ニナとアオイ─二人で─
最近どう言ったタイトルにすればいいのかがわからなくなってます······
※アオイ視点
「ニナ······」
宿の自分達の部屋(流石にニナが増えたので、部屋割りは男女別になった)に戻ってから、ニナに声をかけようとしたが、名前を呼んだだけで止まってしまう。
どう声をかけていいのかがわからないのだ。
学校時代のニナとレッカの仲の良さを知っているというのもあるが、私はノエルと付き合いはじめている。それだけに、レッカといきなり離ればなれになってしまい、もう会えないと言われたに等しいニナに対する言葉かけというものにも慎重にならざるを得なかったのだ。
「んー······にゃーーーーーー!!」
「!?」
そんな事を考えているとニナがいきなり叫び出した。突然の事に顔を上げてニナの方を見てしまう。
「ニナ、どうしたの?」
「······さっきからどうやってレッカ達を助けるか考えてたんだけど······ニナの頭では思い付かなかったにゃ」
「どう言う事?」
私たちでレッカを助けるのは無理だとさっきのテツの言葉でわかっている筈である。それをニナに伝えると、
「違うにゃ。テツは出来ないから行かないと言っただけにゃ。つまり、出来る方法があれば助けには来てくれるにゃ」
「······それはそうだけど」
現実的にそんなことが可能なのだろうか?
「数は脅威にゃ。でも幸いな事に探知の能力だけはニナの方が上なのにゃ。こう見えても緑魔法の腕は里で一番なのにゃ。でなきゃニナ一人だけとは言え逃げてくることは出来なかったにゃ。でも·······その数が問題なんだよにゃあ」
「······ちょっと待って?」
今ニナは割と重要なことをポロッと口から溢していたように思えるのだが······
「ん? どうしたのにゃ? アオイ?」
「さっきニナは緑魔法では里で一番って言ってたよね?」
「にゃ」
「つまり、ニナの気配察知で反応できない獣人はいないって事で良いの?」
気配を遮断するタイプの魔法も緑魔法の一種だし、そう言った魔法は探知する方が魔法の力が強ければ隠蔽は出来ない筈だ。
「うーん、試したこと無いから絶対とは言い切れないけど多分大丈夫なのにゃ。それがどうかしたのかにゃ?」
どうしたもこうしたも無い。テツが恐らく一番恐れていたのは、ニナの気配察知が及ばないままに大量の質量で押し潰されてしまうことの筈だ。
しかし、ニナがそれを防げると言うのなら話は別なのだ。
「ニナって気配をごまかすタイプの魔法は使える?」
「使えないことは無いけどあんまり得意じゃなくて、私一人が限界にゃ······」
私も適正や魔力操作能力でミズキ姉さんに勝っていても、ミズキ姉さんの魔法は真似できる気がしないのだ。恐らくそれと同じでニナが気配遮断の魔法を苦手としているのには適正以外にも何か作用する条件があるのだろう。
「獣人は魔法以外ではどうやって索敵を?」
「基本的には視界にゃ。後は人それぞれで、私は音での索敵が得意なんだけど、レッカとかは音よりも匂いで索敵する方が得意って言ってたにゃ」
成る程、視界と魔法以外でも索敵の方法はある·······と。ならば今回はあまりミストなんかを使わない方が良いだろう。
「······もしかしたら」
ニナやテツとはまだ合体魔法を試したことは無かった。折角魔武器の力で合体魔法を使えるようになったのだから色々と試しておいた方が良いだろう。もしかしたら何らかの決定打になりあるかもしれない。
「ニナ、明日その話をテツ達にしておこう。もしかしたら何かの役にたつかもしれない」
この情報はテツもノエルも知らない筈だ。不意打ちで囲まれて終わるなんて事が無いのなら色々ととれる方法はあるかもしれない。
次回投稿は明日予定です
·······だから前回今回といつもに比べて気持ち短かったのは許してくださるとありがたいです。