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冒険者養成学校七不思議その1

今回その1とかしていますが、その他の七不思議を出すかは不明です。


誤字報告ありがとうございます。10月29日更新させて頂きました

 結局武器を手に入れる事ができなかった俺は落ち込みながらも図書館へと向かっていた。


 まぁ、今は無理でもいつか武器を買える位の金が手に入った時のために、それぞれの武器の特徴を把握しておこうと思ったのだ。


「ねぇ、あなた······結構な頻度で図書館に来てますよね?」


 図書館で働いている司書さんに何時も通り軽く会釈をしてから本を探しにいこうとするが、今日はその司書さんに呼び止められる。


 まぁ、確かにテスト前は例外として、何故か図書館に来る生徒がそこまで多くないこの学校の中でなら、俺はアオイに次いでここに来ている生徒となるだろう。


 そう思ったので頷くと


「少しだけ頼み事をお願いしたいんだけどいいかしら?」


「頼み事······ですか?」


司書さんは俺の言葉に首肯すると、その頼み事の内容を話してくれた。


「実はこの学校には七不思議があってね。その内の一つ『消える白本』について調べて欲しいのよ」


「『消える白本』ですか?」


 名前を聞いただけではどんなものかわからないが······


「えぇ、簡単に話すとこの図書館にある本は全て登録されているはずなんだけど、表紙が白い本なんて一冊もないはずなのよ」


「あれ?」


 早速俺は首を傾げる。


 何故なら今まで読んだことは無いが本棚の中に表紙どころか純白と言っていいくらいの本を何度か見かけた事があるからだ。


 現に今も俺の視界の端に真っ白な本が一冊見えてるし······


 タイトルすら書いてなくて興味も無かったため読まなかったが。


 まぁそれは良しとして······


「で?その本がどうしたんですか?」


「その本はね。どこの誰が手にとっても中を見ることができないの······何故か表紙を開くことができないのよ」


 フムフム······と頷いておく。


「そして、手に取ってから大体5分くらいでなくなっちゃうんだって。元から何も無かったかのように。まぁ、どうして調べてほしいかと言いますと、今までは各学年で一人か二人しか報告が来ていなかったような話なのに、何故かこの学年では入学してここまでの3ヶ月とちょっとの間だけで20人も報告に来ているんです。流石にこれは異常だと思われますので、できたら協力していただけるとありがたいのですが······」


 確かにそれは驚きだ。


 そんな本があるなら無理矢理にでも中身を見てみたくなる。


 なので俺は先ほどから視界の先に写っている本棚に移動し、真っ白な本を手に取ると司書さんに見せる。


「なるほど······ところでその本っていうのはこれのことですか?」


「あっ、多分これです! こんな本登録されている本の中に無いですから!まず、タイトルが書いてない本なんてあり得ないですよ!」


 なるほど、やはりこの本で間違いは無いらしい。


 俺は力を込めて開けようとしてみる。


 「むっ!?」


 確かに固い。何かで接着されているかのように動かない。


「開かないのですか?」


「っ······! まだまだ! 『ブースト!!』」


 司書さんが心配そうな声をあげるが俺はそう簡単に諦めるつもりはなかった。


 ブーストで、身体能力を上げてもう一度挑戦する。


 すると······


「へ?」


 普通に表紙が開いた。というか、力を込めすぎて俺がひっくり返った。


「開きました······ね?」


「ええ、開きました······とりあえず中身を······ってなんじゃこりゃ!?」


 確かに開いたことには開いたのだが、中身は真っ白だったのだ。これではノートくらいにしか使えないだろう。


「どうしましょうか······これ?」


「うーん。先程からもうとっくに5分は過ぎてると思うのですが消えないですし······それに中身も真っ白ですからね······あなたに差し上げますよ」


 いきなりのあげる宣言だがそれは不味くないのだろうか?


 俺がそれを伝えると


「いえ、図書館に登録されていない本があるという方が問題ですので是非とも持ってかえってください」


と言われてしまったので俺はその本を持って帰ることにした。

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