レッカ編1
まともなお休み取れたので更新!
ここからしばらくはレッカ視点になります。
どうしてレッカがアルファと一緒に行動しているのか等を説明することができたらいいなと思います。
「………僕が言うのもなんだけど本当に良かったのかい? レッカ」
「………こうするのが最善だった」
―――そう、このままニナを、ノエルを、テツを、アオイを死なせてしまうのに比べれば、遥かにマシなはずだ。
………自分の名前を泣きながら呼ぶニナの声を思い出してその自信も揺らいでしまったが。
「………ニナ、泣いていたね」
「………こうなるのはノエル達が森に来た段階から解っていたことだろ。今更だ」
そこまで話してから二人して口を閉じる。
それまでの暗い空気を吹き飛ばすかのようにアルファが話題を入れ替える。
「それにしても、不思議なものだよね」
「………?」
「あの時フラレた僕はレッカと一緒にいて、くっついた筈のニナはここには居ない」
「………そうだな。だけど俺からしたらお前の方がよっぽど不思議だった」
「ん? 僕が? そんなに不思議だった?」
「ああ。あの時お前は俺を強制的に仲間にすることもできたはずだ。その色欲の獄炎の力なら他の奴らと同じ様に俺を操ることも出来たはずだ。そして、そうした方がお前の計画も上手く行くはずだろ? なのになんでそうしなかった?」
事実あの場で俺が魔獣化を使った所で多勢に無勢な上、アルファは獄炎だ。勝てなかっただろうし、逃げ切ることすら許されなかった可能性が高い。
「―――さぁ、なんでなんだろうね? まぁ、案外僕が死んでるから。その辺りに理由があるんじゃないかな? ほら、よく言うでしょ? 死者は生きている時に近くにいた者を欲するって。それと同じ様に、生きている時と同じレッカを手元に置きたかったのかもしれないね」
本当かどうかはわからないが少なくとも嘘ではないだろう。コイツはいつもこういう煙に巻いたような話し方をしていたし。
「それよりもレッカはレッカでどうするかを考えた方がいいよ。折角全部終わったあとに戻れる口実を作れるよう僕の能力について君以外に教えてなかったのに、彼らにバラしちゃって………僕の獄炎で操られてたって言えばすべて解決する筈だったのに、どうやって戻るつもりなのさ」
「えっ………!?」
そんな考えがあったのか………。俺、あいつ等に許してもらえんのか?
そこまで考えて俺は首を振る。
「んなことは一旦後だ。まずは俺達の目標………だろ?」
「はぁ………。まぁ、まずはそうだよね。そこで死んだら話にもならないんだから」
アルファは、首を振ってから此方に向く。
「それにしてもごめんね。レッカ。君を―――いや、君達を巻き込んで」
そうして行われるのは、もう何度目になるだろうかという光景だ。
「いいんだよ。お前が教えてくれなければ俺達朝焼けの空は何も知らないまま全滅するところだったんだ」
「それでも君を使わざるを得なかったのは僕の認識不足でしか無いんだよ。まさか嫉妬の獄炎の適合者がこんなに少ないだないんて」
アルファの話によると、本来勇者と魔王は『聖魔の守り』という物を持っており、お互いの攻撃でしか傷つかない状態だった。しかし、魔王はその力を分け、それを与えた部下により勇者を殺すという方法を確立。人間側もそれに対応したかのように、勇者がいるときに限って勇者以外の人間が魔王を倒すことができるようになった。しかし、魔王側のそれと比べて人間側のそれは不完全であり信頼している四人までの人間にしか付与できない。
しかし、魔王のそれは力こそ強く最大七人まで付与できる上に強くなるが、意識を乗っ取られ魔王の為に動く人形当然となる。それこそが大罪の獄炎だ。
「本来なら各獄炎には適応する者がそれなりにいる。獄炎は強い感情に反応するから、魔族しかり、人間しかり、僕たち獣人だって適応する人はそれなりにいるんだ。だけど何故か今回に限って嫉妬の獄炎はレッカ以外の嫉妬の感情を宿主として認めなかった」
「ま、だから俺がやるしかないっていうんだろ」
「うん。僕の考えによればまず僕の獄炎『色欲』と、僕がレッカに埋め込んだ『嫉妬』の能力が必要になる―――魔王を倒すためには」
さてと、これでようやくアルファの目的を明かすことができました。説明会っぽくなってしまうのは申し訳ないです。そして次回はどうやって魔王を倒す予定なのか、また、超後付設定を披露することになると思います。
年末で忙しくなってくるけど、頑張ります!
年内に後最低一回は更新できたらいいなぁ。