ノエルvs. マーカス3
俺とアオイが放った合体魔法は真っ直ぐにマーカスの方へと向かう。しかし、当たる寸前にその存在に気づいたマーカスは当たる直前でそれを回避した。
どうやらこのセイクリッド・ウォーターが自分に害を成すものだということに気づいたらしくこちらを警戒している。しかし、テツのヘイトコンセトレイションの効果がまだ続いているのか、テツを完全に無視することはできないようで、こちらとテツをチラチラと交互に見るような感じになってはいるが。
しかし、そうしていても拉致があかないと考えたのか───、
「がぁぁぁぁぁぁぁ!」
獣の様な咆哮を一つ上げると黒い炎を全身に纏ってテツに襲いかかる。
「テツ!」
「こちらは問題ない。それよりもさっきの魔法をもう一度放つ準備をしておけ! 今度こそ俺が奴の動きを止める。その隙に魔法を叩き込め!」
あまりのマーカスの豹変具合に驚いてテツを心配してしまったが、テツは俺なんかより防御力が高い。だから俺が心配することも無いだろう。
「それにしても私がさっきから完全に空気なんですけど······」
マーカスが赤魔法師なので攻撃を受けると万が一があるためアオイの近くにいるしか無かったウィンさんがぼやくが、流石に暴風の領域を使っていても火に対してそこまで強いというわけでもなく、マーカスの扱う黒炎相手に試そうとも思えないためウィンさんはここでニートしているしか無いのだ。
「相性の問題もあるし仕方がない。ウィンが風の他に地と火も少しは扱えるのは知っているけど、それも初級程度が限界だったはず。その程度であの黒炎を貫通してアイツにダメージを与えられるとは思えない」
二撃目を放つために再び魔力を俺からもらっているアオイがウィンさんを宥める。それにアオイのいう通りだろう。テツの隙を見た反撃でさえそこまでダメージを与えられているようには見えない。属性の相性が良くないウィンさんの緑魔法や、適正がそこまで高くない土魔法や火魔法ではダメージを与えることは難しいだろう。
「テツ! 準備完了だ!」
「わかった! そのままぶちかませ!」
テツの言葉に俺とアオイは再び手をあわせてマーカスをロックオンする。
「「聖なる水よ! 来たりて邪悪を討ち果たしたまえ! セイクリッド・ウォーター!」」
再びマーカスを襲う聖なる水だったが、今度はマーカスも警戒していたので直ぐに回避体勢に移る。そしてその場を移動しようとその場を蹴った瞬間······
「させん! グラビティ!」
テツが一瞬だけ発動した重力魔法により体勢を無理矢理崩される。
「ぐぉおおおおおおおおおお!!」
そして驚愕の顔を貼り付けたまま聖なる水に飲み込まれた。
何だかノエル君が真っ当な戦闘で敵を倒してることって最近無い気が······
邪悪特効とか生命特効とか使い勝手のよすぎる魔法を持ってるノエル君が悪い!(責任転嫁)
しかし、このままだとマンネリ化して面白くなるので何とかしないとですね。
次回更新は7月27日金曜日か7月29日日曜日予定です!