ダンジョンについて
またまた説明回です。
一応投稿前に少し前話を増量してますので、よろしければそちらを先にお読みください。
......直接話の筋に関係があるわけではありませんが
「えー、ここにいる皆さんはつい先日行われた座学のテストに合格して、実習に参加する権利を手に入れたと言うことですね。まぁ、私のクラスどころか学年でさえ脱落者はいなかった訳ですが······と言うことで本日の座学は明日行われるダンジョン実習に先んじて、明日から潜ることになるこの学校のダンジョンの事を軽めに······いえ、しっかりと勉強しましょう」
レスト先生の言葉に今までほとんど全ての座学の授業の時間を本を読むことに費やしていた俺も顔を上げた。
一応ダンジョン関係の本は何冊か読んだがこの学校にあるダンジョンについての詳細は知らなかったからだ。
「まずは他のダンジョンと同じ点から話しましょうか。最初にダンジョンの壁は壊れてもすぐに修復します。次にダンジョンはその壁から魔物を産み出します······これは何時どこで産まれるかわかりませんのでダンジョン内では気を抜かないでください。最悪の場合には自分の真上に生まれて、そのまま不意を突かれて······なんてこともありますのでね······また、変異種と呼ばれる存在がいます。ごく稀にしか出ないのですが普通に現れる魔物の色違いだったり細部が変わっていたりするだけですが、その様な魔物を見つけた場合は気づかれないように逃げてください。気づかれたら今の皆さんでは基本お陀仏です。というのも変異種はその魔物毎の力に応じて設定されたランクの一段階上の力を持つ存在だからです。あー、ちなみに見ただけでなんとなくこいつは変異種だって言うのはわかりますから、危険だと思ったら基本逃げれば大丈夫です」
ちなみにランクとはSから始まり、S,A,B,C,D,E,Fのそれぞれと、それに-(マイナス)がついた14段階に分けられたものである。
それぞれが冒険者のランクと連動しており、同じランクのモンスターが、大体平均的な力を持ったそのランクの冒険者パーティー4~5人で余裕を持って倒せるレベルだ。ちなみにそれが-(マイナス)になるとそのランクの冒険者一人でもよほどの事がなければ倒せるレベルだ。
一応一例として俺たちの村を襲った魔物の一種オークを例にあげてみるとしよう。
奴らは単独ではE級、3匹以上群れればD-(マイナス)級の魔物として扱われる。
このオーク一体なら平均的な力を持ったE級の冒険者1パーティーで余裕を持って倒すことができるというわけだ。
それが3匹になった時点でE級のパーティーでは無理が出てくるが、平均的な力を持ったD級の冒険者ならば一人でも危なげなく倒すと言ったかんじかな。
そして、このオークが変異種になってくるとD級となり、通常種なら3匹纏めてでも問題なく倒せたD級の冒険者が苦戦どころかパーティーメンバーが揃ってようやく倒せるレベルになる。
つまり、それくらいに変異種の魔物は危険なのだ。
「後はボス部屋にもなるべく入らないようにしてください。ボス部屋は一旦入ればボスを倒すまでは結界によって出ることが出来ず、また、入ってから一分後には完全に入り口も閉まって援軍にも入れなくなります。明らかに怪しい大きな広間なので見ればわかると思います。扉みたいなのもついてますしね」
ボス部屋にいるボスは······一応変異種よりは弱いかもしれないが、それでもその階層に出てくる敵よりは強い。
だから基本的には戦いたくない相手ではあるかな。
「まぁ、潜るのは1階層のみなので特に危険はないでしょう。一応罠なんかもありますが2階層に落ちてしまう落とし穴程度の物なので魔物の強さも変わりませんし、最悪の場合近くにいる冒険者の方々に助けを求めてください······そして」
続けて真剣な表情でレスト先生が口に出した言葉に俺は立ち上がりかけた。
「このダンジョンのコアはとある理由からまだ破壊されておらず、回路などの使用も可能ですし魔物の産まれる頻度もそれなりに高いです」
コアが破壊されていないダンジョンは破壊されているダンジョンと比べて大きく3つの違いがある。
一つ目は成長していくこと。
コアを破壊されていないダンジョンは段々と成長してより強い魔物を産むようになってくる。しかしこれも悪いことばかりではなくて、代わりにより良いアイテムの入った宝箱が産まれたりもするようになるのだ。
二つ目はその魔物を産む早さ。
コアを破壊されていないダンジョンは破壊されているダンジョンに比べて約2倍の早さで魔物を産む。その分変異種が産まれやすくもなっている。
三つ目は先ほど先生が言っていた回路だ。
回路とは各階の入り口とダンジョンの入り口を繋ぐ魔方陣で、各階に移動が可能になる。
しかし、一度その階の回路に自らの魔力を注ぎ込んでおかなければ使用は不可能。
例えば30階層まで行っている人と20階層まで行っている人が同時に回路を使っても一人ずつバラけさせられるだけで二人とも30階層に行けたりはしないのだ。
「まぁ、毎日冒険者に依頼をして魔物を狩ることで氾濫対策はしているから問題はないんですがね······そして最後になりましたが」
レスト先生の言葉に皆固唾を飲んで見守る。
「魔石はしっかりと回収してきましょう」
レスト先生のの言葉に皆が椅子から滑り落ちかける。
魔石とは魔物が体内に持つ石のことで魔力が凝縮されたものの事だ。そのまま持っていても特に意味は無いが、傷の治癒や体力の回復、魔力の回復に使えるポーションというアイテムの材料となるため、普通に買い取ってもらえる。
確かに冒険者の収入に関わってくる大切なことではあるのだが、あんな空気の中で言うようなことではないと思ったからだ。
そんな俺たちに構わずにレスト先生は教室を出ていった。
申し訳ないのですが、作者の勉強などの時間を取るために本日の更新はここまでとさせて頂きます
次回更新は明日にさせていただきます!