第29話 ナギちゃんの過去
ナギちゃんとは、リビングにいてもなにも話さなかった。
もう、時計の針は6時をさしている。
”ぴピピピピ ”
と携帯がなった。
(ラッキーィ!!)
重苦しいふいんきから抜け出せると思った心は、リビングから離れようとした時、ナギちゃんが
やっと口を開いた。
「いいよ、ここで話しても。」
ナギちゃんは、タバコを吸った。
「あ、ありがとう。」
心は、携帯にでた。
「はい、心ですけど・・・。」
すると、元気な声がした。
「ココー????今、何してた?」
(ショウだ・・・。)
「え〜っと・・・今、お母ぢゃなくて、なぎちゃんといるよ。」
「え?なぎちゃんってだれ??」
「うーん、お姉ちゃんとゆうか、なんとゆうか・・・。」
「えー!!!俺、見たい!!!」
ショウは興味津々だった。
「え?ちょっと、待って。」
”つーつー”
携帯がきれた。
(本当に・・・来たりしてね。)
心は、ため息をつくとナギちゃんが話しかけてきた。
「何?彼氏?」
「え??まぁ、うん。」
心はキョトンとしている。
「やっぱりね。」
ナギちゃんが少し微笑んだ。
「なんでわかるの?」
心はきいてみた。
「だって、男に悩んでる顔だった。なんてゆうか、幸せなんだけどそれだけじゃ足りないみたいなね。」
(すごい・・・あたってる。)
「ナギちゃんも・・・・そうゆうこと・・・あった?」
ナギちゃんは、少し驚いていたけれどなんか表情がゆるかった。
「うん、あったよ。タイチくんかな?」
”タイチくん”とは、私たちのお父さんのこと。
タイチくんは、私が生まれる前からいなかったらしい。
だから、ナギちゃんは私達をここまで育ててくれたんだ。
「タイチくんてどんな人だった?」
「ん・・・?すごいカッコイイよ。やさしいし。でも、残念なことはココちゃんの顔をあの人は
1度も見たことがないことだな。」
(それは、初耳だった・・・・。)
「なんで・・・・知らないの?」
と慎重に聞いてみた。
「だって・・・・仕事でいろんなところ行ってたし、私達は恋に落ちてはだめだったから。」
「・・・・。」
「とゆうかね、真紀ちんもいることも黙ってた。」
ナギちゃんは悲しそうな目をしていた。
「なんで・・・?」
「ココちゃんは、いろんなこと聞きたがるね。だって・・・タイチとは、義兄弟だったから。
お母さんやお父さんに知られたら・・・やばかったから。」
ナギちゃんは、本当に何か物足りなさそうだった。
こんなナギちゃん・・・初めてだった。