亡拾 骸
皆さん!おひさしぶりです!
この度、ようやくやることが終わって更新できるようになりました!
これからもよろしくお願いいたします!
······とは言え更新再開一話目から胸糞展開です。
少し注意かもです。作者は書いてて吐き気を催しました(グロ等はありませんので大丈夫です)
亡拾 骸······? ユウシャ······?
「勇者!?」
勇者ってあの物語とか昔話とかに出てくる魔王を倒すあの勇者!?
「そんな人がどうしてここに!?」
「いや、どうしてってお前らの世界が魔王とやらに襲われてヤバイからって理由で、お前らの王様に呼び出されたからだが?」
俺の言葉に勇者様が答える。
えっ!? 勇者様って何処かから呼ぶものなの!?
俺の疑問にはミズキさんが答えてくれた。
「代々の勇者はこの世界とは異なる世界から召喚魔法を使うことで力を与えてこの世界に呼び出して戦ってもらっているのよ。魔王は聖魔の守りという名前のスキルを持っていて、同じ聖魔の守りを持っている人じゃないと傷を与えることは出来ないの。そして聖魔の守りを付与する方法は今の所召喚魔法しか知られてはいない。私たちでどうにか出来ないのは辛いんだけどね」
成る程······というより俺はルイス以外にも世界があったことが驚きなんだが。
「まぁ、そこまで気にすんなよ······所でミズキ。コイツらは?」
「勇者様の仲間となる人達ですよ」
「······え?」
ミズキさんの言葉に俺とアオイが固まる。
何それ!? そんな話初めて聞いたよ!?
え!? 何!? どういうこと!?
「これまでの研究で、勇者様のスキルである聖魔の守りの効果は、微弱ながらパーティーメンバーにも付与される事がわかっているわ。でも、その付与される条件が、一つの属性のみの適正を持つ者っていう限りなく存在する可能性の低い物だったの。一応他の属性の適正を持つものでも無理か試してみた事もあったらしいけど、その結果は酷いものだったらしいわ。勇者様の仲間の一人を除いて勇者様すらも死亡。その勇者様の仲間も重症で、勇者様以外の攻撃が通らなかった事を告げるとそのまま帰らぬ人となったわ。その時にどうしてこのルイスから人族が滅びなかったのかは歴史の謎とされているわ。······勇者も強大な魔王相手に一人では勝てない。幸いにも今回は3人も適正のある人が見つかっているし、3人ともサポートに秀でているメンバーで、尚且つ同じパーティーだから連携も問題ない。強くなれば魔王にもひけを取らないでしょう」
······いや、3人じゃない。5人だ。
学校にいた時にニナとレッカも単一の属性しか持たなかったと話を聞いたことがある。
二人とも故郷で特訓するって言ってたから強くなっているだろう。
あの二人が加わってくれれば心強い味方になるはずだ。
俺はそれをミズキさんに伝えようとするが······
「いや、サポートはそこの女の子一人でいい。他は要らん」
勇者様の言葉に、空間が凍りつく。俺は一瞬勇者様が何を言っているのか意味が解らなかった。
「······どういう事でしょうか? 勇者様?」
流石のミズキさんも表情が強張っている。
「どういうも何も簡単な話だ。俺はそこにいる女の子を気に入った。だから俺の女にする。男なんていても楽しくもないし邪魔なだけだからな······ついてこられても困るんだよ」
勇者様······いや、勇者の言葉に何故か怒りがこみ上げてくるのを感じる。
「勇者様! 魔王の力は強大です! 一人でも味方は多い方が!」
「うるさいぞ! ミズキ。······俺は良いんだぞ? 別にこの世界がどうなろうともな」
「──っ!」
勇者の言葉に歯噛みするミズキさん。
「······ノエル。行って」
アオイがこちらに振り返って言う。
「······大丈夫。魔王を倒してちゃんとノエルの所に帰ってくるから。そしたらまた一緒に冒険者をしよう」
アオイの言葉に反論しようとする。
しかし、俺には反論の言葉は見つからなかった。
「おいおい、いつまで居るつもりだ? てめえらは要らねえって言ってんだよ。さっさと消えろよ。何なら俺が直々に叩き出してやろうか? ギャハハ!」
そういうと体に黄色い光を纏い始める勇者。
「ノエル。さすがにここは引かんとまずい。行くぞ!」
テツが俺の手を引くが
「ざーんねーん。時間切れでしたぁ! 死ねよ」
いつの間にか俺の隣に来ていた勇者が拳を振るう。
ブーストすら発動出来なかった俺はそのまま壁に向かって叩きつけられた。
「がはっ!?」
壁にぶつかった衝撃で血を吐いた次の瞬間には勇者が再び目の前にいた。
俺は無意識に全力行使を使用して続く一撃をかわす。その後拳で殴ろうとするが、拳が届く前に壁のような物に遮られてしまった。そこに更に一発食らう。
「なっ!? ガハッ!?」
「はっ、生意気にもかわして反撃するのか······それなら───」
「やめてください!」
纏っている魔力がバチバチと鳴り出した勇者に対して、珍しいアオイの大声が響く。
「これ以上ノエルに手出しをするなら私は舌を噛んで死にます。······勇者様にとってそれはまずいことなんじゃない?」
アオイの言葉に勇者は頭をガリガリと掻くと
「そうだな······まぁ死体を可愛がる趣味は無いし、未来の女の言葉だ······気が変わらん内にさっさと出ていけよ? てめえの攻撃は俺には届かないんだからなぁ。ギャハハ!」
「ノエル! 早く行くぞ!」
俺はアオイの方を見るが、アオイはこちらに微笑んで頷いただけだった。
確かにこれ以上勇者を怒らせて面倒事になってもいけない。
俺はテツと一緒にヤマト家の屋敷から出るのだった。
次回更新は金曜日にできるように頑張ります!
よろしくお願いいたします!