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魔法とは?

今回切りの良いところまでで、少し短めです!

「まぁ、手っ取り早く見せた方が早いかもな。アースドラゴン」


 ウェルさんの魔法により、土のドラゴンが召喚される。

 とはいえ、屋内なので掌に乗るようなミニチュアサイズだ。


「元々の魔法から魔力を込める量、放出する形、場合によっては状態まで変化させて新たな魔法とする。例えばこのアースドラゴンであれば、本来の魔法の形である『アース』に放出する魔力を増やし、俺の中のドラゴンのイメージの形を与えて放出した魔法………となるわけだな。これがイメージ次第でどんな魔法でも使えるという学説の理由だ」


 ………今まで無意識にやってきてたけど、そんな原理があったんだ。

 コッソリと周囲を見渡すと、アオイは反応らしい反応を見せていないが恐らく知っている。テツも………、多分知ってたのかな? ニナとレッカはうんうんと頷いているが、あれは理解できているか怪しい感じだ。


「ここまでは割と一般的な事だ。どういう原理か理解できてはいなくても、無意識に出来ている人が多いだろう」


 確かに。俺の過回復オーバーヒールに関しては本来の魔法である『ヒール』から、ただ魔力放出量を増やした物。範囲内の回復を行えるエリアヒールは放出する形では無く範囲を広げた魔法と考えられるだろう。

 そこまで考えた時にふと疑問が浮かぶ。


「あれ? それならどうして詠唱なんてものができたんですか?」


 俺たちが使っている魔法が本来の魔法………基礎魔法とでも呼ぼうか。から魔力放出量や範囲、性質を変えたものであるのならば、詠唱なんてものは無くても発動できるはずなのである。

 現に、基礎魔法に詠唱をしている人間なんていないし、基礎魔法の詠唱なんてそもそも無いはずなのだ。

 そもそも詠唱って何なんだ?

 セイクリッドウオーターを初めて使用した際に頭に突然浮かび上がったあの詠唱は一体何だったのだろうか。


「詳しいことは研究してるやつに聞くのが一番だが、知り合いの話を簡単に言うと、イメージのすり合わせの為の世界の仕組み何だそうだ」


「世界の………仕組み?」


「あぁ。なんでも世界に登録されていない魔法を初めて使用したものの頭に中に調節詠唱が浮かぶんだそうだ。残念ながら俺達は誰もその現象にあったことは無いからホントかどうかは分からないんだけどな」


「そもそも、もう既に大抵の魔法は出尽くしてますからね。そうそう簡単には………ってどうしました? ノエルくん?」


イグニスさんと話していたレンさんがこちらを見て首を傾げる。

 

「じ、実は俺、その現象が起こった事があって………」


 俺の言葉にアオイを除いた皆が固まる。


「はぁっ!? ノエル………。それって………まじ?」


「大マジです」


 イグニスさんの言葉に頷き、当時の様子を説明する。


「成程………。合体魔法」


「合体魔法ってだけで相当難易度高いのに、白魔法師と一緒に放つやつがあんまりいなかったって事か? どうしても白魔法師って戦闘よりもサポート向きだし………あ、ただしノエルを除く」


「!?」


「ノエルの場合はガッツリ敵倒しに行くからな………。少なくとも俺は積極的に敵を攻撃するサポートとか見たことねぇし………」


 うっ、情けないことにイグニスさんの言葉に納得してしまった………。

 って! 皆も頷いてるって事はそう思ってたって事!?


「まぁ、ノエルの話は一旦置いておいて、話を戻すぞ。確か、詠唱とは世界の仕組みというところまで話したな?」


 ウェルさんの言葉を頷きで肯定する。


「それでは、詠唱の役割についてだが、詠唱の役割とはズバリイメージの共有だとされている」


「イメージの共有………?」


「先程魔法を初めて発動した者の頭に直接詠唱が浮かぶという話をしたが、詠唱をすることで初めてその魔法を発動した者のその時の魔力放出量、形態、状態等を瞬時に再現することができる………ということらしい。理論的な話ではこうなるらしい」


「じゃあ、自分が作った………でいいのかな? 魔法は元々イメージの共有が必要ないから詠唱は不要ってことですか?」


「そういうことになるな。後は詠唱が必要だった魔法に関しても何度も使用して完全に魔力放出量等の配分を覚えることができれば、詠唱は不要になる。勿論、他人の感覚を引っ張ってくる詠唱が必要な魔法に比べて、自らの感覚で使用できる詠唱が不要な魔法の方が制御も楽になるだろう」


 ウェルさんの言葉に頷く。


「つまり、これから俺がするべき事は生命ライフ聖域サンクチュアリをたくさん使って、感覚を覚える事ですね!」


「ああ。可能なら常に発動させ続け、魔力が切れると同時に解除できるのがベストだな」


「常にって日常生活中にですか!?」


「ああ。範囲は然程大きくする必要は無い。常に発動させ続ける事で魔法発動のためのきっかけを掴みやすくするのが目的だ。それに、使うのに処理能力の多くを使用してしまって動けなくなる魔法なんて戦闘中にそうそう使用できるものでもないだろう」


「うっ………」


 言われてみればそれはそうだ。魔法を使用している時は動けないなんて敵からしたら格好の標的だ。

 ウェルさんに注意されてなかったらいきなり戦闘中に使用していたかもしれない。


「んで? 現実問題どうするんだ?」


 話が一段落したからか、イグニスさんがウェルさんに問いかける。


「俺らだって今の状態でノエル達に延々と引っ付いては居られねぇ。依頼と依頼の隙間を縫ってここまで来てはいるが、次の依頼ももう決まってる」


「勿論わかっている」


 イグニスさんの言葉に頷いたウェルさんが此方に向き直る。


「ノエル。これは提案なのだが、我々と一緒に王都に戻らないか? 勿論パーティーメンバーも一緒にだ。これから魔武器開放を求めヤマト家へと向かう以上いずれ王都へ戻る必要はあるだろうし、今なら俺達が戻る為に用意していた高速馬車がいる。普通の馬車に比べて倍以上の速度で王都まで戻ることが出来るはずだ」


「いいんですか!? その………馬車の人にご迷惑とかは………?」


「なに、場合によっては依頼先で怪我人等を発見し輸送を頼むこともあるし、付き合いも長い奴だ。多少は融通を効かせてくれる。それに………いや、これは会ってからの方が早いか」


「………?」


 最後にウェルさんが何かを言っていたが、上手く聞き取ることができなかった。

 


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