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鬼と人と約束と  作者: 敦人
一章 獣人族の侵攻
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戦闘~カイネ&ラズ~

人間が森で暴れている事を村へ避難してきた魔族から聞いたカイネとラズは森を走る。

目的地まで後少しの所で2人は足を止めた。

目の前に道を塞ぐように現れた者達がいるからだ。


「なんだ。私達に用か?祈りなら教会でやりな。」


カイネは行き先を邪魔する男達に言葉を放つ。


「いやいや、祈りは間に合ってる。いい女が来たから相手してもらおうと思ってな。」

「エルフもいるな。俺達と遊ぼうぜ。」


下卑た笑いと共に剣を抜く兵士達にラズが困惑したように口を開いた。


「あの、正気ですか? 此処で私の相手するならこの数じゃ足りませんよ?」

「戦力差も測れない哀れな奴らだ。全く神が憐れむ低脳共め。」


ギルドの兵士達は笑みを消し顔を赤く染める。


「森で私に勝ちたいならドライアドクイーンを連れて来なさい。でなければ戦いにもなりません。」

「嫌な事言うな。あの鬼畜ほうれん草が来るなら私は逃げるぞ。」


フフフと笑うラズ、心底嫌そうなカイネ。それに嘗められていると気付いた兵士達が攻撃体勢をとるが、


「遅すぎるな。的か?」


カイネの手にした銃型の魔具が先頭の男の膝を撃ち抜く、倒れる音と同時にラズは木の上へ跳躍し姿を消す。


「ではお相手よろしくお願いします。頑張ってくださいね。」


2人とギルドの兵士達の戦いが始まる。





ラズは樹上を渡り周囲に糸を張り巡らせる。

逃げられないようにする為と足場を作る為だ。

地形を己の狩場に変える事は優位性の確保になり効率がいいとラズは思う。

そんな自分の動きなど気にしない相手達に笑みが零れた。


「カイネがいると楽でいいですね。何人か捕まえ情報を聞き出すとしましょう。」


兵士達の最後尾に居た男の後ろに音もなく降りると背後から手を口に当て死角へ引きずり込み、首を糸で括り残忍な笑みを浮かべた。


「貴方達の指揮官は誰でしょう?あぁ、要件は先日お会いした方から聞いておりますので答えなくて良いですよ。」


鏃を腕に押し当てられた男は首を横に振る。


「待て!?教えるから助けてくれ!!」

「えぇ、もちろんです。私の知りたい事全て教えていただいた後生きていればですけどね。」


言葉と同時、腕に鏃を突き刺し回すように抉り込むと悲鳴が響き、声に満足げに笑みを深くしたラズの尋問が始まった。





カイネは退屈していた。戦いといえるのは最初の数分だけで後は逃げる背を撃つだけになっていたからだ。


「これで5人目と。」


倒れた男の頭に魔力弾を2発撃ち込み前に進み、剣を手に後退する男達に冷めた視線を向けて口を開く。


「逃げるなよ。追うのが面倒だから正座して並べ、もしくは両手を頭の後ろで組んで地に伏せろ。」


数歩前に進んだ時大木の陰から男が現れカイネに殴りかかった。避けられてもそのまま掴み押し倒す動きだ。


「おっと、危ないな。」


カイネは男の手を払い顎に銃底を当てる。続くように膝で金的、同時に銃を袖にしまい、屈んだ男の耳を両手で掴み背後の木に後頭部を打ち付けた。


「これで仕上げっと。」


気軽な口調で両耳を4指で抑えながら親指で両目を潰すと倒れた頭に銃口を向け、


「馬鹿程近づきたがるから接近戦は得意なんだよ。」


言葉と同時に引き金を引いた。




部隊を率いていた隊長マインはカイネの動きを視界に収めていた。

躊躇も容赦もなく手慣れた作業のように部下達を始末する黒衣のシスターに疑問が芽生える。


手慣れすぎている、異常な強さと身体能力、あれはなんなんだ・・・。

同時に犠牲無くして止めることが出来ないだろうと思う。


「皆すまん。勝利の為に散ってくれ!」


マインは剣を握り薮に身を潜める。

シスターの隙を伺う為だ。目の前で死んでいく部下達が作り出すであろう確かな勝機まで奥歯を噛めしめ逸る気持ちを押さえつけた。




目の前、後3歩とない距離で背を向けたシスターにマインは切りかかる。

マインが1歩踏み出した時2人は互いの敵を倒す為動きを作り出す。


一方のマインは動き出してからも勝利を確信していなかった。

