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To Dream  作者: 三井
第1章【見えていなかったもの】
1/5

01 キラキラの夢ですね

「はぁ〜。ぜんっぜん、伸びない……」


 都内にある、某有名カフェの近く。

 動かないスマホの画面を、松村まつむらあいはじっと見つめていた。

 お小遣いを切り詰めて、やっと買えた新作ドリンク。可愛くてキラキラのそれをインスタグラムに投稿すれば、いつもよりも多い"いいね"をもらえると思っていた。

 しかし結果は変わらなかった。むしろ近所の野良猫の投稿の方が、伸びている。


「あ、これ、最新作だ!」


 本日発売の新作コスメを手に入れたと、笑顔でインスタグラムに報告している綺麗な女性。

 彼女は新作ドリンクはもちろん、コスメや高級ブランドに関する投稿が多く、あいが毎日欠かさずチェックしているインスタグラマーの1人だ。


「うわ……。わたしの……100倍以上だ」


 毎日投稿しているのは同じなのに、いいね数もフォロワー数も桁違い。彼女のキラキラで楽しそうな表情を見ていると、なんだか自分の毎日が地味でつまらないように感じてしまう。


「こんな風に……。頑張っても、無理なのかな……」


 あいは自分と彼女の投稿内容を比べては、ため息を漏らした。


「ため息をつくと、幸せが逃げてしまいますよ?」


 スマホとにらめっこしていたあいは、白シャツに紺のジャケット姿の男に声をかけられた。

 優しそうな顔立ちで、雰囲気イケメンに分類される男だが、あいにはこんな知り合いはいない。


「え……な、なんですか?」

「突然すみません。なにか悩んでいるようでしたので」

「あぁ、えっと……別に」


 見知らぬ男相手に恐怖心はある。それでも、ビジュアルの良さから、あいは強く突き放すことができなかった。


「もしかして、夢のことで悩んでいるのではありませんか?」

「どうして──っ!いや、その……」


 考えていた事を言い当てられ、あいは思わず反応してしまった。急いで取り繕うとするが、動揺は隠せず、目は泳いでしまう。


「やはりそうでしたか」

「ち、違います!わたしは、ただ──」

「あなたの夢、叶えて差し上げますよ?」

「……え?」

「ご安心ください。お代は結構ですから」


 目を丸くするあいに、男は完璧な笑顔を返す。

 年上の男に微笑まれ、あいの鼓動は速まっていく。それは春を期待してのことなのか、それとも──


「……ど、どういうことですか?」


 理由を明らかにする前に、あいは口を開いた。頭で考えるよりも先に、心が動いてしまったから。

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