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エピローグ

前回のちょっとアレな表現が苦手な方の為の前書きです。


研究所に突入した慶司は殲滅後一人の少女を保護した。

慶司は非道な行いの聖教会の研究所を全て破壊し、そのまま神殿へと乗り込み法王、そして聖女達も倒していく。

その活躍でフルトリアとの戦争は回避されていく。


この様な内容でした。粗筋で一話投稿もどうかと思ったのでここに即興で書かせて頂きました。

 慶司はリヒトサマラに持ち込んだ書類を全て纏めて聖地へと運ぶ手はずを整え、巡回している竜をつかまえた。

 毎度頼まれ事をされると解っている為か即座に対応してくれる。

 実質はエルウィンの亭主だけでなく全ての長と知古であり、さらにマリシェルの信頼を寄せる人物なのだから当然の対応と言えるのだが慶司としては申し訳ないが宜しくお願いするという腰の低さである。

 唯でさえ格上の人物から丁寧に頼まれれば張り切って運ぶのも当然の事である。

 マリシェルには手紙を添えておき、慶司はケルン城砦都市へと向かうことにした。


「なんだ、本当に忙しないな」


「すいません、今回の件はできるだけ隠密に運ぶ必要があったんです」


「まあ事情はシルフィから聞いてるからな」


「流石に宗教相手ですからね…時間のかかる戦いになりそうです」


「それでも慶司がいなきゃもっと大変な事態になってたさ、シルフィには感謝しないとな」


「まだまだですよ、俺のできる事は知っている人を守るだけで精一杯です」


「だから、学院をつくったり都市を作るんだろ、大丈夫さ」


「ありがとうムーサ、これからも世話になると思うけど宜しくお願いします」


「ハッハッハ、天下の慶司に頼まれたら断れないじゃないか、任せな」


 それじゃあ又と、次の目的地へ行くと告げて、慶司は回廊を開いて消えていった。


「全く、感謝するのはあたし等だってことを理解してないんだから、困ったもんだ」


 ムーサは呟くとキセルを吹かして一服した。

 軽い紫煙が漂って風がかき消していった。



 ◆◇◆



 ケルンに到着はしたものの、【幻日環回廊げんじつかんかいろう】を使用しての訪問なので町の外から走って城砦へと駆けつけた。

 城砦に到着した慶司はラドリックの元へと案内を頼み一応フルトリアの戦争準備について備えるようにと告げた。


「ですが、戦争は多分起きないのですね」


「うん、敵の研究所関係は殲滅させたからね」


「ハハハ、でも噂に聞いていた危険な薬品が使われないなら防衛はお任せ下さい、たとえ20万の兵が攻めてこようが例の砦は落とされませんよ」


「できるなら戦争なんて無いほうがいいから…そのときは又考えるさ」


「慶司殿がそう仰ってくれればなんとかなる気がするから不思議です」


「それじゃ、もう少し後始末が必要だから頼むね、それとお願いした件も宜しく」


「はい、任されましょう」


 用事が済んだ慶司は流石に消える場面までは見られるのはどうかと考え町の外へと走っていった。


「相変わらず忙しいお人ですね」


「だが全ては人の為って所があの人らしいじゃないか」


「俺達も負けてられませんね」


「ああ、明日からも頑張って防衛と国民の安全のために働こう」


 ブルトンの騎士は皆慶司の事を尊敬しているのだった。



 ◆◇◆



 竜族の控え室から王宮の内部へと歩いていく慶司の姿を見たものは全員が敬礼をしていた。

 大仰なのを慶司が嫌うために簡易な形だったがお蔭で慶司も簡単に礼を返すだけで済んだ。


「失礼、入っても大丈夫かな」


「慶司様ですか」


「ええ、ちょっと話があってね」


「どうぞ」


 ミランダが扉を開いてくれて中へと招き入れてくれた。

 慶司は大まかに聖教会の殲滅を語り、今後黒狼との協力によって奴隷を解放していく計画を話した。

 実際に開拓都市は慶司の管轄であるのだから人員を増やすのは慶司の裁量なのだが、フルトリアから逃がす奴隷を解放して取り込むとなれば相談しておかなければならなかった。


「成程、わかりました。もしもなにか問題があっても我が国は屈せずに対応いたしましょう」


「ありがとうシャーリィ」


「さすが慶司様ですね、黒狼を使い奴隷の解放運動までなさしめるとは…

