表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
To Dream  作者: 三井
第4章【星に願わなかった人】
14/23

02 また、その質問?

「蒼夜は卒業したらさ、どうすんの?」


 本格的な就職活動が始まる少し前。

 大学の食堂で向かいに座る友人に、蒼夜は軽く問いかけられた。


「俺は……適当に就職して働く。かな」

「なんだよそれ。蒼夜はさ、何でもできるんだからもっとこう……。夢とか無いわけ?」

「ゆめ、ね……」


 夢なんてない。

 そう言うと大抵相手は、同情したように眉を下げる。別に、夢がなくても生きていけるのに。無いことが可哀想だと、残念だと、言いたげに……。

 しかし小学生の頃からその顔を見ている蒼夜は、もう慣れている。


「そう言う太陽は卒業後、どうするわけ?」

「おれ?おれはもちろん──」


 明るい顔で、聞いてもいない将来設計まで語る友人に蒼夜は適当に相槌をうつ。


「はいはい。それは楽しそうで何よりだな」

「おい!ちゃんと聞いてんのか?」

「聞いてるよ。でもさ、確か……俺より成績悪かったよな?」


 昔は羨ましくて見られなかった顔も、今の蒼夜は直視でき、無意識の攻撃も上手く交わせるようになっていた……。


──将来の夢はなに?


 幼い頃から何度も同じことを聞かた。

 答えは違えど、みんな、当然のように夢を語る。だが蒼夜は小学生の時から答えられなくなり、嘘をつくようになった。


 要領がいいのか蒼夜は、どんなことでも基本的にこなすことができた。


「さすが蒼夜ちゃん!すぐにできて、凄いわ〜」

「これは将来が楽しみですね!」


 周りの子供たちよりも早くできた蒼夜を、大人たちは褒めた。その言葉と態度が本当に嬉しくて……。


──もっと上手になるんだ!


 懸命に努力を重ねる蒼夜。

 だが……実らなかった。


──あれ?


 日に日に他の子に追い抜かれる蒼夜に、声をかける大人は、いなくなった。


 そして──蒼夜は憧れも夢も見られなくなった。


 けれど大人たちは問いかける。夢はなんだと、何に憧れているのかと。だから蒼夜はその度に歯を食いしばって、うつむくしかなかった。


 そんな蒼夜だったが、時と共に成長し、学んだ。


──プロ選手になりたい。


 他の子に合わせればいいのだと。

 スポーツ選手に、人気の、話題の〇〇に……なることが夢だと偽れば、攻撃は終わる。


 周りが普通に夢を見ているのに、見られない自分はおかしいのかもしれない。

 その息苦しさも、特別な夢なんて無くていい。普通に生活できればいいと──心を欺けばいいのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