宴
ようやく章の付け方がわかりました・・・。
獣人族との戦いから10日が過ぎ片付けや補修工事と慌ただしかった城塞都市内部は祝杯の宴を兼ねた縁日に変わっていた。
戻ってきたドワーフ達がアンリの指示の下に作り上げた出店や屋台が並びルークスの指示で獣人族が店番をしている。
「フハハ、ガイアス達が予想より早く来てくれたおかげで盛大になったぞ。素晴らしい、ビバ祭り!!」
「落ち着けアンリ、私はこういう催し初めてでな、どこから行くか案内してくれ。」
サラは出店が書かれたパンフレットを開きスタンプラリーか、と呟き先着に用意した商品を見て頷く。
「早く行くぞ。私は3着目の『1日アンリ雑用券』が欲しい。」
「いつもやってるからサラには必要ないだろ?」
「いいじゃないか。お前を1日でも手放さない為だ。」
周囲の皆がおぉー、と冷やかし、アンリは手を挙げて応える。
「じゃあ、楽しもうか。置いてかないでくれよ。」
サラと手を繋ぎ祭りに参加した。
通りを歩く皆が思い思いに店を覗き、笑い声がそこかしこに響いている。
宴を兼ねているから料金は全て無料にした為歩く者は皆手に何かしらを持ち、中には食いきれない程の量を抱えている者もいた。
それを眺めながらワインを片手に焼き鳥を口に運んでいたカイネは深く思案している。
これを教会主導でソドムでも出来ないか?
アンリに雑務兼料理を押し付けたなら可能な気もするがどうやって頷かせるか・・・。
走り寄る足音に視線を向けるとフランが器片手に箸を2膳持ち誇らしげな顔で立っている。
「カイネ様見てください。この暴力的なお好み焼き二段重ねフランスペシャルを!」
「神の嗜好通り野菜無し肉マシマシだな?」
「もちろんです。神の使徒足るもの人類最初の殺人動機を忘れてはいません。」
フランは親指を立て頷く。
カイネは先程の思考を忘れ箸を受け取り横でパンフレットを開き次の店を探しているフランに目をやり小さく笑みを浮かべた。
「次の店はどこに行く?」
「射的に行きましょう!カイネ様に取って欲しいです。」
任せろ、と頷き2人は喧騒を眺めながら箸を進める。
ラズは人混みの中、宴会場と化した場に歩いてくるサラとアンリを見つけ手を振り呼び掛ける。
「お2人もこちらで少し休まれて行きませんか?」
2人が視線をラズから足元に転がるギルカに移し後ろで鉢巻を締め腕組みをしているルークスに向けた。
周囲には各長や側近も揃い飲み比べをしているようだ。
「少し付き合おう。アンリは何かつまみを使ってくれ。」
「はいはい、ちょっと待ってて。」
ルークスが最初に挑むらしく肩を回し頬を叩き気合いを入れている。
「戦いでは負けても酒なら・・・無理か。」
「無理だな、私は酒で潰れた事がない。とはいえ楽しもうじゃないか。」
ルークスは目尻を下げ頷き盃を合わせた。
アンリは鼻歌交じりに下処理をした小鳥を食べやすい様に硬い骨を棒で砕き、塩胡椒で味を付け、ニンニク、ネギと共に炒め最後に酒を振りかけ蓋をした。
餃子を作っている屋台から皮と餡を貰い、皮を細く切って麺にし餡をベースにスープを作る。
周りの屋台から得た食材を別のメニューに変え次々渡しているとフランとカイネが景品や食べ物片手に合流し騒ぎ出していた。
「アンリ~。私達にもなんか作ってくれ。」
はいはい、と返事をし料理を作っていると酔っているのか顔を赤く染めたフランが顔を覗かせ目を料理に移すと頷く。
恐る恐る揚げ餃子に手を伸ばし口に含むと熱いのか2度3度と跳ね飲み込み親指を立てた。
「勝手に食うなよ。タレとかまだ作ってる途中だぞ。」
「まぁまぁ、私の中に入った仲ですので大目に見てください。なんでしたらまた入りますか?」
フランが下腹部に手を当てアンリにウインクをした時場が静寂に包まれた。
焼く音だけが響く中アンリはスキルが警告を示したのを感じ口が乾くほどの緊張を得た。
フランが言っているのはおそらく最初にルークスとあった時の事だろうと思い口を開く。
「フ、フランさん、誤解を招きそうだから大人しくしててね?」
「誤解とはなんですか!?」
酔ったフランは身を抱くように両手を交差させ横目でアンリを見る。
「人の事呼んどいて後は頼むって言ったきり横になるから私はスカートを捲り自分でアンリさんを中に迎え入れたんですよ!
その後も汗が浮かぶ程一生懸命動いて後始末も全てやり、精魂つき果てたように寝てるアンリさんをベッドに運んだ事のどこが誤解を招くのですか!?」
フランの叫ぶような声に更に静寂が広がる。
立ち上がったリノアとプラタはフランも抱きしめ頭を撫でるとアンリを睨んだ。
「なぁアンリ、私達が命懸けで戦っている時にイチャつきその上認知しないのは最低だと思わないか?」
「幻滅しました。説教しますから来てください。。」
「待て!今恐ろしい程の誤解が生じてる。ちゃんと話そう。なっ、な?」
アンリは屋台から出てケイトとヴァンに助けを求める為肩を震わせて笑っている2人に向き直る。
「安心しなさいアンリ。しっかり伝えるわ。」
ケイトは立ち上がり注目を集めるとフランを指差し、
「フランの言葉通りよ、間違いないわ。」
「捉え方が違うだろうがぁーー!!」
アンリは叫ぶがプラタとリノアに肩を捕まれ引き摺られながら隅に連れていかれ説教が始まった。
現場にいた者や事情を知っている者が真相を教えると全員が爆笑し隣人と乾杯をした。
正座で説教を受けるアンリを肴に妙な一体感を得て取り戻した平和と日常に再び盃を掲げ空にし笑い合う。
その後も祭りは続き、陽が暮れ帰路に着く頃には皆顔を綻ばせ種族関係なく笑い合い共に歩む気持ちが芽生えていた。
「ひどい目にあった・・・。」
家に着き椅子にもたれかかったアンリはだらけるように足を伸ばす。サラも対面に座り頬杖を付き視線を合わせた。
「誤解がとけたから良かったじゃないか。2人も紛らわしい真似するからだって謝ってたぞ。」
「それ謝ってない・・・。でもまぁ、楽しかった。それは間違いない。」
サラは笑い立ち上がると机を周りアンリの頭に手を置き小さく呟く。
「私も楽しかった。誰も彼にも恐れられず笑い共にいられる場を作ってくれてありがとう。」
アンリが振り向くがサラは寝るぞ、と言い背を向け階段を上がっていく。
それを追いかけ1日の終わりを迎えた。
やっと一章終了しました。拙い文、長い話に御付き合いありがとうございます。
修正と幕間を投稿した後二章を始める予定です。




