協力者
0時越えないように投稿したいとか言っときながらこのザマですよ。笑ってください······
「······それで? どういうことかしら? 私は貴方とアオイちゃんを守るために王都から脱出させた筈なのだけど?」
生命感知を習得した次の日、俺はウィンさんに頼んでミズキさんを連れてきてもらった。
これからすることにはヤマト家内部の人の手助けが必要になってくる。
それもある程度勇者の行動パターンを知っている人が───。
しかし、予想はしていたがやはり少し怒っているようだ。まぁ、逃がした筈の俺がまたノコノコと王都に戻ってきたのだ。怒るのも理解できる。
だが、ミズキさんの力を借りなければアオイを助け出せない以上、ここで引くわけにはいかないのだ。
「俺はアオイを助けるために戻って来ました。そのためにミズキさんには力を貸して欲しいんです」
「貴方はアイツを舐めすぎよ。確かにアイツの実力はサボってた事もあって冒険者で言えば未だにC級上位程度。もし貴方が外で訓練を積んで強くなっていたとしても聖魔の守りがあるから傷をつけることは出来ないわ。そして、今でこそだらけているけどアオイを解放すればそれこそ手に入れるために追いかけてくるでしょうね。それこそ地の果てまでも······だから悪いことは言わないわ。アイツが貴方達に気づいていない今の内に······」
「────もし、アイツを倒せるって言ったら協力してくれますか?」
ミズキさんの言葉を遮って発せられた言葉にミズキさんが顔をしかめる。
「私の耳はおかしくなったのかしら? 聖魔の守りのせいでアイツに傷を負わせることは出来ないって言うのは貴方が一番知っている筈なのだけど······その事を理解していて尚且つ勇者を倒せるとでも言っているのかしら?」
「はい。ミズキさんの協力が得られればですが」
正確にはミズキさんの協力が無くても何とかなることはなるのだが、それでは不確定要素が多すぎるので、ミズキさんの協力は是非とも欲しいものだ。
俺の言葉にミズキさんは勇者を倒せるという言葉がただの戯れ言では無いと感じたのか視線をウィンさんとテツに向ける。
「ウィン、テツさん。ノエル君はこう言っているけど貴方達はどう思うのかしら? 魔王の事云々は今は置いておくとして、本当にノエル君はアイツを倒せると思う?」
「私は勇者の実力を見てないから何とも言えないけどノエルが聖魔の守り云々関係なしに殴りあって勝てるのなら勝てるんじゃない?」
「俺はノエルなら勝てると信じております。前回攻撃を受けたのも聖魔の守りの事を知らずに動揺した隙をつかれてです。それがなければ今代の勇者がノエルに勝てる道理などありますまい」
「冒険者に手の内を明かせというのはマナー違反だと解っていて尚且つその自信の源について聞いてみたいのだけど?」
俺はテツの方を見る。正直話さずに手を貸してくれというのは虫が良すぎる話だ。それに、ミズキさんは信頼できる。恐らくだが、話しても他言無用と言えば話さないでいてくれるだろう。······アオイの安全に関わる可能性があれば尚更だ。
テツは俺の視線を受け一度瞑目する。そしてしばらく考えた後に口を開いた。
「ミズキ殿が誰にも話さないと誓ってくださるならお話しましょう」
「姉さん。この話を聞くならかなりの覚悟をしておくべきよ。少なくとも生半可な覚悟で聞かない方が良い」
ウィンさんもミズキさんに忠告する。
「······その話聞かせてもらっても良いかしら? 正直ウィンがここまで言うということはよっぽどの事なんでしょうけど、聞いておかないといけない気がするの。勿論誰にも話さないわ」
ミズキさんの言葉を聞いてテツが俺に頷く。俺はテツに頷き返すとミズキさんに全て話した。
「······成る程。自信を持って勇者を倒せるなんて言うわけだわ。それに、他言無用という理由も理解した。いいわ、私もその作戦を手伝いましょう。私は何をしたら良いのかしら?」
「ミズキさんにしてほしいことは、可能な限り勇者が一人になるタイミングを教えて欲しいのと、そのタイミングで俺たちが勇者に接触出来るように手引きを、後は可能ならば知りうる限りの勇者の使う魔法について教えてほしいです」
俺の言葉にミズキさんは頷くと、勇者の使う魔法について教えてくれた。
また、タイミングに関しては勇者とミズキさんの一対一での模擬戦の時間があるらしく、そこを使えば良いとの事だ。
サボっているとはいえ、何故かミズキさんとの模擬戦はきちんとするらしくそのタイミングならば勇者を一人きりにできるらしい。
そうして俺たちは勇者を倒すために準備を整えていった。
そしてその次の日。
「へぇ、そっちから来たのか。探す手間が省けたぜ」
作戦通り俺は勇者と対面していた。
そして、展開が動くとか言っときながら結局動くところまで行けなかった·······
取り敢えず次回からvs.勇者始まります。
投稿は日曜日を予定です!(0時を過ぎないとは言ってない)