里帰り
―フルトリア聖教会神殿―
「ハインリヒ猊下、では出発いたします」
1人の青年が頭を垂れている。
青年の名はジャックという、美しい金の髪、整った顔。
しかし着ている鎧は頑丈で重そうな代物である。
そしてその銀色に光る鎧が似合っている。
「神の御加護を…」
そう答えたのは皺枯れた老人である。
身なりは黒いローブを纏い所々に金の刺繍が施されている。
いかにも高い地位にある者が纏う衣服だ。
「このジャック必ずや優勝し、悪しき竜族などの手先より聖教会の徒である我等こそが強者であると示して参ります」
「ええ、頼みますよ、国教会も騎士を送ってくる事でしょうが、神殿聖騎士団である誇りに賭けて打ち倒しなさい」
ジャックという青年が挨拶をし、ハインリヒという老人が受け答えしたように大会の出場を決定したのである。
聖教会の威信をかけて青年は送り出される。
フルトリア王国にある聖教会から1人の聖騎士が出陣した、ジャック・ド、ビアン。
彼は己の力と信仰によって勝利が必ず齎されると信じて疑わない。
フルトリア王国で大貴族の3男に生まれた彼は幼少の頃に聖教会へと入れられた。聖騎士として生きよ、それが彼の父が命じた道であった。
20年、訓練と戦闘の日々を過ごした彼の人生は、全てが聖教会の為の物である。
「我が鍛えし肉体と、神の加護の前に敵はない」
彼はホルスを駆けさせ街道を急ぎ南へと向かった。
―ブルトン国教会―
「ミレーヌ司教、竜族が開く大会には必ず聖教会から聖騎士が派遣されるかと」
1人の騎士が膝を着き濡れた体のままに報告をした。
ギルドから大会の連絡を受けてそのまま急いで来たのだ。
「そうでしょうね、彼らは国の威信、教会の威信をかけて戦士を選んでくるでしょう」
ミレーヌと呼ばれた司教は窓辺に立ったまま報告を受ける。
そういう事もあるでしょうといった風で無関心である。
「では我等も」
騎士には名誉があり誇りがある。
配下の誰かを送らねば為らないと思っていた。
そして名誉を勝ち取らねばと。
だが司教は穏やかな声で考えを述べる。
「いえ、現在、王女殿下が外遊から帰国の途についてらっしゃいます。
自らの誇り、教会の権威など俗事に囚われてはなりませんよ。
ヘンドリック卿が護衛についていると言えど、我等、国教会は王族の庇護の下に、竜族との融和を進め平和をこの国へと齎さねばなりません、国教会騎士団はサクスンへと派遣なさい」
騎士は己の不明を恥じ、即座に返答をする。
自分達の司祭の考えの深さを痛感した。
「ハッ」
騎士は営舎へと向かい、仲間達へと司教の考えを伝え行動を開始した。
1人残ったミレーヌは窓の外を眺める。
そう、この大会では名誉を求め多くの戦士や冒険者が集まる。
名誉、誇り、権威、確かに人を統べるには必要かもしれない。
しかしそれで竜族を倒せる者がいるわけではない。
王国とは人族の驕りで作られた物、教会もまた人族の欺瞞によって作られた物。
竜族に守られてきたのに関わらず平然と自らの権威の為に嘘をつく聖書。
国教会の教えも微妙ではあるな、苦笑しながらミレーヌは思う。
神にはまだあった事も無い…故に知りようも無いのだから仕方が無いわ、そう割り切っている。
国教会を樹立した初代の司教によれば竜は神が人を守護する為に遣わされた聖なる者であるとした。
だが、これは聖教会の教えをうまく捻じ曲げるためにベス王女が作り出したものだ。
しかし、これまでの記録でこうも竜族が人や大陸に関わった事がない。
この大会には何かあるのかしら…
「考えても無駄ね、だが何かが変わりつつあるのかもしれないわ」
国を憂う司教の呟きは窓から聞こえる雨音にかき消された。
―エミリア王国傭兵ギルドの一室―
傭兵ギルドの一室に3人の男が集まっていた。
「さて、皆もう知っている事だが竜王格闘杯についてだ」
片目の男が全員を見渡して議題を述べた。
この男は傭兵ギルドの長の1人である。
「ああ、冒険者ギルドが協賛してるってのに俺たちには声も掛かってない」
顔に大きな切り傷を持つ男が答える。
この男も1人のギルド長である。
