01 蒼夜さーん!
某日。
都内某所のプラネタリウム、バックヤード前。
自身の仕事を終えた白兎は廊下の壁に背を預け、ポケットからスマホを取り出す。
「今からなら……14時前には着くっすかね〜」
時間だけをサッと確認して、すぐに視線を戻す。順調に進んでいれば、後5分もしないうちに、あの角から姿が見えるはずだ。
「早く、戻ってこないっすかねぇ……」
連絡先を知っているので、わざわざ待つことも、直接言う必要もないのかもしれない。もしかしたら時代的に、逆パワハラになる可能も……。
仕事が午前中で終わると知った数分前は今日しかない!と思ったのだが考え直したほうが──
「あっ!蒼夜さーん」
待ち人が姿を表した瞬間。白兎の足は勝手に走り出した。
「お疲れ様です。白兎君は、今日も元気ですね」
「はいっす!……あ、でもお腹は空いてるっす!」
「ふっ、そうですか。それなら……どこかに食べに行くか?」
仕事の上司の顔から、知り合いの優しいお兄さんの顔になって誘ってくれた蒼夜。本当は自分から誘いたかったため、白兎は慌てて口を開く。
「もちろん行きたいっす!でも今日は、相談に乗ってくれたお礼がしたいんす。少し遅くなっちゃったっすけど」
「お礼って……。俺は大したこと、してないけど?」
「そんなことないっす!だから、美味しい定食屋をご紹介するっす!」
そう言って白兎は勢い良く親指を立てた。あの時とは違い、ニッコニコの笑顔で……。




