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vs. ミノタウロス(変異種)

前に二話ほど投稿しております。そちらを読んでないかたはそちらから読んでいただけると幸いです


「ブモォオオオオオオ!!」


 ミノタウロスが、その巨大な角を前に向けて走り出す。


 テツが皆の前に出て盾を構えるが······


「駄目だ! 皆回避しろ!」


 俺の言葉に思わず体が動いたのか、テツも攻撃を回避する。


 全員に突進をかわされたミノタウロスは壁を破壊してこちらに向き直る。


 ミノタウロスの突進は岩をも砕く。


 あれが当たっていればおそらくテツでも粉々にされていたのではないだろうか?


「ブースト!」


 その少しできた時間を無駄にすることなく俺は自分にブーストをかける。


 今度はミノタウロスが持っていた斧を振り回してレッカを襲い始める。


 幸いミノタウロスはそこまで動きが速い魔物ではないのでレッカでも攻撃を回避することができている


「そんなの当たるかよ! 喰らえ! フレイムバースト」


 斧を大きく回避したレッカの、炎を纏った弾丸がミノタウロスを襲う。


「ブモッ!?」


 レッカの放った弾丸は確かにミノタウロスに当たったかと思われたが······


「嘘だろ······!」


 ミノタウロスは無傷だった。


 いや、少なくとも弾丸の着弾したと思われる場所には傷どころか熱による変色一つ無かった。


「······今度は私」


 それを見たアオイがウォーターカッターを放つが、それも振り回されている斧に阻まれる。


 どうやらレッカを追いながらもアオイの攻撃を感知していたようだ。


 どうやらこのミノタウロスには俺たちのパーティーの遠距離攻撃でダメージを与えるのは難しそうだ。


 流石にあの振り回されている斧の中で魔導書を投げたところでアオイの魔法と同じく叩き落とされる未来しか見えないし。


 こうなると近距離を試してみたい所だけど問題はテツがアイツの攻撃を防げるかどうかだ。


 テツが攻撃を防げない状態で近接攻撃なんてできるわけがないんだから。


「テツ······アイツの攻撃だけど盾で止めれる?」


「わからん。魔法を併用してガードしても止めれるかどうかだな······」


 やっぱり······それほど奴の攻撃力は高いのか。


 しかし、悠長に作戦を考えている暇などない。奴はしばらく斧を振り回してレッカを捉えることが難しいと考えたのか、斧を振り回すのを止めてこちらへと移動してきていたからだ。


 今度の狙いは······アオイか!


「ウォーターカッター」


 アオイもそれに気づいているのかウォーターカッターをいくつか放つ。


 しかしながら真っ正面から放たれたウォーターカッターは全て斧で叩き落とされた。


「こっちにゃ!」


 その隙をついてニナがミノタウロスの後ろから短剣で首に切りかかる。


「ブモッ」


 ミノタウロスが驚いて振り替える。その首には小さいながらも確かに傷がついていた。


「ウォーターカッター」


 振り向いたミノタウロスの体を先程よりも大きく、スピードも増したウォーターカッターが襲う。


「ブモォオオオオオオ!!」


体についた大きな傷。しかし······


「なんだと!?」


 ニナがつけた傷とアオイがつけた傷から煙が立ち上がり。その煙が消えるころには傷自身が消えていた。


「······そんな」


 俺の絶望感を感じ取ったのかミノタウロスがニヤリと笑う。


 そして、同じく唖然としていたニナに目をつけて拳を振るう。


「ニナ! 危ねぇ!! がはっ!」


「レッカ!─にゃっ!!」


 ニナに拳が当たる前にレッカがニナを突き飛ばし、ニナの代わりにミノタウロスの拳に当たって吹き飛ばされる。


 そして、次に飛んできた蹴りでニナがレッカの隣に吹き飛ばされる。


「くっ!ヒール!」


 二人とも壁にぶつかって意識を失ったのか倒れたきり起き上がらない。


 気絶した人間はヒールで目を覚ますことはできないが、今放置すると命の危険があるかもしれない。


 そう考えると勝手に体が動いていた。

 

