第10話 ショウの大切さ
「今から・・・僕の家来る?」
と真剣なまなざしで心をみてきた。
「・・・・。」
心は、声が出る力もなく、うなずくだけで精一杯だった。
ショウくんは、心の手をやさしくにぎった。
ショウくんは、いつもとはなぜは違う不陰気がでてるような・・・・。
少し歩くと、でっかくてきれいなマンションがそびえたっている。
「ここなの?」
やっとのことで出た言葉が「ここなの?」だった。もっとほかに言うことはなかったのかと今も思う。
「うん!!僕、一人暮らしだから!!」
といつもどうりのショウくんに戻った。
(良かった。ふつうのショウくんにもどったんだ。)
ショウくんの家にあがると、なんともいえない大人っぽい部屋だった。
ほんのり明るい電灯がそう言ってるようにみえるからだった。
「きれいな部屋だね。」
と心は、ソファーに座りながら言った。
「そう??ありがとう!!僕、ちょっと着替えてくるね!」
と言い、奥の部屋へ行ってしまった。
(ショウくんの部屋、私より広いなぁ。)
部屋は、物音一つしない。
心は、体育すわりをしながらクッションを抱いていた。
すると、奥の部屋からショウくんが出てきた。
「ごめん。遅くて!!」
ショウくんはパジャマかはわからないけど、私服で出てきた。
「ううん。」
心は、首を振る。
「それで、どうしたの??心おねえちゃんは。」
ショウくんは、心の隣にすわった。
(どうしたの??って今日のことだよね・・・。)
「私に前の彼氏がもう一回付き合おう??って告られて、私いいやって思ってOKしちゃったんたんだよね。バカだよね。」
この時、ぜったいショウくんは私のこと励ましてくれるというやさしさに甘えていたんだ。
だから、あの時もそれを期待してたんだ。自分では、認めたくないけど。
私がショウくんの言葉で傷つくなんて思ってなかったから・・・。
「うん!!心おねえちゃん、同じこと繰り返して傷ついて!!」
と笑顔で言った。
(なんか・・・むかつく。)
ただ、ショウくんに本当のことを言われてなぜかはわからないけどすごくむかついた。
ここにいると、ショウくんにあたっちゃいそうだしなんか、自分のダメなところを言われてすごく恥ずかしかった。
心はかばんとコートを持ち、玄関に向かう。
「どうしたの??なんで帰るの??心おねえちゃん??」
ショウくんは、心の腕をつかむ。
「来るなぁ!!」
とかばんをなげると、壁にかかってた絵の角でショウくんの目のギリギリのところで切れた。
(ほら。ショウくんにあたっちゃった。ショウくんを傷つけた。)
心は、振り返りショウくんを泣きそうな目で見た。
「悪かったね・・・。しょうがないじゃん!!あれだけ傷ついてもまだ探してるんだからね。そのせいで、失ったものだって
あるんだもん!!私、ここ2年間どうやっても笑えないの!!私だって、ふつうの恋がしたいよ。」
心は、座り込んだ。
ショウくんは、私のそばに寄る。
「やったー!!心おねえちゃん、やっと本音はけたね!!少し楽になった??」
といつもの笑顔だった。
(もしかして・・・私のために?)
ショウくんは、私のために体をはって私を励ましてくれた。
この日、なぜかはわからないけどいつか笑えるような気がした。
ショウくんといると、幸せになれるような気がした。
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