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ニナの話

0時過ぎての更新申し訳ないです。今回三人称に挑戦している場所があります。少し読みにくいかもです。申し訳ない···


出来れば感想などいただけるとありがたいです。


宜しくお願いします。

「ニナっ!」


 受付嬢に示された部屋の扉を勢いよく開けてアオイが叫ぶ。ウィンさんの事件が解決してから、そこまでいうほど口数が少ないわけでは無いアオイではあったが、こんなに大きな声を出すアオイは珍しかったため、俺とテツは少し驚いていた。


「久しぶりだにゃー皆元気そうで何よりだにゃ」


「ニナも元気そうで良かったよ。所でレッカは何処に? 買い物にでも行っているのか?」


 学校では何時も一緒に居たレッカがニナの側に居ないことにどうしても違和感を感じてしまいニナに尋ねる。


 ニナは俺の問いに顔を曇らせると、


「レッカは······私を逃がすために里に残ったにゃ───お願いにゃ! ニナ達を、いや、獣人の里を助けてほしいにゃ!」


「む? どういうことだ? レッカがニナを逃がすために里に残った? 獣人の里を救ってほしい? 一体何があったんだ!?」


 ニナの言葉に狼狽える俺達。獣人は亜人族の内の一つの種族で、ニナやレッカ達みたいな例外を除いて基本的に自分達の住んでいる森から一生涯外に出ることは無い種族だ。それと同時に自分達の森を愛しており、無断で入った者は容赦なく攻撃するほど縄張り意識が高い。


 そのため、解っている事なども少ない種族なのである。······とは言ってみたものの人族が特別他の種族について詳しいという事実は無いので、別に獣人族が特別という訳でも無いのだが。


「ニナ達が帰郷した当初は特に何も無かったのにゃ······」


 久しぶりに幼なじみとも出会って、再会を喜びあい、ニナとレッカは獣人達の奥義を習い始めた。悔しいが今の自分達の実力ではノエルの足手まといにしかならない事を理解していたからだ。


 幸いにもノエル達との迷宮攻略のお陰もあり、身体能力的には奥義を修得しても問題無いところにまで達することは出来ていた。


 また、その修行の合間に自分達と同じ適正を持つ人たちに魔法を教えてもらい、自らも研鑽に励んだ。


 その研鑽は里の皆が驚くほどに早く結果として出始め、帰郷から三ヶ月がたつ頃にはニナとレッカは里で一番の魔法の使い手となった。······とは言えそれは魔法にそこまで力を入れなくとも、圧倒的な身体能力を持つ獣人達の中で魔法だけに限った話で、こと戦闘に関して言えばまだまだニナやレッカに勝るものは多かった。


 今回ニナやレッカが修得しようとしている奥義も獣人としての力を解放し、圧倒的な身体能力を得るための物だ。


 ニナとレッカは奥義を修得するために日々修行に励んだが、そんなある日に異変が起き始める。いや、後で考えてみればとっくに異変は始まっており、ニナとレッカが気づくことが出来たのがその時からだったというだけなのだが······


 その日からポツポツと里から女性が姿を消すようになったのだ。ニナとレッカがそれに気づいたのはニナの修行の教師役をしていたケモナーという女性が姿を消してからだ。


 ケモナーの姿を見なくなってから改めて里を見回して見ると戻って来た時に比べて女性の数が少なく、里も気のせいか、全体的に雰囲気が暗く感じてしまう。


 それに気づいた時点でニナは何か起きていることを察してレッカに相談した。そして、自分達の幼なじみであるアルファを探すことにした。アルファも女性なのだ。もしかしたらいつの間にか姿を消しているのかもしれない。······少なくとも今朝訓練に行く前に朝の挨拶をしたからそこからいなくなっているとしてもそこまで遠くに行けているわけが······


「───待てっ! ニナ。ストップだ」


 レッカの声にニナの足が止まる。レッカに続くようにして茂みに隠れた。それを確認したレッカが声を出さずに見ろと身ぶりで示してきたのでレッカの隣で茂みの影から様子を伺う。


「······ふふふ、これでまた一人私の忠実な下僕ができるのね」


「!?」


 そこに居たのは複数の里の人間に捕まって身動きが取れなくなっている一人の獣人おとこと、ニナ達が探していたアルファだった。


 ······獣人おとこが全力で抵抗している風に見える事はともかくとしてニナにはアルファの右手の上で燃える黒い炎の方が信じられなかった。


 アルファの適正は青と緑で緑の適正の方が高かったため、ニナと同じ緑魔法師だ。少なくとも赤の適正は一切なかった筈だ。


『あーあ、ここで赤の適正があればレッカとお揃いだったのに』


 と残念そうに漏らしていたのだから間違いが無い。それなのに今のアルファは炎を、それもあの時ニナ達朝焼けの空を襲った男と同じ黒い炎を使っているのだ。


「さてと、じゃあしっかりとやらないとね!」


「まっ!!」


 アルファが炎を獣人おとこに向かって振りかぶったのを見て思わず声を上げてしまったが、ここからではとても間に合わない。


 黒い炎は獣人おとこを焼き······尽くすなどということは無く、一瞬だけ獣人おとこの体を包み込むとすぐに消えてしまったのだ。


「あら? ニナじゃない。もしかして見られちゃった?」


 一瞬とは言え止めようとして飛び出してしまったため、アルファからしっかりと姿を見られてしまった。


 しかし今はそんなこと関係ない。何故ならアルファと共にいる里の皆の雰囲気が、先程見た暗い雰囲気の皆と似ているからだ。先程まで全力で抵抗していた獣人おとこまでもが同じ雰囲気を発してアルファと並び立っているのは異様としか言えなかった。


「アルファ! 何をしてたのにゃ!」


「クスクス、見られてしまったからには仕方無いわね。やりなさい。あなた達」


 ニナの問いに答えずに笑いだしたアルファにうすら寒いものを感じながらもニナは身構える。アルファの言葉に従うかの様に里の者達がニナに襲いかかってきたからだ。


 しかし、その動きも銃声によって止められる。


 ニナを狙って動き出した男達の足元に銃弾が撃ち込まれたからだ。


「動くな。命までは取らねえが、次は当てるぜ? ニナを狙うやつに俺が容赦しねえのは皆よく知ってるよな?」


 さっきまで隠れていた茂みの中からレッカも姿を表して銃を構えていた。


「あらあら、レッカもいたの? ちょうど良かったわ。そろそろあなたを迎えに行く準備が出来そうだったの。少し早くなっても構わないわよね? 捕らえなさい!」


「レッカ! 後ろにゃ!」


 アルファの言葉と共にレッカの後ろから忍び寄っていた男がレッカに襲いかかる。


 間一髪で回避するレッカだったが、増援か何かのように里の皆がこちらに向かってきている事を察知するニナ。


「レッカ! アルファが何をしていたのかは気になるけど一旦引くにゃ! 里の男性がここに集まってきているにゃ!」


 ニナの言葉に頷いて逃走を始めるレッカ。


 ニナの先導で里の者がいない方向に逃げる。


 



「そして、最後にニナはレッカの言葉に従ってここまで逃げて来たにゃ」


 そうニナは締めくくった。

次回更新は日曜日を予定しております。


宜しくお願いします!

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