 慶司様もお気づきかとは思いますが、私の出身は…」


「ミダンダさんの出身地は伝説の義賊の隠里ですか」


「やはりご存知でしたか」


「ええ、隠里の存在を聞いた時に2つの伝説を耳にしてましたから。おそらくはそうじゃないのかなと」


「ね、ミランダ言ったとおりだったでしょ」


「その様です、やはり妾に…」


「困りますよ」


「フフ、冗談ですわ」


「慶司様、そのミランダの笑いは冗談の笑い方ではないのでお気をつけを」


「長く使えると見抜かれるので困りますわ」


「それじゃあまた来ますので」


「もうお帰りですか」


「まだいらしたばかりですのに」


 残した仕事があるので、すいません、と慶司は告げてシャーリィの寝室から出て行った。


「アレクスが明日慶司様が来たのを知ったら悲しみますね」


「フフフ、どうでしょうか、残念には思われるでしょうが」


「もう、ミランダは意地悪ね」


 主従の仲の良い会話はその後も繰り広げられたのである。



 ◆◇◆



「お疲れ様でした慶司さん」


「いえ、御迷惑をかけます、資料は届きましたか」


「ええ、信じられませんがやはり人の手に縁るものだったのですね」


「研究施設は破壊しましたが、完全とは言いがたいですね。

 これからも内容を調査してもらって、引き続き警戒はする必要があると思いますが」


「一応は変異魔素については一段落したと見ていいでしょう」


「はい、あとは他の問題を徐々に解決しようと思います」


「やはり白金に相応しい方でしたわね」


「あれは、まあ在り難く頂いておきます」


「大丈夫ですよ、普段は偽装したカードを使ってください」


「え?」


「慶司様、この度は有り難う御座いました、そのカードはいわば感謝の印です。あまり目立つのが好きではない事はわかっていたのですがそれぐらいしか思いつかなかったのです。ですので気にせずもう一方のカードをお使い下さい」


「参りましたね、いえ、在り難く使わせて頂ける立場を目指しますよ。今回の事も含めて表立って動いた物の功績は少ないので、納得させるだけの事をこれから成し遂げて使えるようにします」



「困りますわ、これ以上だと差し上げるものが私ぐらいになってしまいます」


「それは此方も困るので、俺とエルの子供をしっかり見てやってもらえればそれで十分ですよ」


「フフ、振られてしまいました、ですが御安心を、必ずやこの子は素晴らしい子になるでしょう。

 何といっても慶司さんとエルさんの子なのです」


「では宜しくお願いします。資料から何か見付かれば連絡をお願いします」


「お気をつけて」


 その場で【幻日環回廊げんじつかんかいろう】を開いて慶司は隠里へと戻っていった。



 ◆◇◆



 隠里は大騒ぎとなっていた。

 何しろ竜が村へと降り立ったのだ。

 長い隠里の歴史始まって以来の珍事である。

 実際エルが既に居た訳だが、竜体が現れた事の方が驚きとなるのは仕方がない事だ。


「主様、お帰り」


 満面の笑みを浮かべてエルが出迎えてくれた。

 慶司はそれだけで満足だった。


「ところでこの騒ぎは…」


「あの竜が護衛として残ったのにゃ」


「あれ、そんな指示はして無かったんだけど」


「あの娘を守るようにと言われたと申してな」


「なんだ、慶司の命令じゃなかったのか」


「あれ、もしかしたら」


(ソアラが頼んでくれたのかな)


(私じゃないけど、私かなあ)


(どういう風に伝えたの)


(えっと、シルフィ達のところへ直接いって護衛して連れてってねって飛び立ったあの()にお願いしたんだけど)


(ありがとう)


(ふふん! いいのよ)


(フフフ、ソアラさん)


(ヒイ、あ、アタシは何も)


(いいえ、慶司さんが頼んだのは私たちが護衛してるところまで行って連れて行く事であって、護衛してとは言ってないのですよ)


(あ…)


(いいよ、シルフィお蔭でなんだかお祭りになってるし)


(はい、解りました、フフフ良かったわね、ソアラ)


(は、はい、有り難う御座います)


(じゃあ、シルフィとソアラはすまないけどもう少し魔力を分けておくからフルトリア軍の動きを監視しておいてくれるかな)


(お任せを)


(わかったわ)


