確認するよりも最初から全てを説明した方が早そうだな······まずは入る事の出来る条件だが、まずは前提として試練を踏破していないヤマト家の人間が必要となる。今回は何度か試練に挑戦してはいるが、一度もクリアすることが出来なかったアオイがそれに当たる」
ちょっと言い方に考えさせられるところはあるが、言っても仕方がないので今は黙って頷く。
「それに同伴する形で、もう一名までついていくことが出来る。しかし、ヤマト家の者で試練を突破している者はこの同伴にすら参加することはできない。要するにこの段階でアオイとウィンを除いたヤマト家の人間が参加する事は出来ない。それを理由にアオイも一人で試練の洞窟に潜ることになっていたしな」
それを聞いた俺は伺うようにアオイの方を確認するが、どうやら事実のようだ。アオイも頷いている。
「また、試練の洞窟でどんな試練が行われるかは人によって変わるが、どのような試練であれ同伴者は中の敵を攻撃することは出来ない。まぁ、その代わりに中の敵からの攻撃でダメージを負うことも無いが」
「えっ!? どういう事ですか?」
流石にそれは意味がわからない。
「あー、簡単に言ったら中の敵は幽霊みたいなもんなんだ。あくまでも同伴者にとってはの話だがな」
「つまりアオイにとっては······」
「勿論私にとっては実体はあるし、攻撃を受けようものなら傷も付く。あくまで同伴者であるノエルに限っての話。万が一私が洞窟内で死傷するような怪我を負っても洞窟外に排出されるだけだから心配しなくても大丈夫」
アオイが話を補足してくれるがそれじゃあ······
「俺は回復とか補助呪文をかける事に徹することになるのか······うまく出来るか少し自信ないな」
「ノエル君って本当に白魔法師なのかい?」
「これでも一応······多分、きっと······ちょっと自信なくなってきたかも? よく考えたら最近依頼を受けるときも補助魔法使ってたの私だけだったような気が······」
俺の言葉に再び始まるヤマト家トーク。しかし、一つ言い訳をさせてもらうとしたらアオイは明らかに後衛だ。少なくとも前衛は難しいだろう。ならどちらにも立てる俺が前衛をやるべきだと言う考えはおかしくないだろう?
え? そもそも白魔法師は前衛では無いって? 実際に立ててるんだから良いじゃないか。細かいことは気にしなくても。
「まぁ、注意するべき事はこれくらいだ。だが、最奥部にいると思われるウィンにもノエルが攻撃できないという制約が適応される可能性もあることだけは覚えておいてくれ」
俺とアオイが同時に頷く。
「それじゃあ二人とも頼んだぞ」
「はい。それでは行って参ります」
ライノさんの言葉に二人で頷いて俺たちは試練の洞窟に踏み込んだ。