村長会議1
久々に自分の作品を読み返してみて、キャラブレの酷さに驚きました。書籍の方では統一しているのですが······特にケモナーさんが再開前と後では雲泥の差が······修正するための時間が欲しい今日この頃。
ケモナーさんに案内されて、長老会議の行われる場所へと向かう。その道中でもやはり向けられる厳しい視線。
「ったく。あのくそ爺どもは自分の保身とかに関しては頭が切れるくせに他の事になると途端に気が回らねぇ」
道中でケモナーさんが毒づいているのは、その視線を向けられている俺たちへの配慮に対してなのか、それとも俺達という人間を身近に感じる事で余計なストレスを感じてしまっている獣人達に対してだろうか?
恐らく両方に関してだろうな······。話してみて、ケモナーさんは、その男勝りな言葉使いとは裏腹に気配りが上手い人という感じがした。
勿論接した時間が短いため、俺の勘違いなだけ······なんてこともあり得るけど。
しかし、そのケモナーさんがわざわざ『何を言われても絶対に手を出すなよ?』と念押しするとは一体どういうことなんだろうか?
その答えは、ケモナーさんに連れられて着いた長老会議の会場で解った。そこで待っていたのは大きな丸い机と、その回りで座っている五人の獣人達。そして、
「ようやく来たか。さっさと座って状況を説明するのだ」
「そこの薄汚い人間どもを連れ込んだ理由もな」
いきなり浴びせられる罵倒。成る程、確かにこれは事前に注意を受けていないと、いきなり殴りかかっていたかもしれない······レッカなら。
チラリと様子を見てみても、アオイとテツは平然としているし。
そんな罵声にケモナーさんは答えずに、アオイに背負っていたニナを預けると椅子に座る。
「先ずは集まってくれたことを感謝する。今回三の村代表代理として、長老会議を召集したのは、情報の共有を図る事と、これからの我々の方針に関して話し合いたかったからだ」
ケモナーさんの言葉に机に座っていた獣人達の視線が、ケモナーさんに向かう。······いや、一人だけ視線が此方に向いた。視線は、俺達を一人ずつ品定めするように見てきたが、その中には先程獣人達が向けてきた物よりも暗い感情が見え隠れしていた。
何とも言えないが少し嫌な予感がする。
「先ずは、情報の共有を行いたい。それぞれの担当の村についてはどうなっておられる?」
「二の村に関してはダメじゃったな。ワシ等四の村の部隊がついた頃には完全に人っ子一人おらんかった。お前さんの情報から奴の炎は女性に対して洗脳の力を発揮できんと聞いていたから、隠れていた女性等がいるのでは無いかとくまなく探したのじゃが、発見は出来んかったよ。一の村は女性は無事じゃったか期待しておったのじゃがな」
「三の村偵察部隊からの前回の報告では、奴等に特に大きな動きは見られてはいない。アルファらしき女の出入りは少なくとも確認できていないらしい」
「七、八、十の村に関してはまだ襲われていない。そもそもの話、七、八、十の村を襲うにはここを大きく迂回するか、先ずはここを潰さねばならんからな。その事もあって七、八、十の村に関しては此方への協力に乗り気では無いようだ。逆に五の村の者は我々と協力してくれるそうで、今此方へと向かっていると聞いている」
「我々一の村と六の村の合同グループも、今のところ防衛に関しては問題は無い。······しかし、我等の住んでいる一の村は森の境界にかなり近い所にある。つまり、人間どもからの被害を最も受けているということだ。そんな私達を納得させるだけの理由を用意できなかった時は······わかってんだろうねぇ? 四の村の?」
先程此方を品定めするように見てきた獣人が言葉と共に此方を睨み付ける。その瞳に込められた怒気に少し気後れする。
「それだけでは無い。わかっているとは思うが、この六の村はワシが村長だ。なのにだ。ワシに断り無くして人間を招き入れるとは·······聞いた瞬間ワシは耳を疑ったよ。なぁ、四の村の······おめぇさん喧嘩売ってんのか?」
一の村の村長に続いて六の村の村長が此方に怒気を飛ばす。この二人は村長会議の会場で最初にケモナーさんに言葉を投げ掛けてきた二人だ。もしかしたら何かケモナーさんとは因縁が有るのかもしれない。
「一の村のに六の村の。お主等の怒りも解らんでは無いが、先ずは話を聞くところからであろう?」
「それに、人間が過去にして来たことを忘れることはできんが、最近では人間と我等亜人は上手く共存できておる。人間であることをそこまで問題視することもあるまいて」
今にもケモナーさんに掴みかからんとばかりの二人を、他の村の村長が取り成す。
「一の村の村長代理よ。六の村の村長よ。お前達の言うことは最もだ。だから、きちんと説明させてもらう。勿論、この者達もこの件に関しては知らなければならないことがあるため、初めから順序を立てて話していくことになるが·······構わないな?」
ケモナーさんの言葉に皆が―――一の村の村長代理と六の村の村長は渋々とだが―――頷いた。
今回思いの外短くなりました······次回更新は一応水曜日の予定(安定の日を跨ぐ投稿になりそうな気もしますが)よろしくお願いいたします。




