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ノエルの気持ち

今回取り敢えず書いてみたのですが、難しくて多分ぐちゃぐちゃになってる気が······


感想にてご意見頂けたら幸いです(あっ、酷評は割と死ねるのでやめてくださいね?)

「本当にこれで良かったの?」


 ミズキ姉さんが私に問いかける。恐らく先程の勇者様のパーティーに入る件についてだろう。


「······ああしないとノエルが死んでた。それに魔王を倒さないといけないのも事実」


 ノエルと別れなければいけないのは辛かったが、無事魔王を倒すことが出来ればまた会える。······私がそれまで生きていればの話だが


「アイツはアオイちゃんの事を欲しているわ。······多分なんだかんだ理由をつけられて逃げられないわよ?」


「······仕方ない」


 嘘だ。本当はそんなこと思っていない。ノエル以外の人の物になるくらいなら一生誰とも添い遂げない方がマシだ。

 

 そんな私の心情を表情から察したのか、姉さんが私を抱き締める。


「アオイちゃん。もし本当に嫌だったら逃げだしても良いのよ? いくらアイツが勇者であっても関係ない。最悪攻撃は効かなくても盾になるくらいなら私達でも出来るんだし、アイツの首に縄でもかけて魔王の前まで引きずって行けば意地でも戦わないといけなくなるんだから」


「······うん。ありがとう、姉さん」


 縄でもかけての下りは冗談だと解っていたが、それでも気持ちはかなり楽になった。


「じゃあ、私は少し用事があるから出るわね」


 そう言ってミズキ姉さんは部屋を出ていく。


 ミズキ姉さんを見送って一人窓の外を眺める。


 ノエルは無事だろうか? まぁ、ノエルは優秀な白魔法師だ。私が心配することも無いだろう。


 そんな事を考えていると、ノックも無しに扉の開けられる音が聞こえた。


「やぁ、アオイ。少し話をしようか」


 入ってきたのは勇者様だった。






 ノエル視点


「ノエル······嫌だよ。助けて······」


 アオイがうずくまって座っている。そんなアオイに対して黒いモヤが追ってきている。アオイは黒いモヤに気づいていなかった。


「アオイ!」


 俺は精一杯アオイに向かって手を伸ばすが、アオイには俺の声が聞こえなかったのか、こちらに反応する事なく、俺の手が届く前にモヤがアオイを飲み込んでしまった。


「······待ってる」




「アオイ!」


 気がつくと俺はベットの上で寝ていた。右手は夢の中でしていたように前に伸ばしていた。


「くそっ! 夢か······」


 どうしてこんな夢を······? 


 そんな事を考えている間に扉がノックされた。


「ノエル。起きてるか」


 扉を開けて入ってきたのはテツだった。テツは体を起こしている俺を見てホッとした顔をした。俺を起こしに来たのだろうか? しかし、その後俺の顔を見て眉をしかめる。


「ノエル。少し顔を洗ってきた方がいい。かなりひどい顔をしているぞ」


 テツの言葉に俺は自分の顔を触ってみる。自分はそんなに酷い顔をしているのだろうか?

 取り敢えず顔を洗ってくる。その後テツと一緒に朝食を取るが、さっき見た夢のせいで何故か落ち着いて食事をする事が出来なかった。


 食事を食べている間もずっとさっきの夢について考えていたくらいだ。


 テツはそんな俺を無言で見つめると、おもむろに


「ノエル。少し付き合え」


 と宿を出る。


 俺も特にする事が無かったのでテツについていく。


 テツは俺が後ろからついてきているのを確認するとそのままギルドの中へと入っていく。


「少しここで待っててくれ」


 そう言って受付に向かうと、受付の人と一言二言話してから戻ってきた。


「行くぞ」


 テツの言葉に頷き、ついていく。


 テツは訓練場に入ると俺と向かい合い、メイスと背中に背負っていた盾を構える。


「構えろノエル」


「いきなり何を──?」


 いきなりのテツの行動に俺は戸惑うがテツは無言で俺にメイスを振るう。

 俺は魔力を循環させて、身体能力を上げると「アポート」と唱えて手元に魔導書を召喚する。

 テツが無言で振るうメイスを俺は魔導書で受け止める。

 どういうつもりかは解らないが、理由を話すつもりは無さそうだ。

 しばらく俺は襲い来るテツのメイスを受け止め続けた。


「アオイの事がそんなに心配か?」


「──っ!?」


 いきなりのテツの言葉が俺の動きを一瞬止める。その一瞬の隙で、俺はテツのメイスに弾き飛ばされた。

 しかし、テツも手加減してくれていたのか、ダメージはそこまで大きくない。

 テツは俺の前に立つとメイスを構えたまま聞く。

 俺は夢で見たことをテツに伝えた。

 何故か知らないが胸騒ぎがする事も、一緒に伝えた。


「······それだけか?」


「どういう意味だ?」


 その言葉にテツはため息をつく。


「この際だ。はっきりさせておこう。ノエル、お前はアオイの事をどう思っておるのだ?」


 アオイの······事? そんなの


「大切な仲間だ」


 俺の返答にテツがため息をつく。


「なら何故アオイのみがパーティーメンバーに誘われた時に憤った? 確かにあの勇者は褒められた性格ではないが、無事に魔王を倒した勇者の伴侶となれば将来は安泰だ。ノエルがアオイの事を真に思うのならあそこで憤る理由は無いはずだ」


「それは·······」


 テツの言葉に俺は言葉につまる。


 テツの言葉はその通りだ。なら何故俺は憤ったのだろうか?


 不意に勇者の言った一言を思い出す。


『俺はそこにいる女の子を気に入った。だから俺の女にする』


 アオイに対して勇者が言った言葉だ。これを聞いたとき俺は······


「······アオイを取られるのが嫌だったんだ」


 俺の言葉にテツは満足そうに頷いた。


 そう、俺は確かにあの言葉を聞いて、自分が必要とされなていない事よりも、アオイが自分の横から居なくなることが怖くて憤ったのだ。

 

「······ハハハ。なんだ。簡単な事じゃないか······俺はアオイの事が······好きになってたんだな」


 何時からかなんて解らない。最初にパーティーを組んでくれた時かもしれないし、ミノタウロスの変異種を倒した時かもしれない。もしかしたらダンジョンでの野営の時に心の内を打ち明けてくれた時かも知れない。


 だが、俺はいつの間にかアオイを好きになっていたんだろう。


 もしかしたら今朝の夢もアオイと離れた事が理由で見たのかもしれない。俺は自分が情けなくなって顔に手をやって一人涙を流した。もし、この想いをもっと早くに自覚していたら何か変わったのだろうか?


「馬鹿だな······俺は。居なくなってから気づくなんて······」


「ホントにね。こんな所で泣くなんて情けない。まぁまだチャンスがある分ましだとは思うけどね」


 突然横から聞こえた声にそちらを向く。


 そこにいたのは


「久しぶり······でも無いか」


 ヤマト家の牢屋の中に監禁されているはずのウィンさんだった。

次回は明日更新予定です。よろしくお願いします!

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