卒業
「失礼します」
俺は扉をノックして院長室に入る。
基本的にここに呼ばれる理由は説教なので入りたくはないのだが、俺は特にやらかした記憶もないので堂々としておく。
「こんばんは、ノエル君。そこにお掛けください」
「それでは失礼します」
院長先生が指差したソファーに座ると院長先生の方を見る。
「今日はどのようなご用でしょうか?」
「君の卒業後についてですよ。君は確か冒険者志望でしたよね?」
院長先生の問いに頷くことで返す俺。
「しかし、君は白魔法師だ。攻撃手段がないから仲間が必要になってくるとは思うんだが少なくとも私が知る限りは君は仲間と呼べる存在が今はいない······これに間違いはないね?」
一応頼めば深夜の狼に入れてもらえるとは思うが足手まといは御免だし、今はダンジョン攻略に向かっているため組もうにも組めない。
卒業後すぐという意味では組める仲間はいないのだから仲間がいないというのもおかしくはないだろう。
そう思った俺は再度頷くことで肯定の意を示す。
「それでも君は冒険者を目指すつもりかい?」
「勿論です」
俺の返答に何を思ったのか院長先生は頷く。
「それなら君にオススメの話がある」
そう言って院長先生が出した紙には『冒険者養成学校入学者募集中』と書いてあった。
「君はかなり勉強しているみたいだし、そこなら実習という形でダンジョンに潜ることもできる。更にここには無いような本もあるんだ。もしかしたらそこでパーティーメンバーを探している人もいるかもしれない。更に言うと寮生活だからここと同じく衣食住完備だ! どうだい? 今の君にぴったしな所だろう?」
そう言って院長先生が自慢気にするくらいにはすごい場所だと思う。
それに最悪ここでパーティーを組めなくたってここで時間を潰している間に深夜の狼がダンジョン討伐を終えて帰ってくるかもしれないし。
そう思った俺は院長先生にこの学校に行きたいということを伝えた。
院長先生は嬉しそうに頷くと
「ここでは君に大切な出会いを経験させてあげることができなかった。だからこそこの場所ではノエル君の出会いに幸あらんことを」
と一言神様に祈りを捧げていた。
俺は祈りが終わるのを待つと
「失礼しました」
と退室したのだった。
そしてこの2ヶ月後。
俺は無事に孤児院を卒業し、冒険者養成学校へと入学した。
短いですが本日の更新はこれで終わります
次回より第2章学校編がはじまります
相変わらず拙い文章ですが引き続き応援よろしくお願いします