「そりゃそうだ、俺たち傭兵ギルドは竜族から嫌われてるからな」
他の2人比べてすこし若いが精悍な顔つきをした男が答えた。
ここに集まったのは夫々が傭兵ギルドを取り仕切る長である。本部は別の国にあったりする。
集まったのはこのエミリア王都にあるギルド長達であった。
「そこでだ、現在複数の傭兵団から参加希望の問い合わせの使者が来ている。
これを受理すべきかどうかを決めたい」
「ここは参加を承認し、冒険者より傭兵団の方が優れているとアピールすべきだろう」
「うむ、たかが冒険者風情や騎士如き我等の専属契約の傭兵団からすれば赤子も同然だ」
「では満場一致で傭兵ギルド連盟は参加容認と派遣を決める」
「おい、傭兵ギルド連合だ」
「いや、傭兵ギルド組合だ」
最終的に何を言い合っているのか不明だが、傭兵ギルドからも複数の代表が送り込まれる事になった。
熱狂の渦は戦いたいというだけでなく、様々な思惑をも含み回り始める。
様々な国や組織で似た遣り取りがなされた事など、想像するに容易いことである。
暢気な慶司は知らずに街道を駆けていた。
早めに出たといえど二箇所の村を回って行かなくてはならない。
飛べば簡単だが、そうそう人に飛んでる姿は見せられない。
じゃあ身体能力を最大にして走ればいいのではあるが流石に疲れる。
しかも燃費が激しいのだ。
身体強化をして動けば通常の倍はお腹が減る。
筋肉とは、動かせばエネルギーを消費する物のである。
それは魔素の反応で強化していても変わらない。
いや魔素があるからこそ、それで済んでいるかもしれない。
とにかく、そうなれば最大の移動手段は、ウラヌスに乗り駆ける事なのだ。
しかも最近どうもウラヌスの耐久力や速度が増しているのだ。
3匹の中でもウラヌスの変化は顕著だ、当初毛並みが良くなったのは冬に向けて伸びているのかと思った。
フッワフワである。
しかし、アルテにしろヘリオスにしろ毛は伸びてるのだがウラヌス程ではない。
そして町で見たピレードがどうも違う種類なのではないかと思う程に3匹の毛並みは素晴らしかった。
他にも意志の疎通は愛情のなせる業であると思っていたのだが、シャーリィなどの話す言葉も理解していた。
「なあ、ウラヌスお前は新種なのかな」
「ワフゥー」
首をかしげるウラヌス、『えーそんな事無いと思うなー』と言ってる気がする。
まさか思念でも語りかけてるんじゃなかろうか…
最近、手綱を改良して口ではなく胸部に廻した。その為ウラヌスは首を自由に動かす事が出来る。
表情が豊か過ぎるウラヌスをみてなお更疑問に思う慶司であった。
元々が魔素によって変異した犬の個体の子孫がピレードである。
ある意味慶司の予想は当たっている。
しかし原因は慶司本人である。
慶司の人並み外れた、竜族にも劣らない魔素量、そして常に少しは漏れている状況にウラヌスが一番晒されていたのである。
野獣が吹き溜まりのような魔素を急激にうけて変貌したのが魔獣である。
ウラヌス達は徐々にではあるが慶司の魔素を受けて変貌していたのである。
御主人様は何を言っているのだろうか…
我は我である、だがしかし、他のピレードよりは強い。
これは間違いないな、我は御主人と共に戦いを潜り抜けてきたのだ。
ウラヌスがこんな事を考えているなど思ってもいない。
毛の色が銀色になりつつあるウラヌスに乗る慶司の姿。
その姿を見る者からは、着ているコートと調和している。
まるで一体の幻獣と戦神が駆け抜けていくように見えた。
陽光を煌かせ1人と1匹は一体となって街道を走っていく。
山脈の麓に近い森の近辺にある村が目的地だった。
ブラーム村は虎紋族の里である。
すなわち全員が虎男と虎女である。
もし最初にこの村に慶司が来てたら大感激したかもしれない。
今でこそ知り合いに数名の虎紋族がいるが、全員が獣耳で尻尾があるのだから。
「こんにちは、グラームの冒険者ギルドから来たんですが村長の家はどちらでしょうか」
「おう、ギルドからってことは狩猟の仕事の依頼か、村長の家は村に入って正面に見える大きな家だ」
「どうも、ありがとう」
畑を耕している虎紋族の男性に聞いて村へと入っていく。
