魔法練習その2
「さてと······次はヒールなのですが、これは特に教えることはないですね」
「えっ!? どういうことですか?」
シエラさんの言葉に僕は首を傾げる。
「ヒールって唱えながら魔力で相手の傷を包み込むだけですからね······まぁ、試してみる方が早いでしょう」
そう言って懐から短刀を取りだし自分の指を軽く切るシエラさん。
「しっ、シエラさん!? いったい何を!?」
「慌てないで、ヒールと唱えてあなたの魔力で包み込んでください」
「ひっ、ヒール」
そう言葉にして魔力でシエラさんの指を包み込む。
それと同時に傷跡がスーっと消えていき
「ほっ、よかった」
「········っ!?」
と安心したのも束の間だった。シエラさんの指からさっきの短刀なんて目じゃないほどの傷が現れ、血が出てきたのだ。
「え!?」
「ふむ······これは······」
シエラさんは傷を確かめると回復魔法もかけずに水で洗い流して包帯を巻き始めた。
「えっ!? えっ!? 一体何が起こったんですか!?」
いきなりのことに慌て出す僕の頭を軽く撫でて落ち着かせてからシエラさんが説明を始めてくれた。
「今の症状は過回復という症状ですね。おそらくノエルさんが魔力を込めすぎたせいで発生したのでしょう。まぁ、簡単に言えば回復しすぎるのも危険ということです。ヒールを使うときは相手の傷を包み込む魔力の量もコントロールできるようにしてくださいね」
シエラさんの説明にブンブンと首を縦に振る僕。
そこにシエラさんが僕を教えている間に他の皆の事を教えていた三人が戻ってくる。
そのまま深夜の狼の皆は依頼へと出発するらしい。
かなり長い間籠る可能性があるそうだ。
今回深夜の狼が受けている依頼は僕たちの村の近くに発生したあのダンジョンの討伐だ。
前回僕を助けたときに氾濫を起こしているためそこまで急がなくてもよかったのだが、念のために早く潰しておきたいという考えらしい。
「だからこれから最低2~3年は会えないが、頑張って強くなれよ!ノエル」
最後にウェルさんがワシワシと少し乱暴に頭を撫でた。
そのまま深夜の狼は孤児院を去っていった。
そこからは再び体を鍛え、知識を蓄え、夜は寝る前に自身を対象にヒールの練習をした。
やはり最初は過回復が起こって自らを傷つける日々が続いたが練習して3ヶ月目には過回復の危険もなくなった。
そして、僕が······いや、俺が孤児院に来てから2年と10ヶ月がたった頃、つまり俺がもうすぐ孤児院を卒業しなければならない頃。
俺は院長先生によって部屋へと呼ばれていた。
すいません!ちょっと退屈かも知れませんが必要だと思ったので書かせていただきました
また本日の更新はこれで終わりか、もう一話かければいいなと思っております
明日は更新が難しいため、おそらく次回更新は日曜日になると思われます
よろしくお願いします