「うん、俺からの頼みってことで護衛してくれてるみたいだ」


「なんじゃやっぱりそうか、まあ主様の頼みじゃと聞いたからそのままにしてたんじゃがな」


「祭りでもはじまりそうにゃ」


「すいません、慶司さん、なんだか大騒ぎになってきたのですが、私たちの土地を竜族が訪問してくれるなど此上ない名誉なこと、今までは隠里でもあり竜族にも近づいて貰えないと思っていたのです」


「そうなると、やはり近隣の魔獣被害が…」


「いえ、それ程の危険な物は…」


「そりゃそうじゃろう、ここの村のあたりはきちんと巡回コースのはずじゃぞ、攻撃される気配の無かったところは支配地と変わらん高さで見守っているはずじゃからな」


「そうだったのですか、やはりこれはお祭りせねば、イデア、祝宴を」


「ハッ」


「エル、暫くあの竜族の人にいてもらえるようにお願いしておいて、祭りの最後までじゃなくてもいいから」


「うむ、そう云う事も必要であろうな」


 テッテッテッと竜族の下へとエルは走っていった。

 竜が緊張してキリッと姿勢を正すのが面白い。


「慶司と妾の頼みじゃからな、快諾してくれたわ、フゥハッハッハ」


「エル、その笑い方は今のエルには似合わないにゃ」


「なんじゃと!」


「オホホホホにゃ」


「「いや、なんか違うだろ」」


 おもわず慶司とルージュの突っ込みが重なった。

 その様子を眺めるクレアとイデアも楽しそうである。

 慶司を見て怯えた様子だった女の子も微笑んだ。


「そうじゃ、この子はどうするのじゃ」


「うん、その子に決めてもらおうとは思うんだけど俺達と一緒に来てもらうのもいいかと思ってる。それか学校で勉強するのもありだよね」


「選択肢としては、開拓地で過ごすのもありだろう」


「この村で留まってもらっても構いませんよ」


「とりあえず、まずは名乗ろう、俺は渡良瀬慶司というんだけど名前を教えて貰えるかな」


 慶司は姿勢を低くして女の子に問いかけた。


「おにいさん、おじさん達ののぞみはかなえて来たんだね」


「うん、済ませてきたよ」


「ありがとうございました、なまえは、そふぃあどえいんすです」


「ソフィア・ド・エインスってどこかの貴族か騎士の子供だったのか…」


「おうとさまとおかあさまはもういないです」


「ふむ、ではソフィと呼ばせてもらうぞ、ソフィこれからどうしたいのか考えるのじゃ」


「何を選ぼうが俺が守ると約束するよ」


「アタシ達についてくるのも手だな」


「学校に通うのもありだにゃ」


「私たちの村で過ごすのも構いませんよ」


「開拓民の都市で過ごす事もできるのじゃ」


「わたし…おにいさんと一緒にいます」


「ふむ、じゃが妾の主様は妾のものじゃぞ」


「エル…いくらなんでも対抗しないで大丈夫だよ」


「よし、じゃあとりあえずこのお祭り騒ぎがおわったら一緒に行こう」


「はい」


 それから一晩祭りが続き、翌朝には泥酔した黒狼の戦士達がうめき声を発していた。

 そんな中で慶司とクレアは今後の事を話しあっていた。


「なるほど、その後やはり聖教会を壊滅させたのですね」


「はい、宗教はなくならないでしょうが一時的に力が弱まるでしょう」


「その間に奴隷や獣人をブルトンの都市へと避難させるわけですか」


「できれば手を貸していただけませんか」


「何を言われるんですか、手を貸していただくのは我々の方ですよ。

 在り難く思います」


「完全に力だけで国を潰しても駄目ですから…時間が掛かるかもしれませんが協力をお願いします。

 下調べをしてもらって、実行する際は俺が出るということでお願いします」


「わかりました、それが慶司さんの戦い方なら従いましょう」


 慶司がケルンでラドリックへ頼んだのは、今後の獣人や奴隷がブルトンへ逃げてきた場合の処置である。

 保護と新開発の港湾都市へと護衛するように頼んだのだ。

 ケルンまで逃げれたら獣人達や奴隷達は自由になれるのである。


「フルトリア支部だけでなく、各地の黒狼に働きかけれるように長老会に進言をしてみます」


「そうですね、奴隷がいるのはこの国だけじゃありませんから」


「ええ、できればそれぞれの国を変える方法が見付かればよいのですが」


