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次なる事件

今回懐かしのあの二人が出てきます。


まぁ、アオイ→テツとなったら出てくるのは必然とも言えるわけですが······

「······行くか」


「もう良いのか? もう少しここに居ても問題は無いのだぞ?」


 テツの気遣いは嬉しかったが、マーカスはもうここには居ないのだ。それに、死んだと思っていたのにいきなり再開して、尚且つ敵対した······なんて色々有りすぎて今マーカスの死を悼むことは出来そうにない。マーカスはもう死んでいたのだから「マーカスとの別れを」というのが正しいのだろうか? 


 それに、決して短くない期間を氷の中で過ごしたアオイの事も気になる。元から氷を操るということで寒さには耐性があるだろうが、ここまで長時間氷の中にいたというだけでなく氷から脱出しても即戦闘だ。巻き込んだ張本人である俺が言うことでは無いが、可能な限り早く休ませてやりたい。


 ······とは偉そうに言ってみたもののこれらは全てミズキさんの受け売りである。


 勇者と戦う準備を整えている時にミズキさんに言われたのだ。


「もし、アイツを倒すことが出来たなら私への報告は落ち着いた時で大丈夫だから、早くアオイちゃんを休ませてあげて」


 と言われているので、報告はアオイを休ませてからで良いだろう。


「······ならどうして私をここまで連れてきたの? 結果オーライではあるけれど」


 そういった内容を話した後のアオイからの第一声がこれである。


 確かに部屋から連れ出して再び部屋に戻すというのは非合理的かもしれないが、それにはちゃんと理由があった。


「······アオイが最後に見た俺の姿はアイツに負けて逃げ出した姿だったからな」


 だからアイツを倒すところを見てもらって、アイツよりも俺の方が強いって事を証明するため───というところまでが理由だったのだが、流石に恥ずかしすぎて言えなかった。そんな俺の言葉を聞いて、俺に背負われながら


「なにそれ?」


 と呟き、クスクス笑うアオイ。


「じゃあ、俺たちはアオイを休ませるためにアオイの部屋に戻るよ。ウィンさんはどうする?」


 本来なら氷漬けになっていたアオイをここまで連れてくると同時にウィンさんは俺たちから離脱する予定だったのだ。ミズキさんが別行動をして可能な限りこちらに人が来ないように制御してくれているとは言え、あんまり長く居すぎるとヤマト家の人間に見つかってしまう可能性もあるのだ。


「んー······流石にこれ以上は怖いし私はここで離脱するわ。折角手に入れた自由だもの。姉さんが何とかしてくれるとは言っても、流石に今見つかると牢屋に連れ戻されかねないし」


 ウィンさんは今回の件の報酬として、ミズキさんから条件付きで冒険者として活動しても問題ないようにしてもらえることになった。


 その条件は「ヤマトの名を捨てること」


 本人は例の事件の後からヤマト家の名前に執着はしていなかったし、元からヤマト家からの追放は決まっていた事で、それが早くなるか遅くなるかの違いだけだ。


 本来ならただのウィンと名乗って冒険者として依頼を受けていたとしても、いずれヤマト家の誰かによって牢屋に連れ戻されていた可能性が高かった(犯した罪が罪のため、もうしばらくは牢屋に入ってなくてはいけなかった)のだが、ミズキさんが今回のアオイ奪還の報酬として、その時間を短縮という扱いにして牢屋に入っている必要が無いようにしてくれるらしい。


「そう······ウィン。助けてくれてありがとう」


「俺からの礼と言うわけでは無いが、困ったことがあれば俺の故郷に来ると良い。シャナなら歓迎してくれるだろう」


 アオイとテツの言葉に一つ頷くと、ウィンさんはそのまま走り去っていった。


 それを見届けて、俺たちはアオイの部屋を目指すのだった。





「チッ! もう追い付きやがったのか!」


「レッカ! 早く逃げるにゃ!」


 ニナが慌てた様な声を出すが、流石にここまで追い付かれたら逃げきる事は出来ないだろう。


 ───少なくとも誰かが囮にならなければ。


 俺は覚悟を決めて二丁の銃を握りしめる。


「ニナ。先に行け。俺が足止めする」


「ニャ! そんなこと出来るわけが無いニャ!」


 俺の言葉にニナが首を振るが俺はそんなニナの肩を掴んで目を見る。


「ニナ、アイツの狙いは俺だ。それに、何故かわかんねえけどアイツは炎の適正を手に入れてた。つまり、ニナが残ると死んじまう可能性がある。それに、ここで誰も助けを呼べなきゃそれこそやべえ事になる。だからニナ! 誰でもいい。助けを呼んできてくれ!」


 俺の言葉にニナがグッと歯を噛み締める。しかし、俺の言っている事が正論だと理解したのか顔を上げると一つ頷いて───、


「わかったにゃ! 絶対に生き残って私に元気な姿を見せるにゃよ」


 その言葉に俺が頷くと風を纏って加速する。あっという間に姿が見えなくなったことを確認すると、俺は追ってくる気配に対峙する。


「あれあれあれぇー? もう逃げるのはやめにしたのかな? レッカ。貴方を捨てて逃げたニナと別れて私の物になる決心はついたのかな?」


「はっ! あり得ねぇな。昔のお前ですらニナには勝てなかったのに、そんな気持ち悪い笑いかたするようになったお前の物になるなんて死んでも御免だぜ!」


 とは言った物の、何故か村の殆どが奴の味方だ。


 どんなカラクリがあるかはわからないが警戒しておく必要はあるだろう。


 幸いにも奴は村の皆を随伴しては居ないようだし、ニナを追いかけていった奴も居ないようだ。


 ───追いかけて行ったとしても村一番の緑魔法師であるニナに追い付けるやつなんていないはずではあるが。


「さぁ、私の物になりなさい!」


 そんな事を考えながら俺は銃を構えて、ことごとく飛んでくる黒い炎を銃で撃ち抜くのだった。

というわけで次回から新章入ります。


と言いたいところですが、2巻も殆どが書き下ろしになる予定のため、申し訳ないですが、しばらくWeb版の更新はストップさせて頂きます。


更新が出来るようになりましたら、Twitterの方で連絡させて頂きます。


前に、更新が遅くなるだけとお伝えしていたですが、一括でした方が早く終わると考えたため、そう言った処置を取らせて頂きます。


読者の皆様には大変ご迷惑をお掛けしますことを謝罪いたします。

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