第一話!アレンは幼馴染とともに!
書き直しました。
「アレン、なんでお前はこんなにひょろいんだよ!!剣の民族ならもっと筋肉つけろ!」
金髪の体格の良い少年が、歩きながら、華奢な黒髪の少年を小突く。ふざけてはいるのだがあまりの力に、黒髪の少年、アレンは思わずのけぞる。
「いってぇ……城下町でやんな。邪魔になるし。仕方ないだろ、ジャンみたいな剣術扱う家に生まれなかったんだから。鍛冶屋で剣作ってる職人は、そんなに筋肉ないよ」
「はぁ?剣の民族でここまでひょろい奴見たことねーし、また西のラスセーニの魔法民族が攻めてきたらどうすんだよ。デュッセバロンとして鍛えておかなけりゃ反撃できない!」
「ないない」
アレンは細い首を横に振ると、やれやれというポーズをした。
「あっちが遠距離攻撃が得意だから、デュッセバロンは負けたんじゃないの。筋肉の量関係なくないか?」
それを聞いて、ジャンは怒りを発散させるようにドスン、と地面を踏み鳴らす。
「筋肉は必要だ!!それに、あいつらのデメリットに詠唱時間がある!前は魔法に慌てたから負けたんだ。奇襲しかければぜってーこっちが勝つ!」
そんなジャンを冷たい、青い目で見るアレン。
「奇襲?そんなフェアじゃないことする気?そもそもどうやってあの壁を破るんだよ。国境にあるけどラスセーニが常に見張ってんだぞ」
「うぐぐ……」
「もう今年で終戦50年だ。国土は小さいとはいえ、平和が乱されるのは御免だな」
ジャンは複雑な顔をしている。怒っているのか、悲しんでいるのか。
「でもさ……このままでいいのかよ。不平等条約突きつけられたままだし。お前には愛国心がないな!!」
「冷静に考えろよ。じきに俺が高級官僚になってなんとかしてやるって……力でどうにかしても良くないからな」
アレンは、そう、筋肉バカの多い剣の民族の中ではずば抜けて頭がいい。ジャンは、ぐうの音も出ず、とぼとぼと歩くのだった。
「あ。じいちゃんの店で剣でも見ていくか?元気出せよ」
ジャンの顔はたちまち明るくなる。
「お、おう!!さすが幼馴染」
一方的に肩を組み、アレンはやめろよ、と抵抗する。そんな時、いつも考えている疑問が頭をよぎった。なぜ、魔法民族と剣の民族は分かれて国を建国したのだろうか。なぜ、争いになってしまったのだろうか。
いくら文献を読み漁っても答えは出ない。誰も知らない。この大きな謎を解くためにも、アレンは奔走することになるのである。