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外科医の画
外科医の画
とある山辺に、画家の男がいた。
昔、彼は外科医だった。だが、2年前に画家になった。
最近は、外科医として稼いだお金を使い、ひっそりと暮らしていた。
彼は画家として目立った活動はしていない。
初めての人の依頼は殆ど受けない。
そんな彼の所に、1人の女が来た。女はとても美人だった。依頼金もはずんでいた。
彼は珍しく依頼を受けた。
それは、簡単で複雑なものだった。
『どこにでもいそうで、どこにもいない顔を書いて。似顔絵は駄目よ。期間は3日』
女が帰っても、彼は苦悩し続けた。
だが、約束の日、ひらめいたようにいきなり筆を取った。
やはり画家になるだけの才能は持っているようだ。
だが、被写体のせいかまるで地味だ。
約束通りに女は画を受け取った。
1週間後、ニュースが流れた。
『捕まった連続殺人犯はゾンビだった?』
何でも、最近巷を騒がせていた殺人犯が捕まったらしいのだが、その人は2年前に死んでいるらしい。
おわり