ヤマト家最強の男1
活動報告にも掲載させていただきましたが、実際にやってみた感じ、週3から4の投稿は難しいと判断いたしました。
申し訳無いです。
今後は週最低1の投稿を行っていくつもりでおりますので、ご了承をお願いいたします。
「そういえば、アオイちゃんは当然持っているとして、このパーティーで魔武器を持ってる人って誰がいるの?」
「とりあえず持ってるのはノエルとテツ」
「あー、ノエル君は本を投げてきたり本で殴ろうとしてたらしい挙動からなんとなく察してはいたけど、テツ君も持ってたんだ」
あれ? そういえばミズキさんには俺の魔武器のこと説明してなかったっけ?
「うん。テツの魔武器はかなり強い」
テツが使う魔武器は守護者の大盾という名前で持ち主の防御力を上げ、遠距離攻撃などの軌道をこの盾に吸い寄せるというものだ。
一度、アオイが限界まで抵抗を試みたが、アオイレベルの魔力操作をもってしてもその軌道を修正することはできなかった。
俺やニナが後衛の事を考えずに攻めに転じることができるのも、この守護者の大盾があるからこそだったりする。
「レッカ君とニナちゃんは?」
「んー、俺等は持ってねぇな」
「持ってないのにゃ」
レッカとニナは魔武器こそ持っていないものの、それを補って余りある獣化という切り札を持っている。近接での戦闘能力じゃもう俺は勝てないんじゃないか? ってこの前言ったらニナから苦い顔をされた。解せぬ。
「へぇ、魔武器って実は持ってる人結構少ないのにパーティーメンバーの半分が持ってるなんて凄いじゃない! アオイちゃんたちって確かまだC級のパーティーだよね?」
「ん。今はDかEくらい?」
ランクで言うなら俺とアオイがC、テツがD、ニナとレッカは冒険者養成学校から出て実は一度も冒険者として活動していないからFだ。本来冒険者養成学校を卒業すればE級から始めることができるのだが、俺達って実は休学扱いでまだ卒業はしていないことになっているからな。
冒険者パーティーのランク基準はパーティーメンバーのランクの平均となる為、Cが二人にDが一人、Fが二人であれば基本的にはE級、実力が認められているパーティーであればよくてD級というところになるだろう。
ミズキさんもそれを理解したのか、特にツッコミなどを入れてくることは無い。
「まぁ、父さんは良くも悪くも実力主義だから冒険者ランクで話を聞かないなんてことはないから大丈夫かな………。それに話のメインはアオイちゃんになるだろうし、行ってみようか」
というミズキさんの軽いノリでヤマト家へと連れてこられた俺達だったが、流石にこの人の前に立つと緊張する。
「ミズキから話は聞いていたが………久しいな、アオイ」
ボルケーノ•ヤマト。
イグニスさんと同じくS級の赤魔法師にして炎拳の二つ名を持つ冒険者。
何気に会うのは初めてだけど、前に立つだけで皮膚がピリピリする。
「他の者と会うのは初めてだったと思うが………ふむ、私を前にして膝をつかぬとはそれなりにやる者達ということだな。」
ボルケーノさんが笑うがその笑みも少し怖いですよ!? 獲物を狙う肉食獣にしか見えないですもん!
「して、アオイ。わざわざミズキを通してまで私にしたい話しとはなんだ?」
ゴクリ。アオイがつばを飲む。
アオイもやはりボルケーノさん相手では緊張しているのだろうか。
S級の冒険者というだけで無く、アオイからしたら実の父親であり、今では乗り越えたとは言え、過去のトラウマの一つなのだ。
「魔武器開放のしかたを教えてほしい」
ピクリ
ボルケーノさんの眉が上がる。
「ならば示せ。その資格があるかどうかを」
言葉と同時にボルケーノさんの拳と足を炎が包む。
「アオイよ。お前の力を見せてみろ」
「氷結の領域」
アオイの魔法発動と同時にアオイの体が氷に覆われる。
「あれ? 氷結の世界じゃないのか?」
「S級冒険者の炎拳は赤魔法師らしからぬ高速での近接戦闘で有名だからね。氷結の世界が影響を与える前に攻撃されるリスクを考えたら多少魔力を多く使うリスクを考えても防御力を高めないといけないっていうアオイの判断もわかるよ」
アオイの魔法にボルケーノさんの笑みが深まる。
「成る程、そんじょそこらの茶魔法師よりも堅牢だな。だが、私の一撃を止められるか?」
その言葉を発すると同時にボルケーノさんの姿が消え………いや!
「消えたにゃっ!?」
「アオイ! 後ろだ!」
俺の声掛けも間に合わず、アオイの後ろに回り込んだボルケーノさんがアオイを守る氷に拳を叩きつける。
炎を纏った拳と氷が激突し、水蒸気が立ち込める。
「アオイ! 大丈夫か!?」
視界が悪化し、戦いの流れを見ることができない! アオイは………!?
と、そこまで考えたところでボルケーノさんが水蒸気の中から飛び出してきた。
そんなボルケーノさんを氷の茨が追いかける。
「ちっ! まさか娘に先制されるとは思ってなかったぜ………! やるじゃねえか!」
「ん………」
アオイの声が聞こえると同時に水蒸気が払いのけられ、怪我の無いアオイの姿を確認できるようになった。それに、よくみるとボルケーノさんを最後に確認した場所の付近に血痕が落ちていることが確認できる。
「一体何が………?」
「いや、見えなかったしよくわかんねぇ。だけどボルケーノさんが怪我してるって事はアオイが何らかの方法であの一撃を防ぎつつ攻撃したって事だろ?」
「んー、ニナにもわかんないにゃ」
「すまんが、俺にもよくわからんかったな」
俺達が話している間にも戦いは続いていく。アオイの氷の茨がボルケーノさんを追いかけ、それをボルケーノさんが炎を纏った拳で払い除け、破壊しながらアオイを守る氷に攻撃をする。
しかしながら、氷を一撃で破壊するには至らず、足元に殺到した氷の茨がボルケーノさんを襲うもボルケーノさんは回避する。
その隙に氷は元の分厚さを取り戻す。
そんな戦いを繰り返していたが、先に息切れをしたのはアオイだった。
「………っ!」
遂に氷を元に戻す魔力すら無くなったのか、自分を覆っていた氷が消失して、膝を地につく。
「アオイ!」
俺の叫びと同時にアオイに突進していたボルケーノさんの足下から鋭い氷のトゲが生成される。
「想定内だ!」
しかしながらボルケーノさんには読まれていたのか、氷のトゲはボルケーノさんに到達する前に全て溶けてしまう。
「これで終わりだ!」
「………っ!」
アオイの目の前にまで到達したボルケーノさんがアオイに向かって拳を振り下ろした。




