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これから

「ウェルさん······さっきはすみませんでした」


 再び目覚めた僕はウェルさんに頭を下げてさっきの事を謝っていた。


 しかしウェルさんは手を振りながら


「いや、俺たちがもっと早くついていれば救えたかも知れなかったのも事実だ。謝る必要は無いよ」  


 ウェルさんが微笑みながらこちらを見る。


 改めて見ると茶髪に茶目のかなり整った顔立ちをしていた。


「それで······これからのことなんだが······」


 切り出しにくそうにウェルさんが言い出す。


 僕は何を言われるのかわからずに首を傾げる。


「俺たちと一緒に王都にこないか?」


「王都へ?」


 王都アルンはこの村から歩いて2ヶ月、馬車で1ヶ月かかるかどうかという場所にある名前の通り人間の過ごす場所で一番大切な場所だ。


「そうだ。他の町や村じゃ難しいが、王都には魔物災害やその他の理由から孤児になった者の面倒をまとめて見ている孤児院があってな。そこならえーっと······」


 そこでチラチラとこちらをみるウェルさんを見て、僕はまだ自分の自己紹介どころか助けてもらったお礼すらしていないと慌てて自己紹介をする。


「あっ、僕の名前はノエルです。遅くなりましたが助けてくれてありがとうございました」


 そう言って頭を下げる。


 僕の謝罪を手を振って受け入れたウェルさんが話を続ける。


「まぁ、その孤児院ならノエル君も15歳までは衣食住が保証されるし、適正職業につくこともできるだろう」


『適正職業』

 普通ならばお父さんがやっていた猟師やノムおばさんがしていた料理人なんかの事をさす職業だが、今回の場合は違う。魔物と戦うための職業だ。ちなみに誰でもこの適正職業に就くことはできる。


 ならばどうしてお父さんが魔物と戦うための職業に就いていなかったかというと、簡単な話だ。

 

 適正職業に就くには王都でしかできない儀式をする必要があり、王都に行ったことの無いお父さんは適正職業を得ることができなかったのだ。

 

 流石に馬を使って、その儀式が行われるちょうどのタイミングに行ったとしても往復の時間で2ヶ月もの間仕事を任せれるだけの人員も暇もなかったため、魔物と戦う職業を持っている人はこの村には一人もいなかった。


 それに僕も完全に割りきったとは言えないが、覚悟などできていようといなかろうとこれからは一人で生きていかなくてはならないのだ。


 それならば15歳までとはいえ衣食住の全てが保証される孤児院に行くのはベストな判断だと思えたのだ。


 危険な道中もS級の冒険者達と一緒なら怖いことなど何も無いし。


 僕は頷き


「是非ともよろしくお願いします」


 とまた頭を下げた。


「よし、それじゃあノエル君の準備ができ次第出発しよう!」


 ウェルさんはそう言うと僕の頭をポンポンと軽く叩いた。

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