ノエル&アオイVs.ウィン・ヤマト&セバ・スチャン2
ノエルとセバ・スチャンが対峙してる。
私とノエルを合流させまいとしていた風の刃もノエルが私と合流しないとわかったのかさっきから止んでいる。
「あらあら、戦闘中に余所見なんてそんな余裕はあるのかしら? アオイ姉さん」
ワザワザ「姉さん」の所を強調した声のした方に目を向けると鎌を肩の上に乗せたウィンが歩いてやって来ていた。
その華奢な肉体とは不釣り合いな大鎌を担いでいるせいもあって元から小柄なウィンは余計小さく見える。
「それにしても······今日はミズキ姉さんもあの王子様君も助けに来てくれないわけだけど·······大丈夫かしら?」
ウィンが言葉を投げ掛けて来る。
ミズキ姉さんやノエルがいなくても大丈夫か·······か。
正直大丈夫では無いのだろう。ノエルにあんなお願いまでしたのに、今までやられてきた時の事を思い出して足は震えているし、心臓もはち切れそうなくらいに脈打っている。
本能は今すぐに逃げ出したいって叫んでいるし、気を抜いたら直ぐに足が後ろを向いて走り出しそうだ。
だから私は······
「ウォーターバレット」
返事の代わりに魔力を水の弾丸へと変化させてウィンへと放った。
「ふん! なるほど······歩いてくる途中の牽制もなしに他の所を向いていた事と言い、こんな単純な攻撃を一発放っただけと言い······なめてんのか!? そんなに私の風の結界でズタズタにされてぇのか!! だったら望み通りにしてやんよ! 『吹き荒れろ! 暴風の領域!!』」
勿論私の攻撃はウィンの鎌の一撃によって弾かれてしまうが、闘争の意思を示すために放った物だから関係ない。
ウィンが風の結界を纏っていることですら関係が無い。
ライノ兄様ならばまず遠距離攻撃の雨霰でウィンを近づけることも無いだろうし、もし近づかれたとしてもライノ兄様は水属性に対する耐性が更に下がると言う欠点はあるものの体その物を一時的に炎に変えることが出来るのでウィンの暴風の結界は意味が無いだろう。
フラム兄様ならばどうするだろうか? うん、あの硬い体に幾ら弱点属性とは言え垂れ流している程度の風が傷をつけられるわけが無い。近づかれた所をその力で叩き潰されるだけだろう。
ミズキ姉さんは風の刃で切り裂かれても動きを止めない獣の群れでそもそも近づかれる事が無い。言っていた。
それなら私はどうやってあの暴風の結界を防ぐのか。
その方法も既に手に入れている。手段としてはライノ兄様と······何よりウィンに近い物が有るだろう。
ノエルと一緒に戦った時に使ったのを見たミズキ姉さんが言っていた、恐らく私だけの特異性を利用した防御方法。
ウィンがその暴風により体を切り刻もうとするのなら私はこうする。
「『氷結の領域』」
私の言葉をトリガーに一気に私の周囲の温度が下がり始める。
私の『水の形だけでなくその温度を変化させることができる』という特異性を利用した技だ。
学校の二年生になった辺りから当たり前のように使っていたが、よく考えたら他の青魔法師が使っている所を見た事が無かった。
そして、この『氷結の領域』は私の半径10メートルの領域を氷点下まで下げる。これにより、風属性魔法で自身の素早さが上がっているウィンでも動きがかなり鈍くなる。
それと同時に私は自分の周囲に水を展開する。その水は周囲の温度と、私の魔力により凝固し、普通の氷よりも遥かに硬い壁となる。その氷が私に貼り付く。
まぁ、要するに氷の鎧と言った所か。
弱点としては、今回ウィンの暴風の領域を警戒するために全身を覆っているため動けないのと、味方にも被害が及ぶため、今のように味方が少し離れている状態じゃないと使えないと言うことくらいか。
「さっむ! なによこれ!」
「私は貴方を倒す! ウィン!」
申し訳ないのですが、明日は確定で更新が出来ません。次の更新は大晦日か、年明けてからの更新となります!
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