第33話 ナギ物語ー再会ー
そのあとから、私はアルバイトをした。
そのとき、真紀ちんはいつも私の後ろにいる。
でもそのおかげでいっぱい頑張れた。
「真紀ちん!!眠いでしゅか?」
私は、赤ちゃん言葉で真紀ちんにはなしかけるのが好きだった。
「ぅ・・・だぁ!」
真紀は、いつも返事を返してくれた。
2人で幸せだった。
でも、やっぱりタイチくんのことが忘れられない。。。
気持ちを押し殺して我慢していた。
夜になると、涙で部屋が湿るぐらい泣いた。
「ごめんね・・・タイチくん。」
いつも泣いていた。
そのとき、ふと思った。この子が3歳になってから1回だけ会って、それで忘れよう。
そう思った。
そんなことを思っていると、時は早かった。
「いいの?本当に後悔しない?」
なつきは、私を心配してくれた。
私はとうとう、タイチくんと会うことにした。
「大丈夫!!真紀ちん、お願いね!」
笑顔で手をふって、タイチくんのもとへ向かった。
タイチくんは、まだ家にいるそうだ。
でも、お母さんはお父さんと旅行中らしい。だからこの日にした。
この田舎もすごい懐かしい。
すんごい小さいころは、お嬢様っていわれたのに今は3児の母。
私はタイチくんに会う前にお気に入りのところへ行った。
そこは、夏にだけしか見れないヒマワリ畑。
ここは、私とタイチくんとの大切な思い出。
「はぁー!!いい気分!!」
こんな気分になったのはお久しぶりだった。
私は、時計を見た。
(もう・・・11時かぁ。)
でも、こんなに天気がいい日はなかった。
「・・・行くか。」
私は、立ち上がると後ろで声がした。
「・・・ナギちゃん?」
「!!」
後ろを振り返ると、あのタイチくんがいた。
「・・・・タイチ・・くん。」
私は、”タイチくん”と言う前にタイチくんは、私を抱きしめた。
あのぬくもりがまたよみがえる。
「ごめんね・・・ほんとうに・・・ごめん。」
私は、何度も謝った。
「お願いだから黙ってて!!」
すると、タイチくんは私にキスをした。
ほら、どうせそうやって流されるんでしょ?また泣きたくなるでしょ?
でも、言葉だけではこの思いをタイチくんに届けられないと思った。
だから・・・私達はまた愛し合った。
いけないってわかってても。。。
今度は、もっと傷つくってわかってても・・・。
「・・・ねェ、ナギちゃん?」
「ん?何?」
「もう・・・お願いだから黙って・・・行くなよ。」
タイチくんは、私の背中で泣いていた。
「泣かないでよ。。。こっちだって泣きたくなるでしょ?」
私も大粒の涙を流した。
このまま・・・タイチくんといたい。。。
でも、私には大切なものがある。だから、帰らなきゃいけないんだ。
タイチくんは、ずるいよ・・。私もまだ友達と遊びたいよ、まだ学校行きたい。
こんな苦労は、私には重過ぎるよ。
なんて・・・残酷なの?今、好きな人とこうしていられるのに時間が限られてるなんて。。。
もう・・・会えないなんて。なんでこんなつらいのをまだ18にもならない私が背負わなきゃ
なんないの?
でも・・・またいつか会えるよ。
「・・・・タイ・・・チ?ごめんね。もう、いかなきゃ。」
私は、すごい頑張ったと思った。
帰り道も涙でいっぱいだった。
もう、全力で走った。
なにもかもなくしたい気分だった。
このことは、心に閉まっておこう思った。
「ただいまぁ。」
「・・・おかえり。」
玄関で待ってくれていたのは、なつきだった。
「うわぁ〜ん!!」
私は、真紀よりも大きな声で泣いた。
「・・・・よく・・・頑張ったね。」
私をほめてくれた。
・・・これで終わったかと思った。
でも・・・まだ始まったばかりだった。