 倒れた二人に駆け寄ってヒールをかけながら俺はミノタウロスの方を見る。


 奴は俺が仲間を回復しているのに気づいたのかこちらに向かってきていた。しかし、その前にテツが立ち塞がる。


「させん! ロックドーム!」


 テツがそう叫ぶとミノタウロスを包むように巨大な岩のドームができる。


「今だ!早く二人の回復を······ぐわっ!」


 テツは前から飛んできた岩の塊に当たり体勢を崩す。どうやらミノタウロスが中から破壊したときの岩が振り返っていて前を見ていなかったテツに襲いかかったようだ。


 あわててテツにもヒールをかける。


 しかし、次の瞬間にはミノタウロスは岩のドームを完全に破壊してこちらに向かってきた。


「ウォーターカッター」


 アオイが再び水の刃を産み出し、ミノタウロスの気を引くが、もう魔力が無いのだろう。片膝をついていた。


「ノエル、もう大丈夫だ! 行くぞ! うぉおおおおお! ブーストぉおおおお!」


 まだ治療は終わってないのにテツがメイスを構えて走る。


 ミノタウロスは抵抗する気力もないアオイの頭を掴むが、それと同時にテツのメイスの一撃がミノタウロスを襲った。


「ブモォオオオオオオ!!」


 ブーストによって上げられた身体能力での攻撃だ。今までで一番ダメージをうけたのだろう。ミノタウロスは苦しそうに吠えて掴んでいたアオイの頭を手放す。


 そして怒りからかテツに鉄拳を振り下ろす。


「むん! ······ぬ!?」


「テツっ! 右だ!」


 テツも盾を下から上にスライドして拳を弾こうとするがミノタウロスは激昂していた振りをしていただけで冷静だったようだ。右からテツの体に蹴りを叩き込む。


「かはっ!!」


 鍛えていた体のお陰か辛うじて吹き飛ばされることなく耐えた。


 しかし間髪入れずに繰り出された斧の一撃で盾ごと吹き飛ばされた。


 そのまま倒れこむテツ。


 慌てて駆け寄ってヒールを行うが気絶してしまっているため、立ち上がることはない。


「ブモォ」


 まるで笑うかの様に鳴きながら近づいてくるミノタウロスに俺は精一杯の足掻きとばかりに魔導書を投げつけるが、弾く価値もないと思ったのか首をかしげるだけで回避された。


 一応アポートと唱えて手元に魔導書を回収するがもう正真正銘打つ手がない。


アオイは魔力切れでそれ以外の皆は気絶しているし、俺には皆以上の攻撃力や防御力があるわけでもないのだ。


 それでもやるしかないのだ。ここで俺がやらなきゃ皆が死ぬ。


 俺はブーストを自身にかけ直すと魔力循環を同時に行う。


 ブーストを他人にかける練習をしているときに気づいたのだが、俺は魔力循環をしている時にブーストをかけているのと同じ様な状態になり、それに重ねて通常の魔法としてのブーストを重ねることができたのだ。


 それにより、二重にブーストの効果を得ることができる。


 それにより、スピードだけなら動きが遅いミノタウロス以上のスピードを出すことができるようになった。


 俺は魔導書を手に持つとミノタウロスに向かって駆ける。


「ブモォオオオオオ!」


 ミノタウロスが吠えるがビビってはいられない。


 俺はミノタウロスが振るう斧を回避してミノタウロスに魔導書を振るう。


 ──ガンッ


 鉄を殴ったような感触と共に頭の中になる警報。


 俺はその場から飛び退いたが少し遅かったようだ。飛び退く際に少しだけ体が切られる。


 飛び退いた俺はヒールを使い、傷口をなぞって消す。


 これくらいの傷なら一瞬で消せるのだ。


 そして再び魔導書を片手にミノタウロスに襲いかかる。

 

 何回も攻撃を受けながらも未だに俺の体が原型を保っているのはおそらく二重にかかったブーストのお陰だろうか。


 しかし、その拮抗はそう長くは続いてくれないのは誰の目にも明らかだ。


 何故ならミノタウロスは回復されているとは言え、着実に俺にダメージを与えているが、俺にはミノタウロスにダメージを与える術がない。


 先程から魔導書で様々な場所を攻撃してみたが、ダメージは通っていないからだ。


 一度危険を覚悟でゴブリンの首をへし折ったフルスイングも試してみたが傷らしい傷を追わず、その傷も一瞬で回復してしまった。


 その後手痛い反撃を受けたのは語るまでも無いだろう。


 白魔法師の最大の弱点。他属性の攻撃魔法が使えないため、火力が不足し気味なのだ。


 恐らくこういう状況になったとき白魔法師は誰よりも弱い。だからこそ皆から忌避されているのだ。


 もう何度目だろうか······膝をついた俺は自分にヒールと、体力を回復させる魔法レストをかける。


「───っ痛!」


 少し魔力を込めすぎたようだ。俺の体が過回復によって傷付く。


 そういえば初めて過回復が発動した日、どうしてシエラさんが過回復でできた傷を回復魔法で直さなかったのか気になって試した時があった。


 あの時は本気で死にかけた。


 回復魔法を再び自分にかけた瞬間傷が新たに増え初めてその傷全てから血が吹き出したのだ。


 つまり過回復の状態で回復させるのはご法度ということ······


 そして、先程からミノタウロスは傷を自動的に回復させている······


 微かに見えた光明に俺は再び立ち上がる。


 先程から何度も魔導書を当てているのだ。触れてヒールを発動するくらいは可能だろう。


 俺は再び走り出し、ミノタウロスが斧を振りかぶった瞬間に停止し、魔導書を投げる。


 いきなりの行動に戸惑ったミノタウロスは、そのまま斧を上から下に振り下ろして魔導書を迎撃した。


 その間に俺はミノタウロスの後ろを取った。


 そして、今自分に残っているありったけの魔力を使って魔法を唱える。


「ヒール!」


「ブッ!? ブモッ!? ブモォオオオオオオ!!!!」


 黒いミノタウロスの体が膨張し始めたのを見て成功したことを知った。


 そして数秒後、断末魔の悲鳴を上げながら黒いミノタウロスは爆散した。

本日の投稿はこれで終了です。


初めての戦闘シーンなのでかなりグダグダになってしまった感あります


申し訳ないです


感想や、こうしたらいいよ等といったご指摘お待ちしております。


次回投稿は火曜日の夜を予定しております

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