畑もあるのだが、どうも先程の男性もそうだが普段は違う仕事をしてるんじゃないだろうか。
そんな体つきである。
「失礼します、冒険者ギルドの使いできました」
「はい、少々お待ち下さい」
ガラガラと引き戸が開けられる。
イメージ的に建物は森人に似てるのだが高床ではなく古い民家のような建物が多い。
「お待たせいたしました、どうぞ中へ」
「失礼します」
うむ、この女性も強そうだ…さすがというか虎紋族はやはり一族全てが戦士なのかもしれない。
「わざわざすいませんな、いつもの方はどうなされました」
「今回はこの一番上にある用紙にある大会があって、受付で人が居なかったのです。そこで私が仕事として配達に来たのです、冒険者で慶司といいます。」
「そうでしたか、拙者此村の長でホメロと申す、ふむ、この大会は…フフフ面白いですな」
「今、グラームでは朝から受付で長蛇の列が出来てますよ」
「そうですか、ふむ、なるほど、此村でも受付をして書類で受け付けるとありますな、さすがグラディス様お分かりになっておられる。あとは仕事の依頼書ですな、確かにお預かりいたしました。此方が受領書となります。所で貴方もこの大会には」
「はい、一応参加させて頂く事になっています、別名で出場するかもしれませんが…」
「なるほど、うむ、只の身のこなしでは無いと思っておりましたが…いやはや、これは面白い戦いが見られそうですな、我が部族の若者にも良い経験が積めそうですなぁ」
「まだまだ修行が必要な身です、何度か虎紋族の方とは手合わせはしましたが毎回驚かされていますよ」
「ほう、貴方にそう言わせる程の者ですか、ふむ、心当たりがあるとすれば姪のルージュかアンジェリカ辺りもしくはキャサリンかカレルならばいい勝負をしそうですが」
「ルージュさんとは手合わせをさせて頂きました」
「ふむ、なんとか戦ったぐらいでしょうな、この大会ならキャサリンやカレルも来るでしょう、二人は此村の出身でしてな、ルージュとアンジェリカの父親がこの村出身でしてな、小さいときに修行で預けられて全員が赤竜の牙で活躍していますがな」
「アンジェリカさんも赤竜の牙だったんですか」
「あの子が一番強い子でしたが、なにか考えがあったのか退団したと風の噂で聞きましたが、アンジェリカともお知り合いですか」
「はい、偶然ですが先に知り合ってました、ルージュさんの姉だとは後で知りましたが」
「素質だけならルージュ、技だけならキャサリン、戦法と実戦になればアンジェリカ、この子達に追いつこうと頑張っていたのが力だけは強いカレルです」
「ルージュさんは今ブルトンへ向かって護衛任務中、ですから大会には参加されませんし、アンジェリカさんも自ら戦いを望むタイプではないですよね、ということは赤竜の牙からはキャサリンさんとカレルさんですか…」
「まあ、他にもこの村や他の里からも参加するものがおります、楽しみにですな」
「ええ、では私はあと2箇所廻りますのでこれで」
今の男性のほうがルージュよりも強い感じがした。
壮年の強者といった風格があったし隙も全く無かった。
大会にはどれほどの人が集まるのか…
自分は最悪負けてもいいかと思って企画した大会だが、
少しやる気が出てきた。
長の屋敷を辞した慶司は次のチグル村へと走り去った。
到着した慶司はちょっと呆然としていた。
先程の虎紋族の村を見てなかったらもっと驚いたかもしれない。
目の前にある村の建物は先程の民家も散見してるが、漆喰作りの武家屋敷の佇まいがあるのだ。
完全な武家屋敷かと言われれば違う、回りの塀も石が多いし瓦屋根でもない、しかし印象は武家屋敷である。
村長の家にお邪魔した際に納得がいく、縁側があるのだ。
「失礼します、お客様をお連れ致しました」
「うむ、入っていただきなさい」
「失礼します、冒険者ギルドより使いで参りました慶司といいます」
板張りで畳みじゃないが茣蓙のようなもので正座してる…
ちょっと驚いた。
「これは失礼した、椅子があったほうが良いですかな、いつもの使者の方だと思っておりました」
「いえ、問題ありません」
