盗まれたハート【シン×アスカ】
マジカル☆ラビリンスより、シン×アスカ。
いつもつきまとってくるシンをうざったく思っていたアスカだが、いつからか心に変化が…
今日もまたあいつがやってくる。何度、「うっとうしい」「しつこい」「迷惑」と言ってもつきまとってくる。
あいつのことなんかなんとも思っていない。迷惑なだけの存在。だってあたしの好みとは正反対の奴なんだもの。
…そう思ってたはずなのに。
「ちょっとシン！ なんなのよこの花！」
アスカは目の前にわさっと置かれた花の束を見て怒鳴った。色とりどりの人一人包めそうなほどの大量の花々。こんなもの贈られても困る。はっきり言って迷惑だ。
花を置いた張本人、シンは艶やかに前髪を掻き上げ、ふっと笑った。
「もちろん、あなたへの愛をこめて」
「いらないわ！ こんなものあってもなんにもならないじゃない！ 邪魔なだけよ！」
「そう仰らずに。観賞用がほとんどですが、中には食用もあります。このミゲイルなど姫のお口に合うかと…」
「だからいらないって言ってるでしょ!? こんなもの、いつかはなくなっちゃうじゃない！ あんたと一緒よ！」
「…アスカ姫？」
いつもと少し様子の違うアスカに、シンは怪訝な顔をする。アスカはシンに背中を向け、俯いた。
「あんたは毎日のように、あたしのとこに来て贈り物をしてくけど、いつまでもそうだとは限らないじゃない。“ずっと変わらない”なんてことない。いつかは、あんたも離れてくのよ。あたしじゃない他の誰かのところに」
自分でも何を言ってるんだろうと思う。なんでこんなふうに思うのか。
ただ、いつからかあんなにうっとうしく思っていたシンの来訪を楽しみにしている自分がいて。その理由が分からないから、無性に腹立たしくなる。
シンの声に。笑顔に。仕草に。胸が熱くなって、同時に痛くもなって。
「変よ。なんでこんな…今さら、あんたのことが気になるのよ。あんた、あたしに何したのよ。あたしの心かき乱したりして…やっぱりムカつくわ！ あんたなんかキラ…っ」
叫ぼうとしたアスカを、シンが背中から抱きしめる。突然伝わるぬくもりに、アスカは動揺した。顔が、全身が火照る。
「なっ…何するのよ、シン！ 放しな…」
「アスカ姫、好きですよ」
「!?」
「僕はずっと、あなたのことが好きです」
耳元で囁く声が妙に色っぽくて、アスカはシンの束縛から逃れようともがく。だが、シンの腕が緩むことはない。
「ち、近いわよバカ！ 放して…っ」
「アスカ姫。僕は他の誰かのもとになど行きません。ずっとあなただけを想い続けます」
「……っ、そんなの、分からないじゃない！ あたしよりきれいな人はたくさんいるし、魔法だってあたしは王女のくせに全然下手だもん。あんた、王子なんでしょ？ だったら、もっとあんたにふさわしい人を見つけた方がいいわ！」
「ふさわしいかどうかは問題ではありません。重要なのは、心ですよ」
「心？」
シンが腕を緩め、アスカの体を反転させる。正面にシンの顔が来て、アスカはさらにうろたえた。顔が赤くなっているのが自分でも分かる。
「そうです。僕が心に決めたのはあなただけですよ。他の誰でもない。アスカ姫ただ一人」
シンの瞳に自分が映り込んでいる。なんて情けない顔をしているんだろう。その沈黙を、シンは不安からと受け取ったらしく、安心させるように柔らかく微笑んだ。
「まだ、信じられませんか？ ならば、誓いを立てましょう」
「誓い…？」
困惑するアスカのあごを、シンの長い指が持ち上げる。シンの顔が近づいてきたかと思うと、口元に吐息が触れて、唇を重ねられた。
「!! ……っ」
吸いつくような接吻はわずかな時。唇が離れると、アスカは口元を手で覆った。
「この口づけにかけて、僕はあなただけを想い続けます」
「シ、シン…！ あんたねぇ…っ」
「まだ不安がおありなら、もう一度」
再びあごを引き寄せようとするシンを両手で突っ張りながら、「いいい、いいわよ！ 分かった、信じるから！」とアスカは必死な顔で拒んだ。
「でも、こういうことは前もって言ってよね。その…心の準備ってものがあったりなかったり……」
ごにょごにょと恥ずかしそうに顔を逸らすアスカを、シンが愛おしそうにアスカを見つめる。
――もし僕があなたに何かしたというのなら、心を奪ってしまったのでしょう。奪えるはずのないと思っていた、あなたの心をね。
～ＥＮＤ～
こんにちは、甲斐日向です。僕の妄想の産物であるエデンパラレル第一弾、シン×アスカ。これは一度やってみようと思っていたカップリング。
この二人は…結構お似合いだと思います。アスカって、シン相手だとツンデレっぽいですよね。時間軸とか場所は特に考えていませんので、ご想像にお任せします。
にしても、シン…色気振りまきまくり！ なんでこいつはこんな無駄に色気ばらまいてるんだ。ナルシー入ってるし。アスカじゃなくてもドッキドキでしょ！ まあ、僕はあまり好きじゃないんですが…（オイ）
こういうラブシーンはあんまり書かないのでちょっち恥ずかしかったり。けど妄想はいつもしてますんで！（コラ）
他のカップリングも書けたらいいなー。それではまた。
