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第8章 新たな決意
模倣レベル2になってから、
世界の見え方が変わった。
敵の動きが、
少しだけ遅く感じる。
剣の軌道が、
はっきり分かる。
「強くなってるな」
訓練場で、
カインが言う。
「はい」
素直に答えられる。
前なら、
そんな自信はなかった。
◆
影武者の任務も、
難度が上がった。
複数体の魔獣。
強化個体。
それでも、
俺は前に出る。
怖さは、
消えない。
でも。
怖いまま、
戦えるようになった。
◆
ある町での任務後。
子供たちが、
俺の周りに集まった。
「勇者さま!」
「すごかった!」
無邪気な笑顔。
胸が、
痛む。
それでも、
俺は膝をつく。
「ありがとう」
声が、
少し震える。
子供の一人が、
聞いた。
「ねえ、
勇者さまは、
怖くないの?」
俺は、
一瞬考える。
そして、
正直に答えた。
「怖いよ」
「でも、
逃げない」
子供は、
目を輝かせた。
「かっこいい!」
胸の奥で、
何かがほどけた。
◆
その夜。
屋上で、
星を見ていた。
カインが、
隣に来る。
「顔つきが、
変わったな」
「……そうですか」
「覚悟が、
できた顔だ」
俺は、
星空を見る。
「影武者は、
続けます」
「でも」
言葉を、
選ぶ。
「いつか、
自分の名前で
立ちたいです」
カインは、
静かに頷いた。
「それでいい」
「お前は、
お前だ」
胸が、
温かくなる。
◆
俺は、
心の中で誓う。
影の中でも、
前を向く。
そして、
必ず――
影から、
抜け出す。




