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第9章 レベル3への壁


模倣レベル2は、

確かに強い。


だが。


限界も、

はっきりしていた。



砂漠地帯での任務。


相手は、

上位魔獣・

黒鎧獣くろがいじゅう


全身を、

黒い外殻で覆った魔獣。


通常の剣撃は、

ほとんど通らない。


「真正面は無理だ」


カインの声。


「隙を作る」


俺は、

頷く。


模倣。


カインの動きで、

走る。


斬る。


弾かれる。


火花が散る。


衝撃で、

腕が痺れる。


強い。


今までとは、

次元が違う。


黒鎧獣の尾が、

横薙ぎに来る。


避けきれない。


吹き飛ばされる。


砂に、

叩きつけられる。


「ぐっ……!」


立ち上がろうとするが、

体が言うことをきかない。


カインが、

前に出ようとする。


その瞬間。


俺の胸に、

焦りが走る。


このままじゃ、

また頼るだけだ。


影のまま終わる。


嫌だ。


「俺が……

 やります!」


叫ぶ。


カインが、

止まる。


「行け」


短い一言。



俺は、

立ち上がる。


模倣。


全力で、

模倣。


だが――


足りない。


動きは似ている。


でも、

重さが違う。


威力が違う。


刃が、

外殻を割れない。


「くそ……!」


歯を食いしばる。


その時、

頭をよぎる。


レベル3。


短時間だけ、

本人と同等の強さ。


そこに、

届きたい。


だが。


どうやって。



黒鎧獣が、

大きく吠える。


口の奥が、

赤く光る。


ブレスだ。


避ければ、

町に被害が出る。


俺は、

前に出た。


「来い!」


怖い。


死ぬかもしれない。


それでも。


逃げないと、

決めた。


ブレスが、

放たれる。


熱風。


俺は、

真正面から

突っ込んだ。


視界が、

白くなる。


意識が、

遠のく。


その瞬間。


胸の奥で、

何かが

砕けた。


――模倣レベル3に

到達しました。


世界が、

変わる。


カインの動きが、

完全に分かる。


重さ。

速さ。

力。


同じだ。


「いける……!」



時間は、

短い。


分かる。


一撃で決める。


踏み込み。


全力。


剣が、

黒い外殻を

貫く。


核心。


黒鎧獣は、

動きを止めた。


崩れ落ちる。



俺は、

膝をつく。


全身が、

悲鳴を上げている。


カインが、

駆け寄る。


「よくやった」


俺は、

笑った。


初めて、

心から。


影武者でも。


俺は、

前に進んでいる。


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