俺達は冒険者生活をスタート······出来ないだと!?
お久しぶりです。本日よりしばらくは短くとも毎日更新できると思いますので、改めてよろしくお願いいたします!
これからは基本的に1日1話になると思われます。
感想にて意見を下さった方々ありがとうございます!
冒険者養成学校のダンジョンの氾濫があってから一週間後、学校からの連絡を聞き、帰郷するテツやレッカ、ニナ、再び依頼へと戻る深夜の狼の皆を見送った俺とアオイは冒険者登録をするべく冒険者ギルドへと向かっていた。
この世界での冒険者とは他人からの依頼を受けて、それを達成することで報酬を貰ったり、魔物の素材や魔石を売ることで得た賃金で生活する人達の事である。
ではなぜ冒険者という身分が必要になってくるのか?
ただ単に魔物の素材や魔石を売る······そうでなくとも依頼を介さなくとも人の手伝いをすることで報酬を貰うことも可能ではある。
しかし、その対価を決めるのはそれぞれの交渉次第であり、それだとお互いが納得するような条件を出すのが難しいため、平行線となることが多い。
更に言うならばその手伝いですら探すのに難儀する事が多いので、そんな状態ではまともに生活していけるわけが無いのだ。
そんな状態を解消するために作られたのが冒険者ギルドだ。
冒険者ギルドは依頼をしたい人から依頼の内容を聞き、その脅威度等を確認した後その適正のランクを決め、依頼主と報酬の相談をし、双方合意に至った所で冒険者たちに依頼を提示する。また、冒険者達が持ち帰った魔物の素材や魔石をそれぞれある程度一定の料金で買い取る事で冒険者として登録されている者達の生活を支えている。
ここだ、どうして冒険者という身分が必要になってくるのかという最初の問いに戻るのだが、その理由が、このギルドのシステムを利用して、お金を貰う事が出来るのが「冒険者」のみだからである。
まぁ、冒険者には希望すればほとんど誰でもなれるため、あんまり意味のない制度ではあるのだが······
それと、先程言っていた依頼のランクについてだ。冒険者ギルドではその実力や実績に応じて、冒険者ランクを一人一人に与えている。上からS、A、B、C、D、E、F、Gだ。基本的にG級では街中の雑用の依頼しか受けることはできず、F級から魔物の討伐などの依頼を受けることが出来る。
また、受けることが出来る依頼は自分のランクに+1まで、もしくは所属しているパーティーメンバーの最高ランクまでだ。
そして、本来なら登録の際は雑用のGスタートなのだが、俺たちは冒険者養成学校の仮卒業証を持っているためE級からスタートが可能だ。
そう考えて冒険者ギルドに行ったのだが······
「俺は登録できないってどう言うことですか!!」
アオイの方はすんなりと登録が完了したのだ。アオイの手には青魔法師を示す青い冒険者用のプレートが握られている。
しかし、登録のために俺が白魔法師だと告げた瞬間にギルドの職員の態度が変わった。明らかにオロオロし始めたのだ。
「申し訳ないですが、白魔法師は勝手に冒険者登録するなとギルドマスターから厳命されているんですよ······今別の者がギルドマスターを呼びに言っておりますので少々お待ちください」
どう言うことだ? 今の所白魔法師で冒険者の人は確かに居ないがそれでも登録拒否は有り得ないだろう。
「ふむ。君が件の白魔法師か······少し話したいことがあるからギルドマスター室まで来てもらってもいいかな?」
女の職員に連れられた初老の男性が俺に声をかける。俺は頷くとアオイと一緒にその男性についていった。
しばらくして一つの部屋(おそらくここがギルドマスター室なのだろう)に入るとギルドマスターに指し示された椅子に座る。
「ふむ。まずは自己紹介からだな。私はこの冒険者ギルドのギルドマスターなんぞを務めておるフィデスだ」
「ノエルです」
「······アオイ」
フィデスさんの自己紹介に俺たちも自己紹介を返す。
「ふむ。ノエル君にアオイ君か······それではどうして我等がノエル君の冒険者登録を拒否したのかを説明させてもらおう」
そう言ってフィデスさんは語り始めた。