「ほう、これは見事に座られますな、人族の方はこの座り方が出来ぬと思っておりました」
「私の故郷では似た習慣がありまして」
「では、おい、お茶をお出ししろ」
「お茶も飲まれるのですか」
「ええ、この風習があるのならと、人族では薬湯ですが我等は薄いものを日々の暮らしで飲んでおります」
「そうでしたか、ではこのお茶があるなら栽培はどうするかな」
「栽培とはお茶を栽培なされているのですかな」
「ええ、森人と共同で栽培を試みています」
「それは素晴らしい、我等も茶を作りたいのですが出来ずに未だ山で見つけるか薬草ギルドに頼っておりますのでな、完成の暁には是非とも紹介していただきたい。我等の一族の楽しみは稽古の後に縁側でのんびりとお茶をのむことなのです」
尻尾がぶんぶんと揺れてますよ村長。
この食いつきは凄いな…
となるとカミュにも悪い事をしたな…
そんな風習があったら言えばいいのに。
「さて、これが依頼書と、ほう、大会の案内書ですな。これならば奮って参加する者も多いでしょう。我等は修行こそが一族の誇りとしてますのでな、村を修行で出ているものも多いですがきっと参加しに戻るでしょう」
「あの、やはり犬狼族では修行の旅にでるのが一般的なのですか」
「そうですな、早いもので2年、3年は戻りません」
「そうですか、知り合いの犬狼族にカミュという女の子がいまして、その子も修行と言ってましたから」
「もしや、やはり貴方がお師匠様ですかっ」
お師匠様って…
そうかカミュの知り合いか。
「我が娘より久方ぶりに手紙が来ましてっ、旅先にて素晴らしき師に巡りあえ、教えを受けたので心配するなと書いてありましたっ」
尻尾が床に叩きつけられる勢いだ、ものすごい勢いで座ったまま移動してきて手を握られた。
「そ、そうですか」
「いや、どのような方なのかまで書いてなかったんですが、カミュのお師匠様とは…お名前でもしやとは思っていましたが」
「いやしかし、師匠と言われる程の事はしてないのですが」
「いえ、あの子は女ではあるが跡取りの私がこの剣を振るうと聞かずに伝来の剣と同じサイズの剣をもって修行にでまして、諭すこともできなかったのです。それが師に言われ反省したと言っておりました」
「そうか、やっぱり使う予定って言ってた剣があるんですね」
「ええ、ですがその伝来の剣は男用の長剣です、私がそれより小さい物を用意したのですが、違うと言いまして、それが考えを改めて今はサーベルを使い、他の武器も体に合うサイズの物を使い、優秀な冒険者は頭を使って戦うものだと知ったといっておりました。猪突猛進のような娘が変わる者だと感心しておったのですよ」
「今でもおそらくドレスムントにいるのでしょうね」
「ええ、前は来なかった手紙が最近ではちょくちょく送られて来て…やっと一人前になって来たと。以前はなかなか仕事もできなかったのかお金の心配をしていたものですよ。ところで慶司様もこちらの大会には」
「ええ、出場する事にはなってます、ちょっと偽名ででるか迷ってますが」
「偽名ですか」
「ええ、あまり目立ちたいとは思ってないのですが、出場は決定事項でして」
「なるほど、しかし慶司様の佇まいであれば見れば判りますからな、大会では応援させて頂きますぞ」
「有難う御座います、では、私は次の村へと行きますのでこれで」
「はい、また遊びにきてくださいませ」
「では」
奇妙な縁だな、もしやホメロウも…
ありえるだけに世の中狭いものだ、そんな風に思いつつ、慶司はエルとエイミーの待つキーファ村へと急いだ。
村に近づいたが何やら騒がしい。
殺伐とした雰囲気ではなく笑い声や話し声である。
「主様よ、思ったより早く着いたな」
「慶司にゃ…うう、大変な騒ぎになったにゃ」
見たら既に宴会状態である。
子供達は走り回り、大人たちは酔っている。
「その人がエイミーの旦那かにゃ」
「違うにゃ」
「旦那にゃ」
「旦那が来たのかにゃ」
「子供はまだかにゃ」
押し寄せてくる猫又族の御婦人軍団、突進を防ぐエイミー。
「旅先から送った手紙を勘違いしてるにゃ、エルが第一夫人エイミーが第二と勘違いしてるにゃ、」
