決戦前
なんだかんだまだグダグダしてます。
つっ、次からは戦いに入る予定なんだからね!
朝食を済ませた俺とアオイはそのまま訓練所Bに向かう。
「おはよう。二人とも緊張は······そこまでしていないみたいね」
「おはようございます。ミズキさんはどうしてここに?」
訓練所Bにつくと直ぐにミズキさんが話しかけてきた。
「忘れたの? 一応私も冒険者で、一応B級なんだよ?」
そう言えば······ずっと治療師ギルドで会っていたからついついミズキさんが冒険者だと言うことを忘れてたよ。
「と言うことは······ミズキ姉さんも参加するの?」
「勿論。パートナーはアン······って言ってもわかんないか。一緒に治療師ギルドのボランティアを手伝ってくれているC級の娘に頼んだわ······っとそうだ! こんな話をしてる場合じゃ無かったんだった。ちゃんと手続きをしておかないと来なかった扱いになって、何らかのペナルティーを受けることになっちゃうから早く受付してきた方が良いわよ」
「えっ!? そんなのあったんですか!? ありがとうございます」
お礼を言う俺に気にしないでいいと、手を振るミズキさん。
渡された紙には「受付をしなくてはならない」なんて書かれていなかったから知らなかった。
「行こう! アオイ!」
「ん」
俺とアオイは慌てて受付の方へと走り出す。
「はい、それではノエルさんとアオイさんですね。受付完了です。頑張ってくださいね」
「ありがとうございます」
時間に余裕を持って来たお陰かそれほど時間をかけずに受付を済ませることが出来た。
まぁ、まだ開会式までも30分以上の時間があるし、そんなものなのかも知れないが······
「さて、時間もまだあることだしミズキさんの所に·······」
戻ろうか······と言おうとした所で後ろから聞きたくもない声を聞くはめになった。
「あらあら、一回戦から私達と当たってしまうと言う不幸に見舞われながらも逃げずにちゃんと来たみたいね······まぁ、逃げ出した時はその時で考えがあったんだけど」
後ろを振り向くとやはりと言うか何と言うかそこにはウィンさんとセバ・スチャンさんがいた。
それにしても何から突っ込んで良いのかがわからない。取り敢えず一番聞いておきたいことを挑発を交えて聞くことにしよう。
「暇なんですか?」
「ブフッ」
俺の言葉に隣でアオイが吹き出した。
しかし、そうだろう? 俺達が冒険者ギルドに顔をだすと必ずと言って良いほど出会うのだ。
俺達が会おうとしている訳では無いのだから向こうからワザワザ会いに来ていると考えるべきだろう。
なら、それが出来るくらいには暇······と言うことでは無いだろうか?
それが図星だったのかどうかわからないが、ウィンさんは顔を真っ赤にしている。
「あなた······覚えてなさいよ? 試合でズタズタにして上げるから」
「いや、流石にズタズタにしちゃったら失格になります。それに······」
「それに?」
アオイの肩に手を置いて宣言する。
「ウィンさんはアオイには勝てないです。だから俺をズタズタにするのは無理ですね」
その言葉にウィンさんは一瞬唖然とした後
「あはは! それは面白い冗談ね。本当にそんなことが起こりうるのか試して上げる。行くわよ! セバ!」
「かしこまりました。お嬢様」
高笑いして去っていった。