冒険者養成学校入学試験その1
この回より第2章スタートです
よろしくお願いいたします
時は少し遡り、俺が孤児院を卒業する二週間前。
俺は冒険者養成学校へ入学するための手続きに来ていた。
いや、正確に言うなら試験にである。
一応冒険者養成学校は来る者拒まずの学校ではあるし、孤児院と同じように国が資金を出して運営しているため入学するのに資金が必要な訳でもない。
しかし、それを逆手に取って冒険者になるつもりも無いのに冒険者養成学校に籍だけ置いて、授業には出ない者が現れ出したのだ。
まぁ、要するに職につかずとも衣食住が揃うということでそれを目的に入学するものがいるということだ。
更に問題なのはこの学校は入学に年齢を問わず、一度この学校を卒業したものでも、自分が冒険者としてやっていけないと感じた場合もう一度一から学び直したり鍛えたりするために再度入学できるという制度があることだ。
さて、ここまで来ると何が問題かは誰でもわかるだろう。
その問題を無くすために、入学時には冒険者としての最低限の知識を持っているかの確認テストと軽い面接が行われるようになったのだ(勿論再度入学の時にはそれなりに厳しいテストになる)
俺はその試験を受けるために冒険者養成学校に来ていた。
ちなみに受験番号は375番。
これだけでこの学校の受験者が多いことがわかる数値だ。
その人数はなんと700人。
別に最大何名までが合格などということは無いのだからあんまり関係は無いのだが、今までこんなに多くの人間を見たことの無かった俺は少し気圧されてしまった。
しかし気圧されていても始まらない。
冒険者養成学校に入学するためにはここで止まっている訳にはいかないのだ。
俺は少し緊張しながらも筆記試験会場に向かったのだが······
正直に言うと拍子抜けだった。
俺は冒険者になるためにかなり勉強してきたため、それなりの知識がついていたのだろう。
王都周辺に出現する魔物の種類なんて朝飯前だし、その内二種類を選択してその生態と弱点をまとめよって問題も簡単すぎて正に拍子抜けなのだ。
そのお陰で変に緊張することなく面接試験にも挑むことができそうだ。
面接試験は人数が多いからか5人一纏めで行われ、番号順で5人ずつだ。俺の番号は375番であるためにこのグループの中で答える順番は一番最後となっていた。
ちなみに最初の質問は
「あなたの適性職業はなんですか?」
という最初に聞かれるのが当たり前と言えば当たり前なのだが、なるべく聞かれたくないものだった。
俺より前の受験者達がそれぞれ自分の適性職業を答えていく中、俺の
「白魔法師です」
という言葉に時間が止まったような気がしたのは気のせいではないだろう。