「第一夫人は悪くないが、フッフッフ主様よいつの間に…」
「エル違うからな」
「そうにゃ、手は出してもらってないにゃ」
「手を出してないってか出す気はないから心配するなよエル、っていうか同じ事があった気がする」
「主様は…主様は我のもんじゃ」
「なあ、エイミー」
「なんにゃ」
「エルに酒飲ませたか」
「もしかしたら誰かが飲ませたかも知れないにゃ」
「……」
もしかしなくてもエルは酒癖が悪い。
「クッ…此処で諦めたら村がっ」
「そんなに危ないのかにゃ」
「吹き飛ぶな」
「洒落にならないにゃ、酒を飲んで村が無くなったら笑えないにゃ」
ここは非常事態と割り切ろう。
「エル」
「なんじゃ主様…我は…我は…」
「愛してるのはエルだけだ」
口を塞いでそれ以上は喋らせない。
なんだか周りがニャーニャーとかキャーキャーと聞こえるが此処で説得できないと大変である。
「キスにゃ」
「チューしてるにゃ」
「チュッチュしてるにゃ」
「お似合いにゃ」
ボフンッ と顔を真っ赤にしたエルが倒れる。
この方法以外になにか酒を無効化する薬でも作れないか…
無理なのが判ってても魔法が欲しいと今の慶司は思うのである。
眠ったエルを抱えて膝枕をして上着を掛けてやる。
宴会はまだまだ続くようだ。
そんな中一組の夫婦が慶司の前に訪れた。
「どうも、エイミーがお世話になっているそうで、父のカロンです、こっちが母親のメルティーです」
「先程は失礼しましたにゃ、私の勘違いでしたにゃ」
「いえ、こちらこそエイミーには世話になってます」
「私の両親にゃ、後ろに隠れてるのが妹のケイティーにゃ」
「けいてぃーにゃ」
「この子は小さな時から薬草採取が得意でして、気がついたら私も冒険者になるって言って」
「私たちも冒険者だったのにゃ、それで気がついたら娘が冒険者になってたにゃ」
「わたしもやくそうさいしゅ、とくいにゃ」
「そうなんですよ、小さいときのエイミーににてケイティーまで薬草の採取が上手でして、昔のようにまた依頼で飛び出したままになるんじゃないかと心配ですよ」
「エイミーはこの村でも飛びぬけて薬草採取が上手かったのにゃ、当時は薬草採取の仕事が倍は舞い込んでたにゃ」
「恥ずかしいにゃ」
「でね、飛び出したら帰ってくるのは夜になるし、心配する親の気もしらないで朝から晩まで薬草三昧」
「私たちのどっちかに似たのにゃ」
やはり依頼書が多かったのはエイミーのお蔭らしい。
そして今度は妹が頑張ってるのか…
「わたしもぼうけんしゃに、なるにゃ」
「ケイティーもなるのかにゃ、もう少し大きくなったらわたしと冒険するにゃ」
「うん、おにいちゃんのぱーてぃーにいれてほしいにゃ」
「意外とケイティーが学校卒業者第一期生になったりしてね」
「学校ですか」
「ええ、又発表はされますが冒険者の技術を学ぶ学校を作るんですよ」
「面白そうにゃ」
「あそべるのにゃ」
「遊びじゃないにゃ、勉強する所にゃ」
「エイミーにも手伝ってもらう予定だから暫くはこのグラーム周辺にいることになるかな」
「そういうことで近くに住めそうにゃ」
「ウチの子が役に立ちますかね」
「大丈夫かにゃ」
「えっとエイミー採取ランクは話してないのかな」
「あれは1人で取れたランクじゃないにゃ」
なるほど、それなら納得しないのも頷けるな
「エイミーは採取の金2ですよ」
「「にゃっ(なっ)」」
「おねえちゃん、えらいにゃ」
「うん、ケイティーちゃんのお姉ちゃんは凄いよ」
「すごいのにゃ」
カードを確認して目を白黒させる両親と姉が凄いといわれてはしゃぎ回るケイティー。
宴は深夜遅くまで行われた。
その日、慶司とエルもエイミーの家の一室を借りて休む事となった…
「うぬぬぬ…恥ずかしいぞ」
「フフフ、焼きもちは焼かれても悪くないね」
「ぬううう、しかしあの方法は…」
「でも前後不覚で攻撃魔法でも放つと危ないでしょ」
「どうせなら酔ってない時の方が…」
「それなら今から朝までしてあげるさ」
流石に今日は邪魔が入らない、ドンちゃん騒ぎで全員が眠りこけている。
二人の事は月だけが見ていた。
勿論エイミーは耳栓を着用している。




