ノエルvs.マーカス1
0時過ぎ更新申し訳ないです。色々とやることやってたらこんな時間に······
「それにしても偶然ってのは怖いものだな······ノエルの名前を出していたし、知り合いだとは思っていたが、まさかパーティーメンバーだったとは。これはあの時殺しておくべきだったか?」
マーカスの言葉の意味が今一理解できない。アオイとテツが以前何処かで敵対していて、尚且つ俺がいないタイミングでの遭遇······まさか!?
確認の意味を込めてアオイ達の方を見ると、肯定と思わしき頷きが返ってきた。
「恐らくノエルの予想通りだ。奴が以前学校ダンジョンの氾濫の際に俺たちを襲ってきた黒い炎を操る男だ」
テツから返ってきた予想通りな答えに俺は歯噛みする。マーカスには良い扱いはされなかったとはいえ、腐っても同じ孤児院の仲間だ。
「さてと······そろそろ始めるか」
どう対応するべきか悩んでいる俺に対してマーカスが口を開いた。
······と同時に飛んでくる黒い炎。
「───なっ!?」
回避した炎が地面に着弾した瞬間に破裂し、その周囲に黒い火の粉が飛ぶ。取り敢えず不意打ちで放たれた黒い炎を回避できたことに安心して少し気を緩めてしまっていた俺はそれを回避する術を持たなかった。一つ舌打ちして受けるダメージを少しでも減らす方にシフトする。
「アクアベール」
しかし、その火の粉は俺に当たる前にアオイによって使用された魔法によって防がれる。
「チッ!」
「······その攻撃は以前に見た」
「なら先に動けないらしい貴様から片付けるまでだ!」
何かしようとするマーカスを止めようと走るが、俺がマーカスの元へとたどり着くよりもマーカスが攻撃に移る方が早かったようだ。
マーカスの両手から放たれた黒炎が、あっという間に俺の横を通りすぎてアオイ達へと向かう。
「しまった!? アオイ!」
「······無駄。二人とも下がってて」
アオイの身を案じて叫んだ俺だったが、アオイを中心に発生した氷によって炎が止められたのを見てホッとする。アオイの氷結の領域だ。
今度は意識ごと凍結させる類いの物では無く、ウィンさん相手にも使用していたかなりの硬度で、炎ですら溶かすことの出来ない氷だ。
威力はかなり高そうに見える黒炎でもアオイの氷を溶かすことは出来なかったようだ。
「ノエル。私たちの守りは問題ない。ノエルはソイツに集中して」
アオイの言葉に頷いて魔導書を構える。
「なんだノエル? まさかと思うがお前の武器はそんな本一冊だなんて言うんじゃないだろうな? だとしたら俺も嘗められたもんだぜ」
マーカスの言葉に俺は無言で飛びかかる。二重身体強化で強化されたステータスを最大限に発揮してマーカスに魔導書を叩きつける。
しかし、マーカスは俺の動きをしっかりと目でおっており、普通に回避されてしまう。が、思いの外タイミングがギリギリだったようで、反撃に回る余裕は無かったようだ。
なので、空中で一回転する勢いを利用して魔導書をマーカスに投擲しておく。
「なっ!?」
流石にこれには面食らったらしく、かなり驚いている······とはいえ普通に回避されてしまったのだが。
レオの話が本当で、尚且つマーカスも同じなのであればマーカスもS級相当の力を持っていることになる。
暇な時には基本的に普通なら絶対に勝てないような魔物を全域破壊で倒すことによって、異常なペースで強くなっていってるとは言え、基礎能力は身体強化のみでB級。二重身体強化込みでもA級の下~中程だ。
破魔の試練をクリアして勇者の力を継承したからといって特に強くなったわけでも無いのだ。
つまり、今のままではマーカスと俺の力量的にはマーカスの方が上なので、あの程度の攻撃であれば簡単に回避することが出来るだろう。
そして魔導書を投擲したことにより一時的に俺の武器が失われる。そう考えたマーカスは俺に向かって手を向け······全力行使により極端に身体能力が上がった上に、アポートの呪文で回収された魔導書の一撃をくらうのだった。
次回投稿は明日か、水曜日にします!
ただ、唐突なことで申し訳ないですが、多分次回更新分は今までなんやかんやごちゃごちゃしていた設定について纏める回になると思います。
よろしければ感想などで気になることを言ってくださるとありがたいです。