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結婚を祝おう!

「我輩…戦闘は…同年代なら負けなしと思っていた、そんな時がありました」

「拙者は己だけで何でも出来る、なんて思ってた時期が御座ったよ」

「「打ち砕かれた(でござる)」」


 昨日の討伐の後の二人の感想はこんな感じである。実際マリアにあーだこーだと指摘されてもカウンターのお姉さんが言うことである。力の強い虎紋族の青年、修行一筋の犬狼族の少女、同年代では確かに強い、慶司と比べるのが可哀想なのである、が二人の思いとしては単に力などの身体能力で負けたことではなく、まあ、人族なのか、この方は!? という思いがあったが、問題はそれではなく発想、そして視点の広さ、考え方など、さらに剣をふらせても強いという訳の判らない相手に相対して彼らがまず打ちのめされたのは仕方が無いだろう、そして当然のごとく…


「「師匠!」」


 となるのも質実剛健虎紋族、百錬成鋼犬狼族としては当たり前である。ちなみにマリアがここまでの効果を狙ったのかは不明である。







「我輩が採取のみの依頼…」

「採取はだいじにゃよ?」

「うむ、まあ師匠が覚えろというのだ…間違いではないのだろうが」

「ホメロウは何種類薬草をしってるにゃ?」

「うむ、切り傷に効くもの、でバンエ草とヌガの葉は知っているぞ!」

「もしかしてその2種類だけにゃ?」

「うむ、もともと薬があるしな」

「じゃあ薬が切れた時はどうするにゃ?」

「ムムム?」

「荷物のあるベースから離れたときとかに困るにゃよ?」

「ウ…ウム…」

「少なくともこの周囲で生えてて薬効も高いものは数種類はあるにゃよ、ヌガ、ハギリ、バンエ、アセン、コルカ、ギネ、ベバ、リュトル、リュコル、それに比較的採取は安全に行うことができる任務にゃ、慶司が覚えないといけないといったのはパーティーが怪我で動けないときの収入確保なんかもあったと思うにゃ」

「そ、そうか…冒険者の任務で採取が下だのなんだと思ってた事自体が間違いだった…ありがとうエイミー殿、このホメロウ一族皆にこの事を伝え広める所存」

「なんだか話が大きくなりすぎてるにゃ、でもわかってもらえればさくっと今日の依頼を済ませていくにゃ」

「わかりました姉御!」

「にゃ?」

「いや、慶司殿が師匠ですから、エル殿は奥方、そうすればやはりエイミー殿は姉御、とお呼びするのが筋かと」

「こまったにゃ」



 斬岩剣などと口走っていたのにやたらと筋を通したがるホメロウ君に困ったエイミー、途中でドルドを撃退し子供達を救ったりとしつつ、交互に見張りをしながら依頼を達成して彼らはギルドへと戻っていった。







「奥方様、拙者が思いますに流石に二人でラビを狩るのはちと無理な気がするのでござるが」

「ヌヌ?なんじゃそのオクガタサマというのは」

「はい、奥方様とは拙者たち犬狼族では夫婦である目上の上司や師匠筋の方の結婚相手をそうお呼びします」

「ニュフフ! ウム、よいな、奥方と呼ばれるのも悪くない。さて、それで二人で無理なものを我の主様が言うはずもなかろ?」

「はぁ…」

「流石に一人では無理とまでは言わんが大変じゃ、じゃが罠をしかけ作業を分担する事によって狩猟をすることは想像するより簡単に行う事が可能になるものじゃよ、我も主様に教えてもらったくちじゃがの」



