作戦開始
今回少し短いです(いつも短いですが)
もうちょっと細かく書いてもいいかな?とは思ったのですが、作者自身話を先へ先へ進めたくなったため、主人公たちに絡まない所の描写をかなり削ってます。ご了承下さい。
感想をくださった皆さんありがとうございます。感想への返信は現在行っておりませんが、読ませていただいております。
とても励みになっております。
あの模擬戦から二週間が過ぎた。
一週間前に五の村からも獣人達が到着。そこからアルファ達が拠点としている四の村にどう攻め込むかという議論が連日交わされ、つい昨日に作戦がまとまった所だ。
第一、第三の村の獣人達で第四の村を襲撃、四の村の獣人達を無力化しながら進む。
途中でアルファを発見次第赤魔法を上空に打ち上げ合図を行い、戦闘を行う。
アルファの討伐には同様だと思われる黒い炎の持ち主を討伐した経験のある俺達が担当することになった。
五の村の獣人達は六の村の獣人達と協力して村を防衛。攻め込まれた場合も赤魔法にて合図を行う事になっている。
「でも、大丈夫なのか?」
「何がにゃ?」
「わざわざ言わんでもわかっておるだろう。お前はレッカと戦えるのか? そう聞いておる」
学校にいた頃からニナとレッカはとても仲の良いカップルだった。……見ていて此方が砂糖を吐きそうになるくらいには。例えレッカが何らかの理由で操られているのだとしても、レッカは今俺達の敵となっており、ニナ相手でも容赦なく襲いかかるだろう。
だからこそテツは問うているのだ。『最悪の場合はレッカを殺せるのか』と。
「やるにゃ」
それに対するニナの言葉はたった一言。でも、何の躊躇いも無かった。既にニナの中で覚悟はできているらしい。それをテツも感じ取ったらしく、頷いて前を見る。
「そろそろ作戦開始じゃ。準備は……ふむ、問題ないようじゃな」
三の村の村長が俺達を呼びに来た。
……いよいよ作戦開始だ。
「来た! 合図だ!」
作戦開始から二時間。赤魔法による合図が上がった。
「あそこは……! 皆、行くニャ!」
ニナには合図が上がった場所に心当たりがあったのか、真っ直ぐに走り出す。
俺たちはニナを追って森の奥に走り出した。
「よぉ。やっぱり来たのか」
―――そこに待っていたのは、黒い炎をその身に纏ったレッカと、獣人の少女だった。
レッカが当たり前の様にアルファの隣に立っている姿を見て、予想はしていたもののやはり覚悟が足りなかったのか、自分が動揺したのがわかった。
しかし、その動揺もレッカの体を纏っている黒い炎を見て一気に別のものになる。
「なっ!? 何でレッカがその炎を使ってるのにゃ!?」
確かにあれは学校ダンジョン氾濫の時に襲ってきた憤怒とか呼ばれてたやつと同じ物だと直感で理解する。しかし、どうしてそれをレッカが使っているのかがわからない。
予想外の出来事に頭が混乱するが、次の瞬間にその混乱も絶望に変わった。ノエルが言っていた事を思い出したからだ。
『黒い炎を操る奴はもう死んでいる』
つまり、レッカはもう……。
「ニナ、落ち着いて。どういう理由かはわからないけどレッカはまだ生きている」
「!」
ノエルの言葉に絶望が消えていくのを感じる。
「生きているのなら絶対に元のレッカを取り戻してみせるにゃ!」
私の言葉にレッカが見せたのは……悲しそうな顔? 一体どうしてそんな顔を……。
「レッカ」
「わかってる」
アルファの言葉にレッカが答え、魔獣化する。
「俺を元に戻すって言うならまずはこの俺をブッ倒すことからだ。だが、かかってくるなら覚悟しろよ? まだこの力に慣れてないんだ。うっかり殺しちまうかもしれねぇ。それが嫌なら大人しく帰るんだな」
「帰らないニャ! やってや―――にゃん!?」
魔獣化を発動しようとした瞬間に足下から炎が吹き出し、咄嗟に飛のく。
その炎は壁となって私とアオイとテツとアルファ。ノエルとレッカという形で私達を分断した。
「貴女達はこっちよ。レッカの願いはあの白魔法師との戦いなの」
レッカがノエルと戦いたがっている? それではまるで……。いや、そんな事を考えるのは今じゃない。
先ずはアルファを倒すのだ。さっきの言い方からして、この炎の壁はアルファが出現させたと考えるべき。ならアルファを倒せば消すことができるはず。
さっきの言葉の意味は直接レッカから聞けばいい。
「行くニャよ。アルファ。魔獣化!」
私は魔獣化を解き放ち、アルファに飛びかかった。
これくらいの期間で少しずつ投稿していけたらいいなと考えてます。
実は魔王を倒すところまでは目処が立っているので(ご都合主義満載感はどうしても否めないですが)何とか頑張っていきたいと思います。
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次回はレッカ視点で一話入れましょうかねぇ。