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冒険者養成学校入学試験その2

 ノエルが自らの適性職業を白魔法師と伝えたことによってシーンと静まり返る教室。


 受験番号371番のやつが何か言いたそうにこっちを見ているが無視する。


 しかしながら面接官の先生は流石に面接試験を任されているだけあって、動揺を一瞬で沈めると次の質問に移った。


「それでは次の質問です。あなた方がこの学校を受験した理由を教えてください」


 まぁ、これに対する返答は皆「冒険者になるため」とか「強くなるため」といった風に答えていた。


 ちなみに俺の答えは


「ダンジョンでの実習による経験を得るためと、孤児院で読むことのできなかった本を読み、少しでも知識を得るためです」


 で、その言葉に面接官は


「ふむ」


 と一言漏らしただけだったが


「てめえ!いい加減にしろよ! 俺らは冒険者になるためにここに来てるんだ! 本を読みたいなら図書館にでも行きやがれ!」


 といきなり立ち上がり、俺を指差して叫び出した奴がいた。


 さっき俺を見ていた371番だ。ちなみに質問への解答は「冒険者になるため」と安直に答えていた。


 俺はそれをあえて無視した。


 その様子を面接官は面白そうに眺めると


「375番さんは371番さんの意見についてどう思いますか?」


 と思いがけない質問を飛ばしてきた。


 まさか個人に対する質問なんて集団の面接で来るとは思わなかったのだ。


 少し動揺してしまったが俺は面接官の目を見て


「自分はこの冒険者養成学校に曲芸師になりにきたわけでもパン屋になりにきたわけでもないのですから冒険者になりたいというのは当たり前の事だと考えております。なのでそれを前提とした上でこの学校に何をしに来たかということ問われたのかと考えて先程のように答えました」


「それは俺たちを馬鹿にしてるってことなのか!」


 俺の言葉に早速噛みついて来る371番。


 更に他の無関係な372~374番さんまでを巻き添えにしてだ。


 ちなみに俺は371番はバカだとは思っている。実際に「冒険者になるため」と言ったのは371番だけだったし、それ以外の面々はただ「強くなるため」だけでもそれなりの理由を説明していたのだ。「冒険者になるため」だけだった371番とは違うと思う。


 勿論口には出さないが。


 怒鳴り声に返答しない俺に371番の怒りのボルテージは段々と上がっていってるようだ。


 それを確認しながらも答えようとはしない俺を見て面接官が


「375番さんはどうして371番さんの問いに対して答えないのでしょうか?」


 と質問を投げ掛ける。


「はい、ここは面接試験の会場なので面接官であるあなたからの質問以外の事を話すのはダメなのではないかと考えました」


 俺の言葉に「ぐっ!!」と声を漏らし着席する371番。


 今更ながらここがどういった場所かを思い出したようだ。


 その様子を見て面接官は


「なるほど。それでは試験はここまでとします。結果は3日後にこの学校の入り口に貼り出しておきますので確認してください」


 と言って俺たちに解散を促した。


 帰り際に371番が何かやってこないか心配だったが、自分のやってしまった事に愕然としていてそれどころでは無かったようだ。


 3日後の結果発表では俺は普通に合格していた。


 371番の奴も合格していたのは意外だったが······


 こうして俺の学校生活が始まる。

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