 そしてラビを巣穴から捕まえるエルとカミュ



「ラビは弓で狩るものだとばかり思い込んでおりました、風下より気配を隠し一撃必殺で狙うので今回も昨日の投擲具を使うものだとばかり思っておりました」

「まあ、驚くのも無理は無いがの」



 そして次はハンマーレブ…やはり岩をどかして捕まえようと水に入ろうとしているカミュをエルがとめる



「ほれ、ハンマーレブはこれで釣るのじゃ」

「この太い紐とハムですか?」

「うむ、案外たのしいぞ?」


 などと楽しみながらハンマーレブを釣っていく、そして最後にホルホル鳥を狩りにいく。


「奥方様…まさか魚のように釣れるとはおもいませんでした、あれは楽しいでござるな」

「うむ、多めに釣ったから帰ったら慶司に料理してもらうのじゃ」

「師匠は料理もされるので?」

「うむ、美味いぞ!」

「犬狼族の男子は厨房に入るべからずなどということもあり冒険者の犬狼族の男子はいつも簡単な干し肉やパンしか出さぬとので評判が悪いので御座る」

「まあ伝統はしょうがないものよ」

「そして、奥方様、いくらなんでもこの距離は…」

「まあ見ておれ、我も慶司程ではないが…」

「おおお! この距離で当てられますか!」

「これも主様の工夫の一つよ常に弓の矢を番える位置を固定して引きの距離とを見定めておけば同じところへ飛ばせるというな」

「師匠はすごいですね」

「ふっふっふそうじゃろ?ちなみに言葉遣いが素にもどっておるぞ?」

「あ! え? いや、はぁ思わず感嘆の余りに…私が故郷から出るときに両親から必ず一族の言葉遣いで過ごすようにと…その方がカッコイイから変な虫も近寄らぬと言われまして」

「なんだか間違った認識をしとるのぉ、まあよいわ…残りを仕留めて多めに狩って宴会するぞ!」

「はい!」



 カミュは誰かと話しながら狩りをするのがこんなに楽しいとは思わなかった…なぜ一人で修行をしていたのだろう…仲良くなった二人は獲物をもってギルドへと戻っていった。







「お帰り、とりあえずマリアさんのところへ行って報告してからこっちおいで」

「わかったにゃ」

「は!」

 マリアに薬草を届け受領確認をしてもらい牙と皮を渡してから先日分の皮代を受け取り喜びながら二人がテーブルに近づく。

「どうだった?」

「はい、しばらく採取を続けさせていただく事にしました、姉御にもお願いして指導していただく予定です」

「姉御?」

「こまったにゃ」

「いえ、やはり師匠のお仲間ですし言わば先輩やはり姉御とお呼びしなくては」

「…うん、まあ、悪い予感しかしない」

「もどったのじゃ、おう、主様よ待っていてくれたのか」

「ただいまでございます」

「おかえり、こっちはカミュの喋り方が変わった?」

「はい、奥方様とお話していて素の方がよいと教わりましたので」

「え、ござるはわざと?…ああ、まあそれより先に報告いっておいで、って…奥方?」

「はい師匠筋ですので」

「私の一族でも師匠の結婚相手ということでそう呼ぶのですが」

「うむ、奥方と呼ばれるのは悪くないぞ」



 慶司はエルの嬉しそうな顔をみて諦めた、と同時にエイミーも諦めなくてはならなくなった。

 慶司は席を立ちハーブティーを用意して全員に振舞う、蜂蜜を入れて甘みもだしている。


「ふう、すっきりしたのじゃ」

「この感じだとカミュの方も成功かな」

「はい、明日からも奥方様達とパーティーで任務を出来ればと思っております」

「それじゃ皆でゴハンでも食べにいくか」

「…わ、私もいきますよ!」

「わかりましたマリアさん待ってますから仕事終わらせて下さい」

「ッフッフッフここにホルホル鳥とハンマーレブとラビがあるのじゃが…」

「料理しろってことね?」

「話が早くてたすかるの」

「わかった、じゃあ下準備含めてアドニスさんに許可もらって厨房借りるからマリアさんの仕事が終わったら店に集合で、エイミーはグルテンさんのところに荷物をとりにいってもらっていいかな?」

「わかったにゃ」

「それじゃあ後でね」



 まあ、こうなるのではとも思っていたのでアドニスさんにデザートとお米と前菜をお願いして裏庭を借りる時間が無いのでレンガをくみ上げて先日の石板を並べ鉄板の代わりにする、薪に火をつけて石板を熱しながら、一番最初に処理をしたのは食べたかった、スニーフィッシュの丼である、次にラビは切り分けて一口サイズにしたものに塩と胡椒をもみこんでおく、ハンマーレブは桶にいれてお酒を振りかけておく、ホルホル鳥は捌いてタレにつけて最後に野菜を切って皿と飲み物を用意して用意終了、じっくり蒲焼をつくりながら全員の到着をまっていた。