「何か方法を考えてみましょう、諦めの悪いのが取り得なので」


「フフフ、慶司様の取り得がそれだけになったら私達がこまりますわ」


 どういう意味なのか…慶司には解りかねるのだが内緒ですと言われればそれまでである。



 ◆◇◆



 昼過ぎ、竜に頼んで慶司達一行はグラームへ向けて旅立った。

 昨夜も運ばれたソフィーだが青空の中を飛ぶのとでは違うのだろう、縁にしがみついて下を眺めたり雲を眺めたりと大忙しだった。

 ウラヌス達はそのうちに竜と同じ速度で飛んで見せますと息巻いていた。

 頑張れよとは言ったが、本当に実現しそうで頼もしいかぎりである。


 慶司達は数時間をかけてグラームの冒険者学院の運動場へと到着した。

 竜に感謝をそれぞれが述べてから全員が慶司の応接室へと集まった。


「これで完全に一段落とみていいのか」


「うん、ルージュには長く出向してもらって助かったよ」


「いや、赤竜の牙の方からはまだまだ問題ないって連絡が来てたんだ。

 気にしなくていいさ、次は何か計画はないのかな」


「そうだね、一応今やってる港湾都市の建設と黒狼との連携、それと竜具屋に学校経営。次は二次課程用の建物の建設ぐらいかな。

 これ以上抱えると大変な事になっちゃうよ」


「そりゃそうか、じゃあ暫くは大人しく此処に出向してるね」


「此処って学院に出向するってことかにゃ」


「ああ、暇になって戻ってきたら赤竜の牙からのスタッフとして派遣される事になってるらしいんだ。

 なんでも冒険者ギルドの方から指導員として現役の者を派遣する依頼があったらしい。

 アタシもついでに勉強してこいってさ」


 頭を掻きながらルージュは笑っていた。


「という訳で引き続きよろしく頼むよ、どうやら姉さんからの手が回ったみたい。慶司に出会うまで迷ったり情報収集してなかったのが拙かったらしい」


「それじゃあワタシも予定通り手伝うにゃ」


「校長を引き受けてくれる気になったの」


「それは無理だにゃ、この学校の顔は慶司にゃ、その代わり少しぐらいは事務も手伝うにゃ」


「それじゃあ、理事長に俺が納まるから校長を頼むよ、慣れてからで構わないからさ」


「か、考えておくにゃ、それまでは慶司が理事長と校長を兼任するにゃ」


「うん、とりあえずこれから薬草関係の事なんかは全てエイミーに任せるよ」


「フム、では妾はどうすればいいのじゃ」


「エルには俺の全面的なサポートをお願いするよ、これからの予定だと暫くは飛びまわらないといけないからね。

 エルファスト、リヒトサマラ、ブルトン、隠里と例の種がある程度育つのと事業が安定するまでは忙しくなると思う。俺がいないときなんかの竜族の対応から各ギルドの対応までお願いするけどいいかな」


「任せるのじゃ、妾は主様の妻にして右腕じゃからの」


「俺もエルの夫にして右腕だろ」


 ニュフフとにやけたエルと慶司を全員が呆れて眺めている。

 その様子をみてソフィは遅れて理解したのか微笑んだ。


「という訳で、学校には通わなくてもいいんだけど、暫く俺達は此処を拠点に活動するんだ。

 ソフィも部屋を作るからそこで暮らすための道具や衣服を買いそろえよう」


「ここにいっしょにすんでいいの」


「当たり前じゃ、これからソフィも妾達の仲間じゃからな」


「よし、新生、白銀の翼の最初の任務は訓練施設で疲倒(へたば)ってるだろうホメロウとカミュを連れて買い物に出かける事だ」


「「「了解」」」


 皆が答えて訓練施設へと歩き出した。

 帰ってきた慶司達をクタクタになっていた二人が出迎えて仕度をし、全員で町へと繰り出した。


 買い物を済ませた慶司達はマジックアワーを見つめながら新たな日々に想いを馳せた。

異世界見聞録ですが、ここまでで第一部完結です。

しばし、暴走した慶司の後始末として構想を考えながら校正していこうと思ってます。ええ、前話の無双の活躍は5話分ほど走った感じでした。物語の中身を変更する予定はありませんので読み返しの必要は無いレベルに止める予定です。

止まってる作品にも力を入れますので再開する時はお知らせいたします。

            2014/09/03 せおはやみ


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