ノエル&アオイVs.ウィン・ヤマト&セバ・スチャン6
先日は投稿できずすいませんでした!!
次回投稿は明日(の予定)です!!
「アァァァァァァァア!」
アオイの詠唱が進むに連れて弱まっていくウィンさんの咆哮。
それと同時にこちらを襲う風の刃の数も増す。
まるで一秒でも早くアオイの詠唱を止めようとするかのように。
しかし、俺はその全てを回避し、アオイは最後までその詠唱を途切れさせる事は無かった。
そして、遂にアオイの詠唱が完成する。
「『絶対・零度』」
アオイの言葉と共にウィンさんの足下の魔方陣が白銀に輝く。
「アァァァァァァァア!!」
それと同時に最後の断末魔を上げてウィンさんが倒れこむ。
これで俺たちの勝ちだろう。
「ふぅ、お疲れアオ······「ノエル! 危ない」······」
「お疲れ」とアオイに言う前にアオイから突き飛ばされる。
慌ててアオイの方を見るとそこには
「え?」
後ろからウィンさんに胸を貫かれたアオイの姿があった。
「ちっ······気付かれましたか······まぁ、まずは一人です」
ズボッと言う音と共に引き抜かれるその手。
崩れ落ちていくアオイの姿があの日の母さんと重なりあって目の前が真っ赤に染まる。
しかし、怒りに呑まれかけた俺の頭に、少し前まで俺に魔法を教えてくれていたノクスさんの言葉が思い浮かんだ。
「ノエル。白魔法師にとって一番大切なことは冷静でいることだ。仲間を傷つけられて怒ろうと、急病人を前に焦ろうと、それを一旦棚上げして冷静で要られるようにしなさい。でないと君は救える命すらもいつか取りこぼすことになるから」
その言葉を思い返すと同時に頭が少し冷える。
そうだ。怒りに任せてウィンさんをぶん殴るよりも先に胸を貫かれたアオイに治療を施すのが先だ。
俺はとりあえず魔導書をウィンさんに向かって投擲した。
「──っ!?」
やはり、ウィンさんも俺が魔導書を投擲するとは思っていなかったようで、慌てて回避した。
その隙に俺はアオイを抱き上げると一旦ウィンさんから離れてアオイにハイヒールをかける。
ハイヒールはノクスさんから教えてもらった光魔法で、ヒールの上位版だ。
みるみる内にアオイの傷が塞がっていく。
しかし、これはあくまでも傷を塞いだだけなので、流れた血や、失った体力が戻るわけでも無く、気絶から覚める訳でも無い。
それでも応急処置としては十分だ。
「さてと······終わったかな? 憐れな虫けらさん。心配せずとも貴方を屠った後、その娘も同じ場所へと連れていって差し上げますとも」
俺がアオイを直している間、何故か攻撃しようともしなかったウィンさん······いや、
「お前は誰だ?」
俺は目の前で相対している相手にこう訪ねるのだった。