 よう! っと全員入ってきたのだがグルテン夫妻、ブルーノ夫妻 マルティンさんにマーガレットさんまで一緒に来てた


「宴会があると聞いてな! 酒と肉と摘みは持参した!」

「いらっしゃい、すいませんわざわざ持ってきてもらって」

「いやいやグルテンの奴が急にやって来てなエイミーが武器の引き取りに着たんだが宴会があるという、ならば我らも混ぜてもらうにしろなにかないかと女房達に言ってこのようにもってきたってだけなんだ」

「ついでにといってはなんだが俺とマーガレットが結婚することになったのでお披露目にきた」

「おめでとうございます」

「もう…」

「これでグルテン工房に負けないぞ」

「なんのまだまだ」

「工房名もB&MWにして心機一転だからな」

「ふむ、それは喜ばしいのぉ」

「お祝いですね!私も早く結婚を…」

「お祝いにゃ!」

「めでたいですな!」

「おめでとうございます!」

「で、これがB&MWの一番最初の納品になる」

「はい、エルこれ」

「おお! これが例の印籠じゃな! なんじゃったかこの紋所が目に入らぬか!であるな」

「うんそれだね」

「ふっふっふ、結婚のお祝いもせねばな!」

「とりあえず、じゃあご飯にしよう」



 まあ突然の結婚報告、こっちの人はこの人だと決めたら付き合いの時間より早く結婚をするようだな、やっぱり生活環境の違いなのかも知れないが、いい出会いでお幸せにと思いながら慶司はドンドン肉を焼いていく、スニーフィッシュ丼は好評であったがまたもやおなか一杯にという慶司の夢は叶わなかった、アドニスさんに追加の料理を頼み最後には皆でデザートを食べ解散した。



「はい、これを三人に、エルが使ってるのと同じ棒でフレイルっていう、先端を魔術で分離できるようになってる仕込杖でその先端部分で敵を打つんだパーティー記念として作ったから使ってくると嬉しい」

「いつの間に用意したの?」

「今日の朝ね、前回作ったものだから直ぐに出来るって聞いてたんだ」

「これは意外と先端が重いですね」

「ふむ、我輩のがちょっと長いのは体格か」

「的は無いけど明日ギルドの訓練施設で練習するといいよ」

「まあ慶司が武器を作ってくれというと次は何かと楽しみになるからな」

「今回のあれも変わってる、木で作ったら子供の玩具にでもなりそうな武器だった」

「そうですね似たようなものでクラッカーという玩具はありましたよ」

「それはどうなってるの?」

「木でいいと思いますけど球を二つに減らして大きさも半分ぐらいでいいと思います、紐も0.8ネルぐらいの短さで上と下にと球をぶつけながら遊ぶんですよ、カンカンと音がするのを楽しむ感じです」

「ふむ、それをB&MWでつくってもいいかな?」

「ええ、構いませんよ」

「他にも面白い遊び道具があれば教えてくださいね」

「はい思いついたらご連絡します」

「ところで結婚式はされないんですか?」

「ん? 結婚式?」

「はい、こう報告だったり」

「ああ、山人は結婚の報告を土の精霊に祈って皆で祝っておしまいだ」

「私の村ではアルザスの山へ向かって白銀竜様へとお祈りを」

「それは祝福が約束されておるな!」

「ええ、ですから今回の印籠もなんだか凄く時期が重なってびっくりしてるんですよ」

「ハハハまあ色々あるからね」

「種族によって様々だからな、人族なんかだとどうするんだ」

「私はこの地生まれなのでドレッセンかエルファストにご報告って形ですね、王国とかだと神様というものに報告するときいた事はあります」

「我輩の種族だと先祖と炎竜様への報告だな」

「私の故郷では精霊様と聖竜母様へですね」

「私の里だとお猫様っていう先祖に報告するにゃ」

「結婚の方法も様々になるけどお祝いするのは変わらないんだね」

「まあそうじゃろう、なにせめでたい! これにて一件落着じゃ!」



 よくわからないエルの言い回しにみなで苦笑しつつも確かに一件落着、また明日から頑張ろうと解散していった。








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