ミズキさんの話
何とか今日中に書けました······次は明日予定です!
「どう言うことですか!? ミズキさん!? ウィンさんが逃げ出したって!?」
いきなり飛び込んで来たミズキさんに事情の説明を要求する。
「それについては俺から説明するよ」
「······ノクスさん?」
「俺はノエル君から話を聞いて幾つか疑問に思ったことがあった。まぁ、その辺はさっき全部フィデスが言ってたから割愛するとしてだ。一番引っ掛かっていたのは、ワザワザルール君を遣わせてまでノエル君達の冒険者証の回収を急いだことだ」
「どう言うことですか? もし、俺達から冒険者資格を剥奪するなら冒険者証を回収するのは当たり前なんじゃ······?」
「そうか? よく考えてみろ。さっきフィデスも言ってたが、ノエル君達はあの大会で確かに少し危険な行動をしたが別に人を殺した訳では無い。普通なら冒険者資格を剥奪されるだなんて考えないはずだ」
確かに俺もいきなりルールさんに資格剥奪とか言われて驚いたし。
「それならノエル君達は依頼を受けるために一度冒険者ギルドに行くだろうし、勿論依頼を受理するために受付を通す必要があるわけだ」
まぁ、そうだな。
「それならその時にでもギルドマスターから用があるとでも言って、その時にフィデス直々に冒険者資格の剥奪を伝えて冒険者証の返還を要求した方が確実じゃないか? 少なくともルール君一人を遣わせて、冒険者証を持ち逃げされるリスクを負うより、よっぽど確実だ」
確かに······まぁ、俺は逃げたりはしなかったと思うけど······多分、恐らく······きっと。
「それなのにワザワザルール君を遣わせた·······しかも、どう考えたって冒険者資格を剥奪する意味もないアオイ君まで冒険者資格を剥奪するというおまけをつけてだ。·······と言うことは、その理由があるんだと考えた。例えば誰かさんがノエル君とアオイ君の冒険者資格を剥奪するためにこんなことを仕掛けたとかね?」
「あっ······!」
その言葉に俺はセバ・スチャンが言っていた言葉を思い出した。正確にはセバ・スチャンが言っていた。
『家を出た者がヤマト家の名前を使って冒険者をするなんて······許せないわよね?』
と言うものだ。
実際にはアオイはヤマト家の名前を使わずに、ただのアオイとして登録しているため、ただの言いがかりにすぎないのだが······
「そう、ノエル君の話を聞いているとその動機を持つ人間······と言うかほぼ真っ黒な人間が一人いたからね。気になることを聞いてくるのと同時に確認をお願いしてきたんだ。ヤマト家の権力を使って冒険者ギルドに干渉していた者がいなかったかどうかを」
それを聞いて俺とアオイはミズキさんの方を見る。
俺たちに見つめられたミズキさんは頷く。
「私が調べた結果では確定とは言えないまでもウィンがかなり怪しいわね。一つずつ辿っていったら要請はヤマト家側から出ていることになっているのに父様はそんな要請を出した記憶は無いと言ってたし」
そこでミズキさんが一旦言葉を切る。
「それに、かなり状況は悪い事になっているわ。最悪この王都が滅茶苦茶になるかもしれない」
「何だって!?」
ミズキさんの言葉に俺たちは驚愕する事になった。