勝利とは結果であり、過程において生じるものではないからだ。

だが散った部下達の為にも最適、最善を尽くす事を決め追加の1歩を踏む。


思うのはこの時を生むため見殺しにした部下達だ。支配者のいない森で狩りをし、人間1人始末するだけの割のいい仕事に賛同した彼等は幾度と競い合った友人達だ。

隊として立場を明確にする為、隊長になったが皆、等しく友であり仲間だった。

それを殺したシスターに怒りを向けるのは当然でありそれが力になる。


「許さん!!此処で死ね!」


剣筋は肩から腰に抜けるものだったが躱された。動きの無駄のなさからマインは悔しさで胸を満たす。


知っていたのだ。自分が隠れ、機を伺っていた事を。そして耐えた時間を嘲笑っていた事を伝える為に背を向けた・・・。


当然避けたシスターの手には銃があり引き金を絞られた。

音と同時にマインの足が崩れ倒れる。


「悪くない選択だ。殺気を抑える練習もしとけばこの身に届いたかもな。」


カイネは銃口をマインの頭に向け魔力弾を発射し辺りを見回すと木を背に座り込み、震える男を見つけ歩み寄り喉元に蹴りを放つ。


「ガッ!」


男の震えが止まるが呼吸がままならなくなり、前に出した手が撃ち抜かれた所で男は自分以外立ち上がる者がいない事に気付いた。


「生きたいか?神はお前に慈悲を示すと仰っている。」


シスターの足が喉元から離され代わりに銃口を向けられる。


「両手を後頭部で組んで言う通りに歩け、今お前ができる事はそれだけだ。わかったか?」


男は高速で首を縦に振り、言われた通りにする。歩みを始めた所で背後から声がきた。


「今日の夕飯はハンバーグだとアンリは言っていた。わかるか?それが何か私は知らん、だがアイツが死ねばハンバーグの正体も金を生む商業も潰える。それが私は許せない。」


男は困惑する、意味がわからない言葉だが逆らう事は死を意味している為すいませんと口にするだけに留める。





「遅かったですね。そちらは片付きましたか?」


ラズは頬を赤く染め笑みでカイネを迎えた。

周囲には幾人かが糸で四肢の自由を封じられ拷問され息絶えていた。

ラズの前にいる男は喉元に巻きついた糸が呼吸を妨げ笛のような音を漏らし涙を浮かべている。


「こいつが最後だ。情報は聞き出せたか?」

「えぇ、皆さん小鳥のように教えてくれました。今は情報の擦り合わせ中です。」


言葉の後ラズは男の右頬から左頬へ矢を突き刺し捻りながら抜き、喉元の糸を僅かに緩めるとか細い声が漏れている。


「待ってくれ、知ってる事は喋った。あれで全部なんだ・・・。」

「えぇ、色々教えて下さってありがとうございます。もう一つ何か思い出しませんか?」


言葉の後短刀が光り、男の耳を削ぐ、手を返すように上から頬を短刀でなぞりラズは視線を合わせる。


「待って、止めて、痛い痛い痛いんだ、助けてくれ止めてくれ!!」


ラズはカイネに視線を向け肩を竦める。


「皆さんこのように聞いてもいない命乞いを始めると途端に情報を教えてくれなくなるんです。質問に答えてくれないなんて悲しいですよね。」


ラズは短刀を男の太股に突き刺し、叫び声を無視してカイネに歩み寄る。目の前で震え吐瀉物を地に撒き散らす男には視線すら向けず集めた情報を伝えた。


「率いてるのはクラシスか・・・。面倒な奴が出てきたな。で、依頼者はスラグの馬鹿王か、あれはほっといてもいいな。」


カイネは情報を吟味し、今1番利益に繋がる事をする事した。


「おい、お前らが移動に使った馬がいる所まで連れていけ。」


地に伏していた男は質問がわからず僅かに躊躇う、直後腕を撃ち抜かれ再度言葉がかけられる。


「お前が取る道は2つだ、私の役に立つかあいつらと同じ扱いになるかだ。好きな方を選べ。」


指で示された仲間の遺体はどれも惨く損傷していてるのが見て取れ首を逸らし口を開く。


「あ、案内します。今すぐに!!」


カイネは笑顔で頷き先導する男の後を付いていく。

数歩進み振り返りラズに声をかけた。


「私は金に呼ばれている。アンリの保護は任せてもいいか?」


ラズは短刀引き抜き改めて悲鳴をあげた男の喉元を横に切り裂いて頷く。


「では、また後で。アンリさんの事は任せてください。生きていればですけどね。」


2人はそれぞれの目的へ歩みを進めた。

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