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ケモナーさんの話

 ケモナーさんが皆に話すために椅子から立ち上がる。


「まず、最初に気づいたのは私だ。私と一緒にニナとアルファ、レッカに特訓をつけていたオメガがいきなり私に襲いかかって来たのだ。普段のオメガなら、私も負けていただろうが動きにキレが無かったため、私でも何とか撃退することができた」


 動きにキレが無かった? アルファに操られている時は動きが鈍るのか? 


「その後は一旦姿を隠して様子を伺っていた。レッカやニナには悪いと思ったが、私にとって一番信頼出来るオメガがおかしくなったのだ。他の者を信頼するのは流石に無理だった」


 ·······確かに、俺もアオイにいきなり襲いかかられたらそうなってしまってもおかしく無いかもしれない。


「······じゃあ、ケモナーさんはニナ達が襲われていたあの時もどこかで隠れて見ていたのかにゃ?」


 いきなり聞こえてきたニナの声に思わず振り向いてしまった。


「······ニナ、目が覚めたのか」


 背負われていたアオイの背中からニナが飛び降りてケモナーさんの方へと歩み寄る。


「それよりも答えるにゃ! ケモナーさんはニナ達がアルファに襲われているのを見て、それでもあえて傍観していたのかにゃ!」


「その答えはイエスでもあり、ノーでもある。私はアルファが禍々しい黒い炎を使って、デビットの事を操った所までは見ていたし、それをレッカとニナが覗き込んでいた事も見ていた。しかし、デビットが操られた時にはもう、この四の里は駄目だと理解してしまったからな······その時には脱出を始めていた。レッカとニナの事も、限りなく白に近いと解っていながらも、僅な可能性と私が出ていった時のリスクを考えて放置した·······いや、見捨てたのも確かだ」


「――――ギリッ!」


 ケモナーさんの返答にニナが唇を噛み締める。恐らく、自分がケモナーさんの立場になった時どうなるかを考えてしまい、返答するにできなかったのだろう。ニナ自身もレッカに襲われはしたが、それはアルファの能力によるものだと言うことは理解できていた。

 それでもあそこまで取り乱したのだ。どんな状態か理解できていない状態で襲われたケモナーさんを、そうそう責めることはできないだろう。


「ニナ。腹が立つことも解っているし、私がお前達を見捨ててここまで逃げてきたのも、事実だ。だから私に対して怒るなとは言わない。だが、この事は獣人全体······いや、亜人族全体を巻き込む物になっている。だからお前の力も貸して欲しい。もしお前が腹がたって仕方がないと言うのならば、この件が終了した時に私を殺せばいい。だが、この件にだけは力を貸して欲しい」


「······わかったにゃ」


 ケモナーさんの言葉に一旦納得した様子を見せるニナ。


「話の腰を折ってしまいすまなかったな。では、話の続きだ。四の村から逃げ出した私は姿を隠しながら他の里を見て回った。その途中で一の村が襲われているのも見た」


「―――っ!!」


 その言葉に一の村の村長代理が立ち上がるも、隣の六の村の村長によって止められる。


「その際に女性を同じく黒い炎で燃やしているのを見たが、いくら燃やされようとその女性は抵抗を続けていた······その事から考えても女性はその炎に対して特別耐性が高いか、全く効かないことが予想される」


「その事に補足しておくと、ワシの所の部隊の者が何度かやられておるが、特に異常は無いと本人達は言っておる。まぁ念のために監視はつけておるが、問題ないとワシは思っとる」


 ケモナーさんの言葉を村長の一人が補足する。


「まぁ、その後はこの六の村に逃げ込んだだけだし、ここからは六の村の村長にお任せした方が良いだろう」


 ケモナーさんの目配せに、フンと鼻を鳴らしてから六の村の村長が立ち上がった。

次の更新は······水曜日(の予定)


明日は出勤が少しゆっくりとはいえ、寝なくちゃ持たないので寝ます!


皆様も体調にはお気をつけて!



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